豊橋鉄道渥美線沿線(2019.4.29) | 旅の虫速報

豊橋鉄道渥美線沿線(2019.4.29)

murabie@豊橋市です。

生憎の曇り空となってしまいましたが、予定通り今日は豊橋鉄道渥美線の
沿線を散策することにしました。
新豊橋駅から豊橋の賑やかな街並を抜け、愛知大学と時習館高校に挟まれた
しっとりした車窓、南栄からのうっそうとした松原の車窓を見て、
まずは高師駅に下車しました。

検車区に止まっているいくつかの列車を愛でた後、高師緑地という、
列車からはうっそうとした松原に見えた園地へと歩みを進めます。
園地に足を踏み入れれば、周辺は確かにうっそうとした松原で、
樹齢の古そうな、ごつごつしていたり複雑な形に枝を伸ばしていたりする
松の木もたくさんあったのだけれど、広大に広がる芝生の広場もあり、
それを囲む木々も決して松の木ばかりではなく、今が一番みずみずしい、
新緑の黄緑の葉を繁らせている木々の姿もたくさんあったり、低木層では
つつじの紫や白の花も鮮やかだったりします。
何やら子供達の試合の行われている軟式野球場の近くに通る車道には
メタセコイアの並木道ができていて、まっすぐ立つ背が高い木々が連続する
道に、やはり新緑の葉が繁り始めていたり。
何やら馬が飼われている牧場もあったりして、決してうっそうとした松原
だけの公園ではないということを、散策することで存分に感じることが
できましたし、線路際で少し待てば目の前を列車が駆け抜けていく迫力ある
風景も楽しむことができました。

そして、かつて豊橋鉄道の線路から分岐していたと思われる引き込み線の
あととなる緩やかなカーブを描く森の中の遊歩道をたどっていくと、
園地から出たところで、工事中の柵に囲まれながらではありましたが、
レールがまだ地面に埋め込まれたままになっている所を見つけることが
できました。
周辺の閑静な住宅街を迂回して、その線路の行く先を追いかけてみると、
立入禁止の柵で囲まれた宅地造成地が現れて、柵から出てきた引き込み線も
その造成地の直前で途切れてしまっていました。かつてあったらしい
ユニチカの工場の跡地が、何やら住宅地か何かに生まれ変わろうとしている
所を見つけることができました。

高師緑地に戻るともはや南栄駅に近い園の北端となってしまいましたが、
園地は大通りの対岸にも広がっているようでした。
対岸もやはり新緑の木々に囲まれる広場が広がる領域となっていたのですが、
水のない川の道に沿うように窪地に下る遊歩道があり、その先は、
芝生の緑地に囲まれるようにして静かに佇む、水のない池となっていました。
その名も空池という所で、今のように穏やかなときは単なるのどかな遊歩道と
なっているだけの所でしたが、そこかしこにある、大雨の時は立ち入らない
ようにという警告看板を見るにつけ、不謹慎ながら、その時はどんな風景に
なってしまうのだろうと考え込んでしまうのでした。

大通り沿いに古めかしい米屋の建物が紛れ込んでいたりする南栄の通りに
佇む工事中の南栄駅から列車に乗り2駅、切通のような薄暗い森から広大な
田園の中へと歩みを進めた芦原駅に降り立ちました。
別に名所があるわけでもない、ただもしかしたらのどかな風景の中を走る
列車の姿でも見られそうな感じがしたというだけの所でしたが、
線路の西側に出てみても、確かに段丘の上の住宅街に見守られる段丘の下の
広大な田園は広がったけれど、近くを流れているはずの梅田川の堤防の上に
登る道を見つけきらない状態となってしまいました。
まあのどかな風景なのは間違いないと納得して、川を渡っている
コンクリートの橋の上を走る列車の姿を楽しみはしましたが、駅へ戻る
道すがら、強引に堤防の上に登れそうな入口を見つけて、叢を掻き分けて
みれば、ゆったりとしていた川の姿を用や組み付けることができたのでした。

堤防上の道は線路の下をくぐるように続いていて、線路の東側へと回り込んで
みれば、遠くにイオンの姿をアクセントとしつつ、のどかに流れる川の姿を
より美しく楽しむことができるところとなっていました。
そして堤防上ではなぜか、おそらくここに居を構える買いたい業者か何かの
ものらしいのですが、山羊が河岸の草を貪っている姿にも出会うことができ、
駅へ戻る道すがら、コンクリートの橋を渡る列車や、芦原駅を出てこれから
橋に向かう列車の姿を、葉桜の姿とともに楽しむことができたのでした。

最後に切通を下って芦原駅へやってくる列車の姿をカメラにおさめた後、
下り列車に乗り込み、橋を渡って次の植田駅へ進みます。
梅田川の対岸に渡っただけといった感じでしたが、駅から河岸までの間には
水田だけでなく菜の花のような黄色い花を咲かせるキャベツ畑も広がり、
線路の反対側の変電施設の小さい鉄塔群を背景にして、キャベツ畑の中から
川を渡る橋へ登ろうとする列車の姿を見ることができ、適当に場所を
変えながら、のどかな風景の中を走る列車の姿を探していました。

田園をあとに次の向ヶ丘駅の方へ向かうと河岸段丘を登る格好になって、
水の張られたばかりの水田と学校が集まる道を進んでいくと、植田大池の
堤防が現れます。
堤防の上に上れば、フェンス越しにではありましたが、民家に囲まれながら
穏やかに広い水面を広げる池の姿を広々と眺め渡すことができました。
岸辺を周回できるような道はなさそうでしたが、すぐ近くにうっそうとした
こんもりとした小山が控える所までの短い岸辺を歩くことができるように
なっていました。
数匹のミドリガメが湖水を泳ぎながら鼻だけを空気中に出している愛らしい
姿を愛でつつ、池により沿う照葉樹林の中の石段を上れば、森の中に忠魂碑が
佇んでいるだけの所だったりもしましたが、石段の途中からは池の姿を
一望することができるようにもなっていました。

岸辺を一周できる道はなさそうだったので、素直に最短距離を次の向ヶ丘駅へ
向かうべく歩いていきました。
大通り沿いも湖岸も新興住宅地のような風情で、道沿いに普通に立つ
お医者さんの敷地が向ヶ丘駅への入口となっている状態でした。
駅の近くの湖岸には小さい広場のような公園があって、その奥は植田大池の
岸辺に接していて、対岸となるさっき訪れた照葉樹林の丘の姿までが
見渡せる、穏やかな水面が広がっているのを眺め渡すことができ、
そしてその湖岸に儲けられた藤棚に植えられた藤も、今まさに花盛りといった
風情となっているのを見つけることができたのでした。

向ヶ丘駅から、住宅地の間を進みながら巨大なバイパス道路をくぐっていく
列車に乗って、次の大清水駅に降り立ちました。
駅の周辺に広がる素朴な街並を北の方へ抜けていくと、大通り沿いには
岸辺を遊歩道で修飾された小さい溜池が現れました。
市の公共施設の方へ進む通りを横断すると別の溜池に関係する厳つい施設が
現れ、さらに大通りを横断して頭上を通過するバイパス道路の下へ進むと
また溜池があって、バイパス道路の橋脚が溜池の中心部に連なるように
林立していました。
岸辺が草生している溜池の水面を眺めながら歩みを進めると、公共施設の
駐車場が橋脚の周辺に広がり、その片隅に、花菖蒲公園というらしい小さい
園地が広がっていました。
この辺りかつては湿地が多く広がり、花菖蒲も群生していたようなのですが、
開発によって失われていったものを、わずかな面積ながら復活させることが
できたとかで、大事にされているもののようでした。
花菖蒲の季節にはまだ早いものの、細長い葉を元気良くぐんぐん繁らせていて、
少し待てば華やかな風景となっていくのだと思われます。

小さな溜池の周囲に巡らされた遊歩道の花壇や葉桜の風景を楽しみつつ、
踏切を往来する列車の姿も楽しみつつ、大清水駅へと戻って行き、
蔵王山に見守られる広大な水田の中をひた走る列車に身を任せて、
2駅先の杉山駅へと降り立ちました。

昔ながらの駄菓子屋さんが乗車券の販売を受託している小さな駅を
あとにすると、広大に広がる水を張ったばかりの水田や菜の花を
咲かせたキャベツ畑の間を歩いていくこととなります。
そんなのどかな風景はたとえ大通りに出ても変わることなく、
引き続き広大な風景の向こうの高台の新興住宅街の足元にかわいい
列車が行き交う姿を見ながら歩みを進めていくことになります。
北側の田畑の向こうには蔵王山の姿も大きく横たわります。

コンビニのある大通りの交差点から海へ向かう道へ分岐すると、
唐突にしっかりした堤防上の道へと進み、干潟状になっていた
対岸との間の細い加工のような領域を経て、あまり綺麗な色ではない海の
上にはなだらかな曲線を描く大きな橋が架かって、その向こうにいくつか
風力発電の風車を浮かべる工業地帯の風情となります。
蔵王山は海の上に浮かぶように佇むようになり、堤防の内側にも細い水路を
擁しているのを、新緑の雑多な木々の間に認めながら、のどかに大きく
広がる丘陵に囲まれた広大な水面の姿を愛でつつ、堤防上の道をのんびりと
散策していきました。
堤防の内側の水路は福住排水機場の所で少し豊かな水辺の風景を広げたり
していましたが、基本的には広大に広がる田園風景の一部となりつつ、
その最奥部の丘陵の上の新興住宅地に見守られながら時折列車が駆け
抜けていく風景を、のどかな田園風景の元に形作りつづけていました。

程なく堤防の外側の海は、用水路の小川の河口となって、干潟からヨシの
茂る湿地となっていき、海の上に浮かぶようだった蔵王山も、黄色い花を
満開に咲かせるキャベツ畑の上に浮かぶようになっていきました。
堤防に囲まれて蛇行してヨシの間を蛇行して流れる小川には水鳥達が
安らぎを得ているところでした。
この小川が豊橋市と田原市の境界となっているようで、豊橋市側は
水田が広がるのに田原市側は見事に黄色いキャベツ畑が広がっている
のを不思議に感じつつ、小川に沿って大通りへ戻ると、
ようこそ豊橋市へ、ようこそ田原市へという独特のカントリー
サインが道路上に現れるのどかな雰囲気となっていて、引き続き広大な
田園の中の道を、周囲を囲む丘陵へ向かって歩みを進めていけば、広大な
新興住宅街を控えるやぐま台という所へと誘われていったのでした。

やぐま台駅から列車に乗って、広大に広がる赤茶色の畑の風景から、一旦
うっそうとした生やしとなる切通の道を進んで神戸から田原の瓦屋根の
街並へ突入し、昨日も訪れた三河田原駅へとたどり着きました。
田原駅をあとに直ちに街並へと歩みを進めていきます。重厚な瓦屋根の
民家の集まる領域を、昨日も訪れた城宝寺の敷地を周回するように
進んでいき、大通り沿いに一際高い蔵を擁する田原まつり会館で早速一息
つくことにしてしまいました。
関内にはからくり山車の実物が展示されていたり、この地の有名な行事らしい
けんか凧についての展示もされていたりと、動きはないながら、この地の
活気を感じさせてくれるものだったように思います。

引き続き、城下町らしく路地が複雑に配されている中に実は新興住宅地が結構
広がっていたりする領域を歩んでいき、田原城惣門跡という史跡を訪れました。
現存するのは石垣のみのようでしたが、その上にはかつて渡辺華山が民を
飢饉から救ったという報民蔵が復元されていたりします。
隣接する大手公園は芝生の広場と思いきや、その周辺に若干ながら和風庭園が
開けていたりして、のんびり散策を楽しむことができるようになっていました。

高台の方へのぼっていくと、白い木造の洋館の雰囲気の、田原福祉専門学校の
建物が現れ、そのすぐ近くに、池の原公園という園地が姿を表します。
正門の背後には蔵王山が立派な姿を見背、つつじの花咲く園内の茶室では
華やかにお点前が披露されていたりするようでした。
園内には渡辺華山という先見の明を持ちながら生き残ることのできなかった
殿様の生き様を記したレリーフがあったり、自刃する前の1年程を過ごした
幽居が復元されていたりする、小さいけれど重意味を持つ園地となって
いたのでした。

そして住宅地の中の緩い坂を上っていくと、立派な土壁が現れて、
華山神社という新しい神社が大きい鳥居を構え、神殿の背景にやはり
蔵王山が立派な姿を示したりしていました。
ここから田原城跡の領域もすぐ近くに現れました。

桜門という立派な山門の周りに、お堀の名残の2つの池が復元されていて、
桜門をくぐると二の丸櫓という白く大きな重厚な建物が建ち、その周辺が
市の博物館として整備されている領域となっていました。
そこから山道沿いにはうっそうとした竹林が茂る空堀がうがたれていて、
その先の天主台の領域となる部分には、巴江神社という、どこにでもありそう
だけど立派な大きな神社が穏やかに佇んでいたのでした。

桜門の外側には交差点に小さい園地があって、風情のある櫓風の建造物の
中に公衆電話が設けられていたり、そこから大通りへ向かって整備された道を
歩んでいけば、交差点には同じように櫓風の建物が時計台となっていたり
しました。
住宅街の中の道をそのまま直進すると、はなの木広場という、周囲こそ
遊歩道で囲まれるもののなんでもない広大な運動広場が現れ、道をはさんだ
対岸には大きなショッピングセンターが現れて、広大な駐車場を奥までいくと、
新緑の斑な蔵王山の山肌が大きく広がる向こうに、広大に水田が広がって
いる風景と出会うことができたのでした。

歩みを進めれば、そんな田園風景を横切るような汐川という、
河口の近いせいかあまり動きのないゆったりとした川の流れに架かる橋を
渡ることとなりました。
蔵王山に連なるいくつかの丘陵に見守られるような穏やかな水面の風景を
のんびり楽しみつつ路地へと進み、次に交差した大通りに郊外型の店舗が
たくさん集まっているのを見つけたものの、すぐ近くに気配を感じた
神戸駅へたどり着くためには、少し大回りをして線路の反対側へ踏切を
横切っていく必要があるようでした。

ようやくたどり着いた、工場の裏手と新興住宅街の間に佇むような
神戸駅から上りの列車に乗り、丘陵の間の切通のような道を少し進んで
次の豊島駅へ降り立ちました。
駅の裏のうっそうとした照葉樹林にはとてもよく目立つ八柱神社が佇み、
上ってみれば、下界からでも見られた、真新しい立派な大きな神殿が
森に囲まれていて、ステージの片側はフェンスで囲まれながらも
展望台のように切り開かれ、ビニールハウスをいくつも抱える広大な
畑の風景を見渡すことができました。

一旦駅へと戻り、ひっそりとした集落の中を引き続き散策しました。
用水路を横断し、東部小学校の敷地に寄り添う緑地帯へ進むと、
ビオとうぶと名付けられていた、ようは自然の働きを生かしたビオトープが
設けられていて、緑の斜面に囲まれてひっそりと芦のむした小川が流れて
いるような所があったりしました。
蜆川という、草生した瓦に囲まれる細い川の流れを渡ると、その流れの先には
蔵王山が静かに佇んでいる風景となっていて、その足元に線路が通り、列車が
通れば一瞬のどかな世界が広がるかのような風情となります。
近くには公民館と併設されるように交通公園が設けられ、立派に機能する
信号機やレプリカの踏切なんかも配された小さい公園となっていたのでした。

夕暮れに差し掛かって、蒸し暑さを感じた昼間の空気も消えうせ
朝と同じように若干の肌寒さを感じるようになった中、豊島駅から上り列車に
乗り込みました。
まだ下りていない駅も若干残っていたけれど、もう途中下車の旅は終了する
ことにして、のどかなキャベツ畑や水田の風景から住宅街、松原や
薄ぐらい大学の風景から市街地へと移り変わっていく車窓を見せる列車に
身を任せていきました。

最後に大型スーパーで飲み物の買い出しをするために、新豊橋の一つ手前の
柳生橋駅で途中下車していきました。
JRの線路を跨ぎ越したところで柳生川を横断するところにある小さい駅で、
近くにはJRの踏切や新幹線の高架線も通っていて、いろいろな列車の姿を
楽しむことのできる所です。
あとは豊橋を目指すだけとなった大通りを横断し、柳生川に沿う
遊歩道のような道を歩んでいけば、のどかな川沿いの風景の対岸には、
確かオブラートで包まれたゼリーを作っている会社だったかの工場が
佇んでいたりして、目指していた大型スーパーに近づくと、葉桜が歩道を
覆うように枝を伸ばしていたりする、のんびり散策を楽しむことのできる
道が川沿いに続いていたのでした。

こうして長かった旅を締めくくるべく、柳生橋駅から一駅だけ列車に乗って
新豊橋駅まで戻り、いつもより少し早めにたどり着いた宿に
買い込んだ飲み物を置いた後、天気予報通り夕方になってぽつぽつ雨粒が
舞い始めた夕方の街へ出て、明日で閉店の予告が出ている三河トンコツを
標榜するラーメン屋に入って、三河といえば味噌という言葉に騙されてみたら
味噌ラーメンの味ってこんなに薄かったっけと感じてしまうちょっと
期待外れな結果となったりもしたのだけど、だんだん暗くなっていく
電車通りで大量の車とともに街中を走る路面電車の姿を愛でながら、市街地の
路地を入ったところにある古めかしい銭湯で一風呂浴びてのんびり温まり、
夜になった街を宿へと戻って、長かった今日の旅を締めくくったのでした。