知財教育をゆる~くやってみる

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平成23年改正ざっくりマスター


ポイント1 「通常実施権等の対抗制度の見直し」



従来
 通常実施権は登録により第三者対抗力を得る
改正
 通常実施権の登録制度を廃止.通常実施権の存在を立証すれば第三者に対抗できる「当然対抗制度」が導入された.


他法では?


 実用新案法意匠法では当然対抗制度を導入
 商標法では当然対抗制度を導入していない
※商標においてはひとつの製品に多数のライセンス契約が締結されていることは考えられず,通常使用権を登録できないという決定的事情がないから.


関連して覚えよう!

特許権の放棄等の規定は?
 ① 特許権の放棄
 ② 訂正審判の請求
 ③ 実用新案登録に基づく特許出願

以上の際には,従来と同様に通常実施権者等の承諾が必要
※従来から通常実施権の登録を要件としていなかったら.

問7~問12まで (問題の出典元:知的財産教育協会)



大問2 著作権法 著作物と著作者

大学生甲は,コンテンツの利用方法について,乙と会話をしている。
発言1「コンテンツAは,昨年流行した小説を漫画にしたものです。他人がこの漫画を英語に翻訳するためには,漫画家だけでなく小説家の許諾も必要だよね。」
発言2「コンテンツBは,2人の画家がお互いにアイデアを出しながら協力して創作した絵画です。他人がこの絵画をブログに掲載するためには,画家2人の許諾が必要だよね。」
発言3「コンテンツCは,学生10人がそれぞれ旅行した際の日記をテーマ毎にまとめたものです。このコンテンツCを出版するためには,学生10人の許諾が必要だよね。」
以上を前提として,問7~問12に答えなさい。

【理由群Ⅱ】 ※同じものを用いてはならない
編集著作物にあたるため
二次的著作物にあたるため
共同著作物にあたるため
著作物にあたらないため


問7・問8 発言1について:二次的著作物

著作権法2条1項11号

二次的著作物とは,著作物を翻訳し,編曲し,若しくは変形し,又は脚色し,映画化し,その他翻案することにより創作した著作物をいう。

著作権法28条

二次的著作物の原著作物の著作者は,当該二次的著作物の利用に関し,この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。


翻訳するには翻訳権(27条)の許諾が必要である。コンテンツAは小説を漫画にした二次的著作物であるので,漫画家と原作の小説家に許諾を求める必要がある。



したがって,問7  問8  が正解





問8・問9 発言2について:共同著作物

著作権法2条1項12号

共同著作物とは,二人以上の者が共同して創作した著作物であつて,その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。

著作権法65条2項

共有著作権は,その共有者全員の合意によらなければ,行使することができない。


コンテンツBは2人の画家が協力した絵画であり,お互いの寄与を分離して個別的に利用することができないので,共同著作物である(2条1項12号)。共同著作物を利用する場合は,各著作者の許諾が必要となる(65条2項)。



したがって,問8  問9  が正解





問10・問11 発言3について:編集著作物


著作権法12条1項

編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは,著作物として保護する。

同2項

前項の規定は,同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。




コンテンツCは学生10人の日記をまとめた編集物であり,テーマ毎に素材たる日記を選択・配列することによって創作性を有する場合は,編集の著作物として保護される(12条1項)。編集著作物の部分を構成する各日記の著作者の権利に影響を及ぼさないので,コンテンツCを利用する場合は学生10人の許諾が必要となる。



したがって,問10  問11  が正解







過去3回分の情報はこちら ⇒ [過去問と正解] [知的財産教育協会
問1~問6まで (問題の出典元:知的財産教育協会)

実技問題は長文になるので問題文の一部は引用を省略させていただきます。
あわせまして,初学者にとって実務問題は馴染みがないと思うので,
学科問題とは異なり超ゆるゆるテイストで解説をしてみます。

大問1 特許法 特許要件・新規性




X社の甲は,平成23年10月1日に発明Aを完成し,平成23年10月20日に発明Aについて特許出願Pをした。その後,X社の知的財産部の部員乙の調査により,次の事実が判明した。
事実1平成23年9月20日に発行された雑誌に,Y社の丙によりなされた発明として,発明Aが記載されていた。
事実2平成23年10月10日に開かれた国内の学会において,同じ技術分野の研究者の前で,甲が発明Aについて発表していた。
事実3平成23年10月21日に,発明Aが使用された製品が発売されていた。
以上を前提として,問1~問6に答えなさい。
【理由群Ⅰ】 ※同じものを繰り返し用いてもよい
この事実によっては,特許出願Pに係る発明Aは,新規性を喪失していない。
この事実によって,特許出願Pに係る発明Aは,新規性を喪失している。
この事実によって,特許出願Pに係る発明Aは,進歩性を有していない。

問1・問2 事実1について:刊行物公知

特許法29条1項
産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
一  特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
二  特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
三  特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明


原則特許を受けるためには,新規性が必要である特許法29条1項各号)。

特許出願日である平成23年10月20日より前である同年9月20日に発行された雑誌に発明Aが記載されているので,特許出願Pに係る発明Aは新規性を喪失している。

したがって,問1 × 問2  が正解


問3・問4 事実2について:公知

特許出願日前に国内の学会で発明Aについて発表しているので,新規性を喪失している。
知っている人の数の多少は問わず,守秘義務のない人(不特定人)が一人でも知っていれば「公然」に該当する。


したがって,問3 × 問4  が正解


問5・問6 事実3について:公然実施

特許出願後の発売なので,新規性を喪失していない。


したがって,問5  問6  が正解

29条(特許要件:産業上利用可能性,新規性,進歩性)と39条(先願)は重要なのでよく出題されます。条文を覚えちゃうといいですね!




過去3回分の情報はこちら ⇒ [過去問と正解] [知的財産教育協会]