若狭高浜、若狭本郷(2014.8.10) | 旅の虫速報

若狭高浜、若狭本郷(2014.8.10)

murabie@小浜です。

台風11号は今朝ほどに高知県東部に上陸したようでしたが、
進路予報は相変わらずもろにこっちに向かっていました。
昨日は心地よいくらい涼しかったのですが、今日は気温こそ高く
ないものの湿度が高いむっとした空気に包まれていました。
今朝の西舞鶴はまだ小雨程度の空模様でしたが、列車は早くも昼過ぎまで
運休が決定、今回は片道乗車券の途中下車の旅だったのですが、
都会と違って路線バスに振替なんてことはしないらしく、それでも
行ける所まで行ってみようと、昨日も乗った右回り循環バスに乗り、
西の街並みから山を越えて中舞鶴、自衛隊桟橋、赤レンガ倉庫と
経由して東舞鶴の街並みへと進みました。

ここからは引き続き京都交通の路線バスが、県境を超えて若狭高浜まで
通じているという情報を得ていたので、少しだけ待って乗り込みました。
あと1時間待てば小浜へ直行できる高速バスもあるようで、どちらに
すべきか悩んでしまったのですが、今日のところは当初の予定通り、
小浜線沿線を擬似途中下車しながら進むことを選択しました。

バスが出発するとともに雨脚は強くなり、雨に煙る車窓を見ながらの
旅路となりました。川を渡るたびに街の勢いは衰えていき、市場で
線路を大きく跨ぎ越すと街は完全に終了し、バスは丘陵に囲まれて
広がるみずみずしい水田の中を行くようになりますが、国道沿いなので
わりと大型店や小さな工場のたぐいも頻繁に車窓に現れます。
そんな建物たちとの出会いを繰り返すうちに水田は徐々に小さく、
引き換えに丘陵は大きくなっていきます。
瓦屋根の家並みが確認できた松尾寺駅周辺の街並みを垣間見て、
松尾寺への道が里山の中へと消えていったのを見送ると、バスは
長いトンネルに入り、私にとってこの旅のメインとなる福井県へと
突入していきました。

トンネルを抜けたバスは坂を下り、早くも広く開けた田園へと進みます。
左手に控えていた丘陵はいつの間にか消滅して、曇り空が大きく
広がるようになり、三松駅を過ぎてしばらくすると、車窓には
大きく海が広がりました。美しい砂浜の海岸には岩礁がいくつか
浮かび、やや荒れた海は砂浜にしきりに波を寄せてきます。
そしてバスは程なく高浜の市街へと進んでいきます。比較的大きな
スーパーなどが立ち並ぶようになり、雨の中にあって心なしか
明るい雰囲気で、若狭高浜の駅舎もローカル線の駅舎としては
綺麗に作られていました。

雨脚は確実に強くなっていて、これからどうしようか考えたのですが、
もう荷物や靴が濡れるのは当然のこととして、とりあえず駅の
周りの街でも散策してみようということになりました。
駅の近傍は強引に土地を広げたかのように大きな建物が並んで
いましたが、駅前から真っ直ぐ延びる通りを進んでいけば、
辺りには次第に古めかしい小さい建物が増えてきて、素朴な
昔ながらの街並みへと変わっていきます。そして更に歩みを
進めれば、駅から見えていた丘陵が、港を守る岩礁となって、
正面に開けた直線的な港の入口を左右から固めていました。
特に右手の山は城山ということで見どころもありそうだったのですが、
しかし街なかにいる時よりも海からは風も雨も強く打ち付けてきて、
仕方なく街並みへ戻ることに。

メインストリートに交差する路地に分け入ってみてもまた、古い
建物がたくさん集まる道となりました。要は沖合に浮かんでいた
城山が砂州で本土とつながったという感じで海へ突き出す陸地に
街並みが成立しているため、線路と並行に進んでも海へ向かう
こととなり、街なかを流れてきた川が東側に河口を開いて
海からの風を呼び込んできたわけです。

ゆっくり歩けば味わい深い街だということは容易に想像できたし、
手元の地図では海沿いに若狭和田まで歩いていけば魅力的な
海岸が続いていそうだったから、ぜひともそうしてみたかったのだけど、
吹きすさぶ雨風に心は折れて街へ引き返す、でも街なかの風雨は
まだ落ち着いていたから、まだ行けるんじゃないかと街へ戻る、
なんてことを何度か繰り返してしまいましたが、最終的には
駅前に車庫を持つタクシーに、若狭和田駅を越した少し先にある
道の駅まで連れて行ってもらうことにしました。
タクシーは左手遠くに海岸の存在を予想させる松原が続くのを
見ながら、丘陵に囲まれた田園の中を通る幹線の国道を
あくまで突っ走り、わざとらしいばかりに立派な駅舎を持つ
若狭和田駅に差し掛かると、左手に現れた丘陵の足下に
差し込まれたような入江の最奥部が一瞬姿を見せて、
再び建物に囲まれる国道を進み、道の駅シーサイド高浜へと
たどり着いたのでした。

この道の駅は立派な建物がすぐに丘陵の足下に差し込まれたような
入江の海岸となり、対岸には深緑の丘陵が高く切り立って、
あまり海という感じではない、幅の広い川の岸辺にいるような
風景を、直接海岸に出て、あるいは休憩所や食堂の窓から
大きく眺めることのできる所でした。
その川のような海も今日は波打ち、空には大量の雨粒が強い風に
吹かれて乱舞し、時には建物間を移動しようと外にちょっと
出ただけで風雨にやられる自体となってきました。
結局外の様子を見ながらあまりに長い時間、食事を取ったり
休憩所で居眠りしたりしながら、強い風雨をやり過ごすしか
ありませんでした。

台風は12時には神戸辺り、そして1時にはあろうことか舞鶴辺りに、
ということで、今回はほぼ台風の中心を訪れることとなって
しまったわけです。
一時は激しい風雨が荒れ狂った外の様子も、1時半くらいになると
少しずつ落ち着いてきて、まだ強風は残っていたけれど、
傘をさしながら歩けばあまり気にならないくらいにまで穏やかに
なり、意を決して道の駅の外へ出ることにしました。
さしあたって、入江に沿って川岸を散歩するようなのりで散歩
してみれば、足下をちょろちょろするのはフナムシで、目の前の
水路は間違いなく海なんだということを教えてくれたりなんて
いう場面もあったりしましたが、ずっと海沿いに歩いていける
わけではなく、国道に戻ってやたら広い駐車場を擁する何やら
科学博物館のような施設や店舗の並ぶ道を歩いていくと、
さっきタクシーからも見えた入江の最奥部が、小さい船を
いくつも浮かべながらだいぶ落ち着いた海の姿を見せてくれて
いて、近くの若狭和田駅への訪問も無事果たすことができました。

若狭和田駅の委託の駅員さんに、代行バスのことについて
聞くことができたのですが、どうも1台がピストン輸送をする
体制のようで、運行時刻もはっきりしたことは言えない状態のようで。
そこでとりあえず隣の若狭本郷駅までの歩きに挑戦
することにしました。

もう雨は完全に上がり、靴が濡れたままであることを除けば、
気持ちよく歩くことを楽しむことができるようになりました。
再びシーサイド高浜を通り、また入江と再会したり、
調子に乗ってフナムシを追い散らしながらずんずん東へ進もうと
したら、ある所で行き止まりになってしまい結局道の駅まで
引き返さざるを得なくなったりというハプニングもあったり。

道の駅を過ぎると海側にはB&Gの施設、三菱造船の施設など
大型の建物ばかりが現れるようになり、道は高浜町から
おおい町へと進んでいきます。おおい町に入ると海側には
多目的運動施設とかいうことで色々なスポーツのグランドが
たくさん並ぶようになり、道もなんだか人工的に飾り付けられた
ような様相を呈するようになってきます。原発を持つ町だし
金があるのかなあなんて想像してみたりして。
そして国道から一旦海側に折れてから高い所へ登って元の国道を
またぎ越し山の方へ向かっていく大げさな道と分岐すると、
ようやく若狭本郷駅の周囲に広がる街へ進んでいきます。

ちょうどその頃、小浜方面への代行バスに追い抜かれて
しまったのでした。本郷駅の委託の駅員さんに聞くも、
もう今日は復旧しかないかもしれないと。天気はもうほとんど
回復しているというのに。
少し待合室で休ませでもらってから、ここにもある道の駅の
うみんぴあ大飯という所へ向かうことにしました。

本郷駅周辺の街並みを抜けると、高浜の道の駅からも
入江の外海側に見えていた、青戸の大橋というらしい、
対岸に向かって優雅な上下のカーブを描く赤い橋が、だいぶ
幅を広げた入江を渡り、対岸は途切れて奥へ向かうためここまでの
様相とは大きく異なる広大な海原が広がるようになりました。
そして佐分利川が河口を開くその場所から、道の駅の敷地が
始まり、岸壁のように岸が整備された広大な芝生の公園の向こうに、
広い間隔を開けながら大きい建物がいくつか建っていました。
空には晴れ間も現れ風景の彩度も上がっていたのですが、
海の色は残念ながら泥のような色のまま遠くまで広がって
いたのです。沖合はそれなりに青い海だったので、砂浜の色が
滲んだのだと思えば良いのでしょうが……これもきっと
台風の置き土産なんでしょうね。

道の駅の建物は、観光遊覧船も発着する四角く彫り込まれた
海を眺めながら休憩できるようになっていて、晴れ間も広がるように
なった空の下に、丘陵に囲まれながらも広々と広がる青い海原を
眺めながらのんびりできる所でした。
そして芝生の広場を通り抜け、赤いけれど青戸の大橋を正面に
見る岸壁のような海岸をなぞるように歩けば、橋のたもとに
広がる本郷の小さい街並みの上に、雲間から何やら成層状の
山かげも姿を現し始めていたのでした。

そろそろ夕刻も近くなってきた頃、若狭本郷駅に戻り、
代行バスの時刻を確認したところ、約1時間後に東舞鶴を
発車するということがわかりました。若狭本郷駅につくまでには
それから30分位あとということのようでした。
駅でじっとしているのもなんだなと思って、あわよくば風呂にも
入れるかななどと考えつつ、あみーシャンという温泉施設の
ある所まで歩いてみようと、車の案内に従って国道から分岐して
高いところを通る丘陵沿いの道まで回り込んで進んでいくと、
大きな町役場の建物が途切れわずかばかりの住宅街を経て、
桜並木の水路の向こうに田園が広がるようになってきました。
そのまま水路沿いに歩みを進めると、丘陵に囲まれて黄緑色の
水田が広大に広がるようになって、目的地のあみーシャンは
その一番奥の丘陵の足下にあるようでした。

とりあえず田圃の中をゆっくり歩き、あみーシャンの足下まで
進みはしたのですが、ちょっと時間がかかりすぎて、ゆっくり
風呂に浸かる時間までは取れなさそうになってしまい、素直に
駅まで戻ることにしました。ただし対岸にあみーシャンを
置いて流れる川は道の駅の近くに河口を開いていた佐分利川で
あるようで、歩き前提ならもっと早くたどり着くことができたの
かも知れないです。

佐分利川沿いに駅の方に戻ると、本郷大橋という橋に差し掛かり、
ここからは青戸の大橋の対岸となる丘陵の姿や、道の駅の敷地の
大きな建物を見ることもできます。相変わらず泥水を流し続ける
川に別れを告げて住宅街の方へ進めば、これまで以上に古くて
重厚な味わいを見せる、河原や雨樋に細かい装飾が立派に入って
いるような建物の密集する街並みとなっていて、結局ここでも
のんびり歩くことを存分に楽しむことができたような気がしました。

そして夕方となった若狭本郷駅に戻り、駅裏にある町の施設の
庭に展示されていたSL弁慶号が実は花の万博で走っていたもので、
この若狭本郷駅の駅舎も花博の会場にあった風車の駅を移設して
来たものだということを、この街を離れる寸前になって知ることと
なったりしました。
駅前の小さなバスターミナルに大量の客が並んでいたのは
大阪行きの高速バスの客のようでしたが、列車の代行バスを待つのは
私のみのようでした。どうやら反対方向の東舞鶴行きの便から
列車が復旧するらしく、バスを待つ間にそっちのほうが先に
若狭本郷駅にやって来ました。ワンマン運転と言いながらたくさんの
作業員を乗せ、速度もゆっくり、客も少ないという状況だったけれど、
自分が乗るわけでもないのに何だか嬉しいものを感じてしまいました。

そしてようやくやってきた小浜行きの代行バスに乗り込みました。
客は自分とあと一人だけという状態でした。バスは国道を進み、
道の駅を通過するといくつかの海水浴場を通過して、時には夕暮れの
幻想的な海を大きく見渡すこともありました。加斗、勢浜といった
無人駅には入ることなく客なし通過という判断を、添乗していた
JRの人はしていたようですが、何やら取り決めが存在するの
でしょうか。勢浜を過ぎると高台から砂浜の海岸を見渡すようになり、
だいぶ暗くなりながらも美しい海岸や雲間の幻想的な夕陽を
眺め渡して、バスはトンネルをくぐり、小浜の街へと進んで
いき、古めかしい木造の小さな建物の密集する通りから、不気味な
青い電飾がすべての柱に取り付けられる商店街を通って、夜の雰囲気と
なった小浜駅へと辿り着きました。小浜から敦賀方面も列車で
復旧を果たしたらしく、バスの到着を待って発車していきました。

今日の宿は駅から少し離れた海岸沿いなので、バスで通った不気味な
商店街を引き返すこととなりました。電飾はされているけれど
7時を過ぎた時点で開いている店は殆どない状態。飲食店も殆ど
存在せず、駅前で確実に開いている店に入っておくべきだったかと
公開しそうになりましたが、海岸沿いで営業する飲食店を発見し、
宿に荷物を置いてから向かえば、居酒屋っぽいメニューだけれど
食事の希望にも対応してくれるようなありがたい店でした。

さあ、明日からが旅の本番、となるんでしょうかね。
また暑くなっちゃうんでしょうけど……
台風じゃなかったら今日のうちに小浜の観光を済ませておきたかった
ところなんですが、今後の予定にどれだけ影響が出るだろうか。