静岡(2018.4.29) | 旅の虫速報

静岡(2018.4.29)

murabie@静岡市清水区です。

今年は休日の仕事が突然少なくなったため、この連休も完全に暦通り
休める状況となりました。後半は天気が心配だけれど前半は心配なさそうな
予報でもあり、せっかくだから急遽拵えた旅に出ることにしました。

今朝の東海道新幹線に乗り込み、下りなのにかなり余裕のある車内で、
快晴の空の元の明るい山並み、みずみずしい新緑、まぶしい海、凛々しい
富士山の姿を楽しんで、今回は静岡駅で下車することにしました。

まずはネットで見た富士山の写真に触発された、日本平へ行ってみることに。
静岡駅からでもバスに乗れたのですが、ここはマニアの性で、
大きな建物の集まる静岡駅北口の巨大な街並みを移動し、
新静岡駅から静岡鉄道に乗って、大きな建物の並ぶ街の中で確固たる
地位を持っている複線の線路を進み、こんもりした新緑の裏山とバンダイの
工場に寄り添われる長沼という、車庫を併設しているけれど細いホームの
無人駅に降り、素朴な住宅街も垣間見られる道から道しるべに従って
きわめて細い路地へ進んでから、郊外型店舗の集まる大通り、そして巨大な
新しい建物が比較的余裕を持って集まって人工的な雰囲気の新しい街を
作り、空き地では何やらイベントの準備の進む東静岡駅へ歩き進むという
ルートを。
要は日本平に行く路線バスが東静岡駅を通るということを知って、
降りたことのない駅に寄ってみたくなったというわけで。
バス乗り場のある駅の南側の周辺にも、無機的な大きな建物が集まる
新しい町並みが形成されていたのでした。

接続が悪くてしばらくバス乗り場のベンチでゆっくり過ごし、やってきた
バスに乗り込めば、バスは少しだけ大通りを進んで素朴な民家の集まる
住宅街の上り坂へ進み、日本山動物園を通り過ぎると一気に山道の雰囲気と
なりました。鬱蒼とした新緑の森を切り開いた明るい道を進む車窓には時々、
丘陵に囲まれて小さい建物の密集する静岡の市街地の展望が開けます。
バスは山の中にいくつかある施設の駐車場に寄り道しながら延々と
山道を登り、やがて日本平の山頂付近にあるホテルや園地を周回して、
無機的なコンクリートの駅舎の、日本平ロープウェイの駅へとたどり着きました。

ここのロープウェイは山を登るためではなく、谷を越えるために作られている
珍しい存在で、先を急がなくてもむしろこの日本平の山頂の付近に
見逃せない見どころがあるのでした。
新しい展望施設が建設中の山に設けられた仮設の遊歩道を進むと、
山頂の吟望台にはすぐにたどり着くことができます。
果たして海に臨む展望台には、かすんでしまって空と似た色になってしまって
いた富士山が、雪をかぶった山頂を青空に浮かべるようにして姿を見せ、その
足元には静岡の街並み、そして海には弓なりに伸びてきた三保半島が、外海側を
おそらく松原となるきれいな曲線にして、そして内海側にいかつい港を削り
込まれた姿を示し、富士山はまるで港の上に浮かんでいるかのような、そんな
勇壮な絵画のような風景が大きな展望として広がっていたのでした。

山頂周辺には吟望台以外にも展望スポットがいくつもありました。坂を下った
所に広がる駐車場を囲む丘陵には東展望台という、人工的な展望塔の設けられた
展望台があって、ここからも港に浮かぶような富士山の姿に出会えました。
また、駐車場を囲む飲食店の屋上も展望台になっていて、山並に囲まれる
静岡の街並みの姿も併せて楽しむことができたり、また駐車場の隣に新緑の
まぶしい茶畑を持つ施設では、とりあえず茶摘み体験をしないと茶畑には
立ち入れなかったものの、その入り口に立つ松の木と並んで富士山が凛々しい
姿を見せる風景にも出会うことができました。本当は空気が澄む11月~2月が
ベストシーズンらしいので、またその時期に訪れてみたくなってきました。

そんな感じでしばらく日本平側で素晴らしい展望を堪能したのち、満を持して
久能山側へ移動するロープウェーに乗り込みました。
ゴンドラは発車すると、屏風谷という深い谷の上空を飛ぶ鳥のように滑空を
始めます。もともとつながっていた日本平と久能山の間の軟らかい地盤が
削られ、日本平側の陸地は切り立つ屏風のようになり、刻まれた深い谷は
常緑樹の森となって、この時期紅葉ならぬ緑葉といった感じの、さまざまな
水鳥系統の色のパッチワークとなっていました。若葉のみずみずしい緑、
どんぐりを実らせる木の黄色い花、木々に絡みつく紫の藤など、
黄緑やら深緑やら茶色やら黄色やら紫やら、緑という一言で表すことの難しい、
想像以上の色鮮やかな山の風景を楽しめたとともに、しばらく進むと、
久能山の下に広がる海原に接する海岸線がひたすらまっすぐ伸びて、
海岸線が一期畑であるらしい無数のビニールハウスに固められている風景にも
出会うことができたのでした。

そんな、短時間だったけれど素晴らしい眺望に出会えたロープウェーから
降り、駅前にもあるまっすぐ続く下界の海岸線を眺められる展望台を経て、
久能山東照宮の賑やかな境内へと足を踏み入れました。
鬱蒼とした森に囲まれる境内はそんなに広くない代わりに、たくさんの
神殿が急斜面上に配され、長くないけれど急な石段を上ることで、
たくさんの神殿にお参りできるところです。山門、そして本殿も、丹の色と
金箔を主体としたきらびやかなもので、庇の下には動物や無数の葵の
御門など無数の装飾が施される華やかな雰囲気を作ります。
華やかな本殿を迂回してさらに急な石段を上り詰めると、きらびやかでは
ない、うっそうとした森に包まれた静かな雰囲気の領域に、神廟という、
徳川家康の遺体が安置されているらしい小さなお堂がたたずんで、
静かな祈りの空間になるはずの所にたくさんの参拝客が訪れている、
なんだかんだここもにぎやかな雰囲気になっていたりもしたのでした。

そして東照宮のきらびやかな雰囲気を後にして、久能山の下に広がる
長く続く海岸沿いの街から急峻な山肌を登ってくる階段道を、
少しだけ、山門の所まで下ってみることにしました。
がけっぷちの道にはところどころ下界を見渡せる展望台ができて、穏やかで
明るく輝く海原に接するひたすら長く続く海岸線が、遠くで海の方へ
折れ曲がって御前崎の方へ続いている様子を眺められるところも
あったりしましたが、境内に比べればはるかに緩やかな傾斜となって石垣の
足元を折れ曲がる階段道を下っていくと、崖に張り付く展望台からは
眼下にきわめて賑やかそうな街並みを見据え、横に長く続く海岸線に
対峙する、きわめて穏やかな海原の風景を大きく見渡すことができました。

本当なら1000段以上あるというこの階段道を下ってみるのも面白そうな
感じがしましたが、このあたりの地理を理解しないままロープウェーは
往復切符を買ってしまっていたため、再び石段を登って日本平へ戻る便へと
乗り込んだのでした。
さっきとは反対側の窓際に陣取って、再びいろいろな緑色がパッチワークを為す
鮮やかな新緑の山林の姿を満喫して日本平へ戻り、そして静岡駅へ戻る
バスに乗り込んで、時々展望の開ける山道から日本平動物園を境に素朴な
街並みへ、そして郊外型店舗の集まる大通りや東静岡周辺の人工的なにおいの
強い街並みを経由し、帰りは静岡駅まで乗りとおしました。

バスの着いた北口から、さっきよりも賑やかになった静岡駅を貫いて
南口に回り込み、北口に負けず劣らず大きな建物が集まって賑わいを見せる
南口のバスターミナルから、登呂遺跡へ向かうバスに乗り込みました。
バスは巨大な建物の集まる大通りをまっすぐ南下し、道幅は変わらないまま、
町の勢いが弱まって時の流れが遅くなっているかのような感じになりながらも
そのままひたすらまっすぐ南下を続け、ある所で素朴な住宅街の中へと
折れ曲がり、終点へとたどり着きます。

登呂遺跡はバスの終点に隣接して、大きく広がっていた新緑の広大な
公園でした。要は芝生の広がる園地の中に、住居跡を現す築堤と堀、そして
その上にいくつかの竪穴式住居が復元され、また堤や堀がなく支柱の跡だけが
あった所にはちゃんとネズミ返しも再現されている高床式倉庫がいくつか
復元されていたりして、そんな歴史的に重要な意味のある遺跡であると
いうことを知ってか知らずか、広大な緑地と認識している子供たちや
家族連れたちが思い思いの時を過ごしている、文化財としてはあまりに
オープンな感じのする明るくのどかな園地となっていました。
住居跡の復元されている区画と隣接して、今年はまだ田植えが始まっていない
けれども水田も復元されていて弥生式のムラそのものを復元しているような
感じにもなっていて、隣接する博物館に入れば発掘された様々なものが
展示されていて、中にはリサイクルされていた部材みたいなものもあったり
して、弥生時代という時代のことを実感を伴って学ぶことのできるところに
なっていたのでした。

そんな明るくのどかな弥生時代の雰囲気を満喫して、静岡駅へ戻るバスへ
乗り込み、駅へ向かう道をひたすらまっすぐ北上して静岡駅へたどり着き
三度駅構内を縦断したのち、北口から北上する賑やかな大通りをのんびりと
そぞろ歩いて、駿府城公園を目指しました。
賑やかな大通りが複雑に交錯する交差点に出ると外堀が見つかり、渡ると城内に
入ると思いきや、統廃合でほかの施設として使われているものも含むいくつかの
学校が集まる領域となり、しばらく歩き進めば今度は真っ白くてかっこいい
駿府城の東南端の巽櫓が姿を見せる中堀が現れてきます。
城の石垣に育っている新緑のみずみずしい森林が堀の上へせり出すように
黄緑の枝を伸ばしている風景を楽しみながら、中堀にかかる太鼓橋を渡り
東御門を通って、ようやく城内へと足を踏み入れました。

城内は城跡というよりはむしろ緑地公園として、たくさんの地元の人たちの
憩いの場となっているようで、場内では何やらイベントも行われてスピーカー
からの大音響が響いてきます。
城内の東側には石垣が一部復元されている内堀があり、その内堀と中堀を結ぶ
水路が、直線的に刻まれた道を複雑に数回折り曲げられながらたたずんで
いるところもあったりします。
水路を越えて城内の北西側へ進み、紅葉山庭園という有料区画を訪れることに
してみました。この時期花が咲き乱れたり紅葉だったりはしないのだけど、
大きな池を中心にして広がる庭園は極めて静かで穏やかで、池を囲むように
育つ森林はやっぱりみずみずしくまぶしいばかりの黄緑色を呈していて、
池に沿って歩みを進めれば、築山があったり砂浜を模した岸辺が作られていたり、
池の形も変わって見えてきて、うっそうとした森に通された水路はすがすがしい
滝へつながり、そんなじめじめした森の足元に、さすが徳川氏のおひざ元と
いった感じでフタバアオイの大きな葉が地面を埋め尽くす一角があったり。
歩けば歩くだけ新しい風景が現れて楽しく歩くことのできる庭園の、
穏やかでこの時期ならではの鮮やかさを示すいろいろな風景を、じっくりと
楽しむことのできる庭園でした。

引き続き中堀に沿って園内を反時計回りに進むことを試みたのですが、
北西側は天守閣跡の発掘調査中らしく、広大な領域が柵で囲まれ、その領域を
迂回するようにすると結局は城内の中心に近い、イベントの行われている
ところへと進んでいくことになります。
西側の門へ近づくと、天守閣跡を示す碑のそばに巨大な徳川家康の銅像が立ち、
その下にはフェンスに囲まれて、家康が手植えしたというミカンの木が何本か
立って、新緑の中で小さい花をたくさんつけているところでした。
西の門のすぐ近くには、発掘調査の状況を眺めることができるようになっている
所があり、閉鎖時間間際だったので駆け足になってしまったのだけれど、
かなりの領域にブルーシートがかけられながらも、一部の領域ではいろいろと
複雑に彫り込まれているところがあったり、あるいは堀端の石垣の復元が
進んでいるところがあったりして、歓声が楽しみになってくるところでした。

南西側は普通に石垣の上の木々の間から中堀の水面を見ることのできる道を
行くことができましたが、南西角に立つ白い坤(ひつじさる)櫓の公開時間は
もう終わりとなっていた夕暮れ、夕焼けになりつつある太陽によって城内側
では櫓の姿は逆行となり、石垣の裏側の斜面を埋め尽くすオオムラサキツツジ
達に彩られて静かにたたずんでいました。
そして賑やかなイベントの行われていた園地や、広大に広がる芝生の園地を
垣間見つつ、ようやく東南端の東御門へと帰り着くことができたのでした。

駿府城公園を後にするころには静岡の街に夕暮れが迫って来ていました。
それでもまあ明るいうちには下山できるだろうと踏んで、新静岡駅から乗った
静岡鉄道の列車を2駅目の音羽町で下車し、このあたりで駅裏に大きく
迫ってきたこんもりした新緑の谷津山の尾根筋に伸びるハイキングコースを
歩むことにしました。
入口は住宅街に接するところにある、どこかで聞いたような清水寺という
お寺が鬱蒼とした森の中に風格のある本堂や鐘撞堂を配置している寺となり、
その隣には何でもない児童公園の清水公園が広がっていて、急峻な山肌を
伝うような滝のように大量の水が流れ下ってきて、その滝つぼから生じる
水路で水車が回転するという演出の施された園地でした。

斜面の上へ登る遊歩道はいろいろな道が刻まれていて、尾根の上まで登ると
小さな園地が広がっていて、ここからが本格的にハイキングルートとされている
道の始まりとなるようでした。
道は尾根上をいったん下ってから引き続き上りの階段道となり、ほとんどは
鬱蒼とした森の中の道でしたが所々森の途切れた明るい尾根上の道となり、
あるいは筍がそこいらに頭を出す竹林だったりし、
そして斜面の木々も途切れてしまえば、下界の展望がきれいに広がります。
南側には小さい家並みが広範囲に密集する街並みの中に小さいこんもりとした
丘が島のように浮かんでいる風景が見られ、北側は丘陵に囲まれて家並みが
密集する街の様子が垣間見られます。

やがて道は斜面をどんどん上り、オオムラサキツツジの花できれいに彩られた
斜面から周囲の展望を望むことができるようになり、ついには谷津山の頂上と
なり、何やらフェンスで囲まれた鉄塔の足元のある広場が、谷津山古墳と
いうことになっているようでした。
南側の街並みを見れば、静岡の街並みに隣接して日本平の山の姿も現れ、
森林の中に何やら開かれた領域があったり、山頂にさっき訪れた時に見たような
気がする建造物が小さく姿を見せていたりするのを眺めることができました。

山頂を下ると道は再び鬱蒼とした森の中の道となり、その森が開けたところで
空に溶け込むような富士山の姿が見られるところで立ち止まったりしながら
しばらく進むとまた芝生の小さい園地が開けてピクニック広場という所へ進み、
だいぶ山並へ太陽が近づいている北側の街並みの風景や、南側の今朝訪れた
東静岡の周辺の人工的な街並みを見渡すことのできるところとなっていました。
そしてさらに東の愛宕神社を目指す山道と分岐して、竹林の中を何度も
スイッチバックする登山電車の線路のようにジグザグに下っていく道に
したがって山を下っていくと、突如、夕暮れ空のもとに広大に開けた芝生の
園地の奥に、こんもりした新緑の山並みに背後を守られて静かにたたずむ
静岡県護国神社の本殿を見ることのできる境内へと躍り出ていたのでした。
護国神社は境内の広さも神殿の大きさもスケールを感じさせるもので、
入口へ戻るにも鬱蒼とした森林の中の長い道を進むこととなり、そんな森の
中に静かにたたずむ池の風景も、だいぶ夕暮れの色を濃くしているのを
感じながら、薄暗い森の中ひたすら歩みを進め、静鉄の線路沿いに聳え立つ
大きな鳥居の入口へと帰り着くことができたのでした。

いったん線路沿いに静岡方面へ戻ってこれまた小さな柚木駅へ立ち寄ってから
線路を渡って大通りに出て、東へ進むとここでも道の延びる先に空に溶け込む
ような富士山の姿を見ることができましたが、辺りはさらに夕暮れの雰囲気が
深まるようになってきました。
東静岡駅の近くに現れた一応天然温泉であるスーパー銭湯に立ち寄って、
源泉や高濃度炭酸泉を含むいろいろな温度、いろいろな泉質の湯をじっくり
楽しみつつ境界た大量の汗を洗い流し、だくだくに温まった状態で、
涼しくなってきた夜の街へと進み、今朝歩いたのと逆のルートをたどって
きわめて細い路地を通過し、再び長沼駅へと帰り着いたのでした。

夜になった長沼駅にやってきた静鉄の列車は引き続きこまめに小さな駅に
停まりながら東へ進み、静かな夜の風情となる新清水駅へと到着しました。
とりあえず宿にチェックインしてから夕食を探しに彷徨ったのですが、
地図上では賑やかそうな感じだった清水銀座も、まだ放送で音楽は流れて
いて街灯も赤々と着いているものの、ほとんどの店がシャッターを下ろして
しまっていて帰って寂しさを強く感じる結果となってしまったり。