船町、二川、新所原、下地(2019.5.1) | 旅の虫速報

船町、二川、新所原、下地(2019.5.1)

murabie@豊橋市です。
昨日に引き続き今日もぐずつき気味という天気予報、出発の時点では
雨は降っていなかったけれど一応長靴や雨傘を準備しての出発です。

今朝はまず飯田線の列車に乗り込み、線路がたくさん並ぶ中を
住宅地に囲まれながら一駅だけ進み、船町駅に降り立ちました。
豊橋から数駅間は飯田線と名鉄線が線路を共用しているという
鉄道なんとかの常識はだいぶ前から知ってはいたのですが、その区間の
途中駅に降りたことはなかったので、今回その辺りをちょっと研究して
みようかなあなんて思ったわけです。

そういうわけで、ホームに降り立ってもしばらくは外に出ず、細いホームに
行き交う列車の姿、特に完全にJRの駅でありながら名鉄の赤い列車が
平気でかっ飛ばしていくという姿を今回何度も目の当たりにすることができ、
とても満足することができました。
駅は近くの豊川に架かる橋を渡るために高台に上ったところにあるため、
周囲に集まるマンションや家並み、使われていないレールが伸びる
コンテナ駅の姿を高台から見渡す格好となります。

駅の周辺に広がる何でもない住宅街に歩みを進め、豊川の堤防の上に
上ってみれば、どんよりした空の下ではありましたが広大な空の下に
緩やかに蛇行するゆったりした豊かな川の流れが大きく広がりました。
北島河川敷公園という小さい公園が葉桜に囲まれていましたが、
川の流れのすぐ先には昨日訪れたとよばしや、その先に大きい警察署の
建物に寄り沿われて川沿いの崖の上に佇んでいる吉田城の姿も
見ることができました。

吉田城とは反対の方に歩みを進めれば、豊かな川の流れの中では何人かの
人々がシジミ取りか何かをしているのどかな風景となっていました。
堤防上の道は豊川を渡る鉄橋で途切れてしまいますが、園地となる広い
河原へ下っていて、JR持ちの線路に名鉄の列車が駆け抜けるのを下から
見上げたり、模型と同じような形の古めかしい橋脚が並んでいたりするのを
見て、線路の反対側へと進んでいきます。
どうもこのあたり、川遊びのできる場所というらしいことになっている
みたいで、早くも車で乗りつける家族連れの姿をたくさん見ることに
なりました。

在来線だけでなく、その先に架かる新幹線の橋にも引っ切りなしに
列車が往来していて、ちょっとした遊び場となっている在来線と新幹線の
間の川岸の風景を楽しみつつ、堤防の外側に広がる住宅街へと歩みを
進めていきました。
パレット倉庫などのいかつい建造物も紛れ込んでいましたが、基本的には
何でもない住宅街で、ただその住宅街を囲むような線路に引っ切りなしに
列車の往来する音が響き渡る所でした。

思いのほか長居することができた船町での滞在を終え、飯田線で豊橋に
戻り、引き続き東海道本線の上り列車に乗り継いで、大きな工場の姿も
紛れ込む住宅街を進み、隣の二川駅へと進んでいきました。
宿場町として有名らしく、ホームの壁や駅舎の外装もきっと意識して
作られたんだろうなといった感じだったりするほか、並走する新幹線の
姿を駅舎の中から大きく見ることのできる駅でもあったりします。
そして駅の北側には、きのう赤岩口の辺りで見られたのと同じような形の
丘陵が控え、新緑の斑模様を示しています。

調べれば調べるほど見どころがたくさん見つかる駅だったりしましたが、
まず最初に岩屋緑地を訪れてみることにしました。
駅をあとに歩みを進めればすぐに、こんもりした新緑の丘陵のてっぺんに
展望台らしき建造物を載せている丘陵の姿を見ることができます。
そしてそれと隣り合うようにして裸の岩礁のような丘があり、観音像らしき
ものが裸の岩礁の上に立ち尽くしている様子も見つけることができます。

岩屋緑地は展望台を載せる丘陵の足元に広がる、新緑の眩しい木々に囲まれた
公園でしたが、その一角のうっそうとした薄ぐらい森の中の緩い上り坂を
上っていくと、程なくして岩屋観音というお寺の入口が現れました。
お寺の境内にはいくつかお堂も立つのですが、地層を荒々しく露呈した
険しく切り立つ山肌の中に、小さい観音像がいくつも埋め込まれるように
佇んでいたり、すこし奥へ進むとその岩盤がすこしえぐられて
浅いけれど大きな洞窟状になっているところがあって、そこにも観音像が
たくさん佇んでいたりしました。

その荒々しく切り立つ岩山の裏手に回り込むと、頂上の観音像のところへ
向かう道なき道が通されていました。
一応しっかりとした鎖が道筋を示してくれてはいましたが、ごつごつした
岩の面がそのままになっていて、すこしでも安定なところを見つけて足を
踏み締めながら、渡された鎖をしっかり掴んでゆっくりと着実に
上っていく必要のある道で、恐怖感も感じるのだけど、辺りの風景は
みるみる間に素晴らしい展望へと変化していったのです。
頂上に展望台を載せる小山は、新緑の斑模様となりながら隣に静かに
佇む存在となり、そして参道の時点から、二川駅周辺や豊橋の方に小さい
建物が密集して広がる展望が広がりはじめていたのです。

観音像にたどり着けば、眼下には周辺の街並が広範囲に広がり、そして
その街並を突っ切るようにして引っ切りなしに新幹線が往来します。
曇り空なのであんまり遠くの山並みは見えないのだけど、町並みの
向こうには、渥美半島の北側の工場群や丘陵の姿もうっすらと望めた
ような気がしました。
そして隣の山や眼下の森林は眩しいばかりの新緑の葉を繁らせていました。
スリリングな参道、スリリングな頂上ではありましたが、それだけに
周囲に広がる展望は素晴らしいものでした。

下りの道もチェーンを頼りにごつごつした岩場の間をゆっくり下ることと
なりました。
下界の岩屋緑地の片隅には豊橋市地下資源館という、職業柄ちょっと
そそられる感じの博物館があるようで、さっきの観音様の乗る地層を
露呈した岩盤などのこの地の地形地質について知見があるのかなと
思って入場してはみたのですが、内容は鉱物資源やエネルギー資源に
関する一般的なものっていう感じが強かった気がします。その分、
親子で遊べる科学おもちゃなどが人気を博してはいたようでした。

お昼近くになり、小雨がぽつぽつしてきた感じはありましたがまだ
傘をささなくても何とかなるレベルでした。
一旦西側から駅前へ戻り、そのまま東側へと歩みを進め、旧東海道
二川宿の街並を散策してみることにしました。

最初は新緑の丘陵に見守られながらもどこにでもありそうな街並が
広がるのですが、道路の道幅がある所から急に狭くなり、なんとなく宿場町に
突入したことを感じさせてくれます。
でもかといって建物が急に古臭くなるというわけではなく所々に格子戸を
備えた古めかしい瓦屋根の建物がちりばめられるといった感じで、新しい
建物も積極的に古めかしく造るようなことにはなっておらず、むしろ
新興住宅街の建物そのものといった感じのものもあったりしました。
それでも二川宿の紋章の入った暖簾を玄関先に掲げるという形で
統一した街並を造ろうとしていることは感じられました。

本陣の近くまで進んでいくとさすがに古めかしい建物の頻度も上がって
いきましたが、当時存在していた旅籠の名前を玄関先に掲示するという
工夫がされているようでした。
本陣の中は有料ということで敷居が高いかと思いきや、道路からでも
内部の一部分は見ることができるような作りになっていたりして。
しっとりとした旅情を強く感じられる領域ともなっていましたが、
それでもむしろ昭和レトロ的なコンクリート建造物が存在感を示している
箇所もあり、そんな建物が精肉店となって揚げたてのコロッケの匂いを
辺りに漂わせていたりもしていました。
近くには駒屋という商家の建物の中が公開されていて、黒い柱や壁に囲まれた
建物に畳が敷き詰められ、簡単な庭園となっている中庭の側を渡り廊下が
通過し、そして離れの渡り廊下からは明るい外の世界、塀で囲まれた中に
古めかしい味わいのある蔵がいくつか佇んでいて飲食店や駄菓子屋として
用いられている風景を眺めることのできる、昔から変わらないのんびりした
時の流れを感じさせてくれる雰囲気が漂うところでした。

小雨がぱらつくようになった曇り空のもと、とりあえず宿場町の古い雰囲気を
端から端まで一通り楽しんでから、同じ道をのんびりと駅へ向かって
引き換えしていきました。
引き続き駅の反対側へと移動し、駅から程近いところにあるらしい、
のんほいパークとよばれているらしい公園をめざすことにしました。

地図上で見る限り広大な公園であるように見え、散策するところとして
支障はないものだと思い込んでしまっていましたが、実はその領域
全体が豊橋市動植物園という有料施設となっていて、
しかも引き返すなどということも考えず気がついたら入場料の
支払いまで済ませてしまっていたりして。

中は有料なだけあってよく整備された遊び場となっていて、たくさんの
家族連れでごった返している状態でした。
とりあえず園地の中心で目立っている展望台の頂上へ、エレベーターで
上っていけば、周囲にはさっきの岩屋緑地に岩屋観音も佇んでいるのが
見られる二川から豊橋の街並の風景が広大に広がっているのを
見ることができました。
眼下の公園は新緑の領域が斑に混ざり合い、周囲の丘陵の中にはさっき
訪れた展望台のある丘陵や岩屋観音を載せるごつごつした岩礁のような
山の姿も見ることができ、さっき岩屋観音のところから見たのと同じように
眼下の街並を新幹線が超高速で突っ切っていく風景を楽しむことが
できました。

雨脚はここに来てさらに強まり、さすがに傘の準備と、靴を長靴に履き替える
作業が必要となってしまいました。
とりあえず長居はできないなりに、重要な部分を落とさないように散策して
見ようといろいろ試みて見たわけです。
まずは園内のメインストリート、若草色の葉が繁りはじめている
ラクウショウの並木道を行けば、噴水から発する水路も整備されている道に
たくさんの家族連れが往来し、おそらく恐竜関係の展示もされていると
思われる自然史博物館の近くへと進んでいきます。
自然史博物館の庭には等身大の恐竜の模型の姿がラクウショウの森の中に
佇んでいました。

動物園の領域へ進めば、閉鎖領域も含めるとものすごい数の動物と会えそうな
感じではあったけれど、今回はざっくりと、簡単に会えるものとだけ
会っていくという方針で、フクロウ達、めちゃくちゃかわいいコツメカワウソ、
のどかに広がる大沢池、極地動物館のアザラシやペンギン、シマウマ、カバ、
マンドリルと、全部見れない割にはそこそこ満足できるルートをたどり、
そして植物園へ回ってボート池を眺めたり、水路や小さい池に広がる
モネの睡蓮池であるとか日本庭園であるとかの穏やかな水辺の風景を
楽しむことができました。

そんな感じで下調べが不足していたんだろうといったことは重々承知の上で
予定よりも見どころが多くて長居時間を滞在することになった二川の街を
あとにし、東海道線の上り列車に乗り込んで一駅、実は静岡県に入った
ところとなる新所原駅へと降り立ちました。

正直、新所原では県境が踏めればいいやくらいの気持ちでいたのですが、
昔青春18切符旅で通過したときの新所原駅には何やら県境を示すものが
ホーム上に会ったような気がしたものだったけど、今日訪れた長い
ホームにそのような標注の類を見つけることはできず。
でも駅の外に出れば県境を示すカントリーサインは大通り沿いにすぐに
見つけることのできるくらいの難易度の低さだったりするわけです。

でもさすがにそれだけでこの街の探訪を終えてしまうのも、といった感じで
ネット検索していると、豊橋市側に少し進んだ所に立岩という山があるらしく、
県道上をさらに進んでいくことで、屹立した岩盤を擁する小さな山の姿を
見つけることができました

周辺には立岩の名をかたるパチンコ屋や飲食店もあったりしましたが、
その場所に近づくほど、屹立する岩盤の表面の姿はよりはっきりと
見て取れるようになってきましたし、道路の反対に佇んでいるはずという
椀かせ岩というものも、案内は全く存在しなかったのだけど、田んぼが
広がる中にあって自然岩が大規模に露呈しているところとして認識して
あげることができたのでした。
あとは新所原駅に戻りながら、集落の中の道へ迂回して、立岩をより大きく
あるいはより美しく見ることのできるところを探して、小さい公園や、
佇む溜池の辺りも検討してみたりして、ただちょっと訪れただけのはずの
所に大きな思い出を刻んでいくことができたような気がしました。

夕刻に差し掛かった頃、新所原駅から下り列車に乗り込んで豊橋まで
歩みを進め、引き続き飯田線へ乗り換え、飯田線と名鉄線の共用区間上の
もう一つの駅である下地駅へと進んでいきました。
さっきの船町駅から広大な豊川を渡ってすぐの所にある駅であり、
ホームの南端に立てばゆったりと蛇行して流れる豊川の流れの先に
吉田城の姿も何とか確認できるような駅です。
船町と違って上下線のホームが離れているような感じで、余裕を持って
列車を追えるような感じがして、ここでもしばし名鉄線の列車が
堂々と通過していく風景を追い求めてしまいました。

辺りには夕暮れの姿が現れはじめた頃でしたが、下地駅をあとに一瞬だけ
豊川の堤防に上ってゆったりとした川の流れの姿を愛でたあと、
何でもない住宅街が田園風景と入り混じるような路地を散策していき、
瓜郷遺跡というらしい所へと進んでいきました。
眩しい黄緑のは桜に囲まれる小さい公園の中に、弥生式の住居が復活して
展示されているだけの静かなところだったりしました。

あとはこの近くにあるスーパー銭湯に寄って行くだけといった感じで
田園の広がる路地を進んでいったのですが、地図を検索したときに
どう読めばいいのだろうと考えてしまった満光寺というお寺の存在が
示されたので、ちょっと寄り道をしてみることにしました。
差し掛かったところ駐車場も広く、山門もなくて柱のあとを示すものが
路面に穿たれているだけという、街の中にありながら荒涼とした雰囲気の、
とりあえず本堂だけは立派な形で佇み、その周囲には大事にされて
いるらしい小さい鐘の吊されるお堂が立っていたりします。
しかし山門がないせいか、どこのお寺でもあるようななんとか山なになに寺
みたいな標札の類が一切見つからず、お寺の名前を示しているものは
駐車場のところで手書きされた満光寺という文字のみ、
やっぱり本当にそういうふうに読むんだけど敢えてごにょごにょしているんだ
なんていう妄想ばかりが掻き立てられてしまう結果となりました。

ここから程近い所にあるスーパー銭湯で高濃度炭酸泉を含むいろいろな
お風呂を楽しみ、なんとか雨も上がってくれた夕方の農村をのんびりと歩いて
豊川のほとりの下地駅へと帰還、飯田線の列車に乗り込んで豊橋へと無事に
戻ることができました。
今日の夕食は駅そばの類なんだけれど、壺屋のきしめんを楽しむことに
したのでした。