西丹沢(2018.11.23) | 旅の虫速報

西丹沢(2018.11.23)

murabie@自宅です。

#この報告は2019.1.6 10:44に公開されました。
#報告が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。


前の旅からあまり間を開けず、今日も紅葉を追い求める旅に出ています。
今日は小田急線に乗って松田まで、そして真っ白な富士山を
見つけた喜びとともに御殿場線に乗り、山北町内の谷峨駅に降りて
すぐにバスに乗り継ぎ、まずは丹沢湖を目指してみました。
3日前の猿橋の印象よりもあまり紅葉が目立たない感じだけれど
やはり所々に色鮮やかな領域が見られる山肌に囲まれた
沢のような川の流れを上っていって、高台にダムサイトのような
ものを見つけると程なくトンネルに入り、いよいよ丹沢湖の
湖岸へと進んで行きます。
快晴の空のもと、山並みに囲まれて穏やかに広がる湖の姿を
混雑するバスから大きく眺めながらどんどん奥まで進むと、
玄倉という集落で折り返してトンネルの出口まで延々と引き返して
いきます。かなり長い寄り道といった感じでしたが、湖の様子を
バスからちょうど良く眺められた感じとなりました。

丹沢湖というバス停で降りたのは意外にも自分だけ、快晴の空の
もとの空気が冷たく感じられる、明るいけれどひっそりとした
感じの集落でした。
戻る方向に少しだけ歩くとすぐに、左手には公園のように整備された
湖岸となり、快晴の青空のもとに、所々色鮮やかな領域を示す
山並みに囲まれて穏やかに広がる湖面に出会うことができました。
対岸には地図上では細長く湖へ突き出した格好になっている、
学校のような建物の姿が見られる陸地となり、その先端には一際
鮮やかな赤や黄色の領域も見られています。

そして右手に分岐する道へ進むとダムの堰堤上の道となっていて
道の右手にはやはり、所々色鮮やかな山肌に囲まれて青空のもとに
穏やかに広がる湖面が広がっていました。その一方で左手は
堰堤の斜面が広大な芝生となってその中に日陰のない遊歩道が
通されて、底の方にあるらしいダム広場と思われるところに紅葉が
密集している様子を見ることができました。
堰堤上の道をさらに先に進むと水門のような所へと進みます。
近くの展望台からは、ダムから渓流が山並みの間へ流れ出していく
ような雄大な風景を見ることもでき、また水門の上からフェンス越しに
下を見てみると、垂直に切り立つようなコンクリートの山肌の下に
水が貯まっていて、その先から新たな小さい水の流れが山並みの間へ
進み始めているところを見ることができました。
ダム湖側を見てみれば、湖面を取り囲む山肌の中で、発電所の
水路パイプがまっすぐ斜面を下っている所の周辺になぜか、鮮やかな
赤や黄色の領域が多く分布しているような感じで、その他のところは
深緑の植林された針葉樹の領域と、控えめに鮮やかさを含む広葉樹の
領域がパッチワークのようになっているようでした。

今度は堰堤の下に広がるダム広場を目指し、谷を囲む丘陵の足元に
通された、紅葉や所によっては山茶花で彩られた階段道を下って
行きました。
ダム広場の領域へ進むと、木材のかけらで柔らかく舗装された遊歩道が
芝生の広場の間に通され、紅葉の赤や黄色の木々の間をのんびり歩く
ことができるようになっていましたが、周囲を囲む山肌との境には
白く小さい発電所も、ひっそりと佇んでいる所でした。
園内の遊歩道や、境目なく接する普通に舗装された車窓をのんびりと、
水門の方へ向かって、紅葉を愛でながら歩いていくと、ダムから
流れ出た渓流を見渡す高台へと進んでいって、道はそのまま
松ヶ山橋という、神奈川県のマークが刻まれた巨大な斜張橋へと
続いていました。
橋の上に出れば、斜面をコンクリートで固めたかのような立派な水門が
堂々と快晴の青空のもとに、岩盤を露呈して切り立ちながら紅葉の枝葉に
彩られる斜面に寄り添われて静かに佇んでいるところでした。

そして芝生の園内に戻ると、50分の1の丹沢湖の模型と言う名の、
池を中心とする庭園がすぐ近くにあって、今まさに盛りのたくさんの
鮮やかに真っ赤な楓の木々に囲まれて、秋の美しい姿を見せて
いるところでした。
たくさんの鯉がのんびり泳ぐ池は丹沢湖の形を模しているようで、
小さい橋もいくつか架かっていたり、堰堤や水門もそれらしく作られて
いたりしましたが、ただ単に青空のもとに真っ赤な紅葉に彩られて
静かに佇む池として見ても、秋の美しい風情をたくさん持っている
美しい風景を作り出している素敵なものでした。
最後に堰堤の斜面に広がる広大な芝生の間に蛇行しながら通された
日陰のない遊歩道を上っていき、紅葉が密集するダム広場やその
周辺の発電所の姿が山懐に抱かれるような風景になって行くのを
眺めながら、堰堤上の道へと戻っていきました。

湖面を見渡すことのできる駐車場も、さっきよりも人が増えて
賑やかな感じになってきました。
湖岸に沿って、街の建物の向こうに見えている白い斜張橋を目指して
遊歩道を歩んでいくと、湖上には沖合すぐのところに植物に覆われた島が
浮かび、ちょうど日陰になっているところに鮮やかなもみじが密生して
いるのを見ながらのんびり散策を楽しむことができます。
道は最後には湖岸を離れ、鮮やかなもみじが街路樹のように並ぶ住宅街の
中を通って、丹沢湖記念館のある所で大通りに合流し、まさにその場所から
永蔵橋という白く大きな斜張橋が湖上へとまっすぐ伸び始める所でした。

所々色とりどりの領域を見せる山並みの足元に若干の建物を従えている
湖岸に囲まれながら爽快な湖上の道を歩けば、囲む山の向こうにこっそり
隠れるような真っ白い富士山の頭の姿を見つけることもできます。
対岸に渡った所にあるバス停からも、さんさんと陽射しに照らされる
青々とした湖面の姿を広々と見渡すことができました。

丹沢湖マラソン大会のせいなのかどうかわかりませんが若干遅れてやってきた
西丹沢行きの混雑したバスに、浅瀬入口バス停から乗りこみました。
バスは細くなっていく湖面を見渡すように走っていきます。すぐに訪れた
焼津(やけづ)のボート乗り場の辺りはまさに真っ赤な紅葉が道と湖の間に
たくさん集まって並んでいる色鮮やかな所でした。
湖の領域はほどなく終わり、白い石がごつごつする河原を抱くようになった
川の流れは石の間を蛇行するように細く流れ、それを囲む所々鮮やかに
色づいた山肌を見てバスは走るようになります。
大きな建物の姿も見える中川温泉を過ぎると、沿道から建物の姿はなくなって
時々すれ違い困難な細い道さえ通ったりしながら、山に囲まれた秋色の谷を
走っていくようになりました。川が大きく蛇行すれば、対岸の紅葉の山肌は
ぐっと車窓に迫り来て、ダイナミックな風景を作っていきます。
特に鮮やかな山肌を見せていた大滝橋という所には、河原に
オートキャンプ場も造られていて、そこそこ人を集め賑やかな休日の風景が
展開していたのでした。

箒沢(ほうきざわ)という所が紅葉の名所だと聞いてバスから降りてみれば、
辺りを切り立つような高い山たちに囲まれながら、道沿いには鮮やかな紅葉の
並木に彩られつつ、営業していなさそうなオートキャンプ場の
ひっそりした広場が寄り添い、駐車場にわずかばかりの車が止まるだけの
静かな所でした。ただ高台には集落もあるようで、高台の旅館や食堂へ誘う
看板が少しだけ佇みます。

辺りに名所へ誘う道案内のようなものは見つからなかったので、とりあえず
バスが通ってきた静かな幹線道路をそのまま奥へ進んでみることにしました。
辺りに切り立つ山肌は、所々赤やオレンジの領域を混ぜ込みながらも、
ほとんどの領域がほぼ枝だけになった木々に覆われて佇みます。
それでも時々は鮮やかな紅葉の領域が大きい面積を占める所もあり、暫く
歩くと白く大きな岩石がごろごろする河原も道沿いに現れてきました。
そしてほどなく、箒沢公園橋という小さなきれいな橋が対岸に架かり、
その先に鮮やかな紅葉が森の中に姿を見せるキャンプ場が現れてきました。
トタンで囲まれたバンガローの間を彷徨えば、紅葉の木々が鮮やかな世界を
作る明るい林の風景を楽しむことができ、また河原に下りれば青空のもと、
白くごつごつした石の間に細い渓流が流れていく、さわやかな秋の風景を
ゆっくりと楽しむことができました。

箒沢のバス停へ戻る方向へ静かな大通りを戻っていくと、上箒沢という
所から、高台へと向かう道が分岐していました。
道はうっそうとした森の中を行くことが多かったのですが、ほどなく
小さい建造物が現れるようになり、そして食堂もやっている民宿も現れ、
次第に集落の体を成すようになっていきます。
道は崖の上を行くような感じで、林が途切れれば、さっき歩いていた道が
谷底に伸び、寄り添う川の向こうの大きな山肌の姿もよく見渡すことが
できるようになります。

そして、道の前方には巨大な一本杉が姿を見せてきました。
箒杉(ほうきすぎ)と呼ばれる、きわめて太い幹を持ち、樹齢2000年という
ことらしい巨木は、斜面上の茶畑に囲まれながら、まさに青空を突き刺す
かのようにまっすぐ立ち尽くす姿を見せていました。
その足元には小さいコンクリート造りの神社が佇み、斜面に沿って箒杉の
下の木陰を登っていくと、箒杉展望台という簡単な建造物が造られていて、
確かに集落の中に立つ巨木の姿を見渡すことができたのですが、
もろに逆光になってしまい、長い時間その姿を楽しむことができにくいことが
ちょっと辛いところでした。

箒杉の足元に戻り、さらに丹沢湖へ戻る方向の下り坂へ進んでいくと、
道沿いにはさらに鮮やかに赤や黄色を示す紅葉の領域が現れ、
そして谷底の道へ下って箒沢バス停へ戻るように折り返していくと、
谷に寄り添う高台の上にさらに巨大な箒杉の姿が、やや雲の出てきた青空の
もとに、今度は順光に照らされてりりしくそびえたつ、かっこいい姿を
見ることができました。

バス停に戻っても、帰りのバスの時間まではまだまだ余裕があり、とりあえず
周辺の廃墟のようなキャンプ場の広場の奥に垣間見られた紅葉の姿を探しに、
敷地の中へと足を踏み入れてみました。いくつかバンガローは
佇んでいましたが、ひとけはなくひっそりとしている園地の中の道を川の方へ
進んでいくと、渓流沿いに鮮やかに赤くなった楓の木がたくさん生えていて、
枝の間に除く川の流れを背景として、美しい姿を見ることができました。
また近くには古く錆び付いた、板も朽ちかけすき間の大きい、上下左右に
ものすごい揺れが襲ってくる、こんなスリリングなものだったんだと改めて
認識させられる恐怖体験をさせてくれた吊り橋が架かっていて、対岸のやはり
バンガローの集まるひっそりとしたキャンプ場にも、きれいで鮮やかな紅葉が
広がり真っ赤な葉を足元に堆積させている、この時期らしい風景を見つける
ことができたのでした。

それでも時間にはまだ余裕があり、さっき見つけた高台の集落で営業していた
食堂で軽食を摂ることにしました。
今年の紅葉は全然だめだと女将はおっしゃっていましたが、改めて辺りに
切り立つ山肌の、枝だけになった木々が多くを占める領域を見てみれば、
きっと最盛期にはこの部分がすべて紅葉で埋め尽くされる、すごく鮮やかな
風景になるのだろうと考えることができるようになって、この箒沢が紅葉の
名所だといわれた所以は、今回のように特別な所に鮮やかな風景を探しに
行かなくても、巨大な山肌全体が紅葉に彩られる所だからなのかということを
理解できるようになりました。ぜひともそのような風景を本当に見ることが
できるようになった時に再訪してみたいものだと、強く感じたのでした。

食事を終えてもまだまだ時間はあり、思い切って次に行くつもりにしていた
中川温泉まで、バス道を歩いてみることにしてみました。
最盛期は過ぎてしまった感じの紅葉の山肌を愛でながら、時々トンネルを
越えたりもしながら、時々鮮やかな姿を見せる山肌の足元の、白い岩盤の間に
流れゆく川の姿を楽しんだり、時々現れるすれ違い困難区間という細い道との
出会いを楽しんだり、さっきバスの車窓に見えた大滝橋のオートキャンプ場に
展開する楽しそうな人々の姿と焚火のにおいを楽しんだりしながら、
下り坂の山道をゆっくりと進んでいきます。
中川の集落が近づくと、斜面にはまず紅葉の木々を従えるお寺が現れ、そして
依然として深い谷の底に、紅葉に彩られた川の流れに寄り添う駐車場が現れ、
鮮やかな紅葉が埋め尽くす谷底に建物も多く現れるようになってきました。
そして現れた谷を下る坂道へと分岐していき、急坂をゆっくりと下っていくと、
上から見られた日帰り浴場の駐車場へとたどり着きました。
それなりに距離はある道でしたが、次のバス便を待つよりは早くたどり着く
ことができたようでした。

川沿いに通される歩道には真っ赤になった楓の木が立ち、白い岩を転がす
爽やかな川の流れに架かる、今度はちゃんとした吊り橋を渡っていきます。
次の橋までの間に川沿いに伸びていた遊歩道を歩んでいけば、鮮やかな紅葉の
木々にたくさん出会え、温泉街の大きな建物も森に囲まれて庭先に紅葉の木を
従えている、秋の静かな温泉街の風情を楽しんでいくことができました。
そして町営の中川温泉ぶなの湯へ立ち寄りました。塩素臭は多少
ありましたが、pH10.1ということらしい美人の湯に浸かり、紅葉の風情
たっぷりの露天も含め、存分に楽しむことができたのでした。

来た急坂の道を、紅葉を振り返りながらのんびり登っていき、高台の
中川バス停へたどり着きました。行きと違ってほぼ定刻にバスが来たと
思ったら、停まって客を降ろしたのに、増発便なので乗せられませんと
言われ、やはり遅れてやってきた定期便まで暫く待たされることと
なりました。
乗りこんだバスは小さい建物の並ぶ道から、時々並走する川が白い河原を
見せて、秋色の山並みに囲まれ谷間を作り建物を抱くような風景を見て、
少し進めば紅葉が鮮やかだった焼津へと進み、急に豊かな水量をたたえる
ようになった丹沢湖の姿が車窓に現れてきました。
そして湖岸の風景を眺めながら賑やかな領域へと進んでいき、マラソン大会の
装飾がたくさんある半島状の街並みを垣間見る学校入口から、
さっきバスに乗った浅瀬入口へと進み、白く大きな斜張橋を渡って、朝より
少しどんより曇ってきたような感じの丹沢湖バス停を、誰の乗車もないまま
通過していきます。
行きのバスと同じように、二股に分かれているような湖岸の道の反対側を
大きく寄り道して玄倉の集落まで進んで引き返し、トンネルをくぐって
大きく広がっていた丹沢湖の湖面とお別れした後は、再び時々沢のような
水面を見せる川沿いに寄り添う山並みの姿、その足元に時々現れる建物の
姿を見て走るようになり、そして辺りは少しずつ薄暗く、夕暮れの雰囲気を
帯びるようになっていきました。

谷峨駅にだいぶ近づいた宮原入口というバス停で下車し、新東名の工事らしく
いかつい重機で山肌が抑えられている中の道を少し引き返し、せっかくなので
道の駅山北を訪れてみました。しかし思っていたよりも小規模、小さい売店と
小さい駐車場のみの施設で、ここで長い時間を過ごすのは厳しいように
感じられてしまいました。それでも川沿いに設けられた広場には紅葉した
楓の木が立ち尽くし、そしてごつごつした河原の対岸には、立ちはだかる
ようにそびえる山肌の足元に、高密度な紅葉に彩られたキャンプ場が
広がって、たくさんの人や車を集め、多少距離があるのに焚火のにおいも
漂ってくるような所でした。

谷峨駅へは歩いて向かうことにしましたが、辺りはもうどんどん暗くなって
いく一方となり、どんよりとしてしまった空からは一瞬ぽつぽつと小さい
雨粒まで落ちてくるようにもなってしまいました。
やはり山並みの間を通されている国道246号と交わる直前に、商店や発電所を
含む小さい集落が現れ、そしてあっという間に真っ暗になってしまった
山の中腹に点々と光の粒が一定方向に流れていくようになった風景の中で、
複雑に交錯する川の流れを246号の橋で渡り、東名高速の巨大な橋をくぐり、
谷峨駅へ向かって分岐する道へと進み、特に街並みが現れるわけでもない
崖下の道を、並走する国道や高速道路の光の粒を見ながら歩き進み、
やはりひっそりとしていた夜の谷峨駅へと帰り着いたのでした。
帰りの電車が来るまでの時間で、崖の上に登るような路地を伝ってみれば、
高台には一応、谷峨の集落が道沿いに続いているのを見つけることが
できましたが、待ち時間をつぶせるような規模ではないような感じでした。

谷峨駅にやってきた国府津行きの列車は2両編成で結構な混雑で、もはや
周りの風景など見られない暗闇の中をひた走っていきました。
そして乗り換えのために下車した松田の街へ出て、あまり飲食店など
多くはない印象だったけれど駅の近くに素朴な食堂を見つけることができて、
無事夕食にありついたのち、松田駅へ戻ってふじさん号の乗客となり、
優雅に紅葉の旅を締めくくったのでした。