南楽園、須ノ川、御荘、宿毛(2013.8.7) | 旅の虫速報

南楽園、須ノ川、御荘、宿毛(2013.8.7)

murabie@東宿毛です。

今日はフリーきっぷに含まれている、宇和島から宿毛まで到達する
路線バスの沿線を旅することにしました。
宇和島の市街はさすがに広範囲に広がって、街並みはなかなか
途切れませんでしたが、晴天のもと次第に車窓に深緑の丘陵の姿が
大きくなり、道路沿いを固める大型店の隙間も緑に染まるように
なってきて、ついにはアップダウンにカーブを繰り返す山道へと
変わっていきます。

大きな川沿いに鉄道の駅のようにバスターミナルを構える岩松という
所で支線に乗り換えて数分で、最初の訪問地である南楽園
(なんらくえん)へとたどり着きます。
近くの近家(ちかいえ)という集落に港が開け、対岸に深緑の
とんがった山を見て青い海の風景が一瞬広がっていたのですが、
その海に連続する水路が池のように広くなって、園地を囲むように
まるでお城のお堀のような水路が始まっていました。
少し早めに到着してしまったのでその水路沿いを散歩したりして
時間を潰していたのですが、草刈りのおばさんには、
なにか調べてるんですか、学校の先生ですか、なんて声をかけられたり。
なんでわかったんだろう……

南楽園は日本庭園という説明でしたが、かなり広い敷地を持ち、
複雑に入り組む池を中心にして、領域ごとに様々な特徴を持つ
遊歩道が形作られています。大まかに反時計回りに園内を巡れば
花の終わった藤棚と刈られてしまった菖蒲園越しに小島を浮かべる
池を眺める領域、昔ながらの農家の建物が湖畔に佇む領域、
小高い丘に鬱蒼と木々が茂り、枯れていたけれど滝が流れ始める
はずの領域。そして園の中心付近の大きな橋や、池に張り出すような
半島に設けられた芝生の園地を垣間見ながら園の外周を大きく
巡って行くと、さっき園の外から眺めた海につながる池が園内からも
眺められ、その先は海のように広々とした湖面を眺めながら、
泳ぐ鯉、飛び交う青鷺や鵜などの姿を愛でつつ歩いていくことが
できました。道を選ばないと日にあたってばかりの辛い旅にもなって
しまいますが、湖面を渡る心地よい風と、自動化されているかのような
芝生への散水の涼しさを励みになんとか、入り口まで戻ることが
できました。

南楽園にやってきた帰りのバスに少しだけ揺られて岩松の
バスターミナルまで戻り、引き続き宿毛を目指す本線のバスに
乗り換えてさらに南を目指します。
バス道と並行して流れていた豊かな流れが海へ向かうと、辺りは
再び山深くなりましたが、時には高台から、切り立つような丘陵に
海が削り込まれるようなリアス式の海の風景が見られるようになり、
海沿いに集落でもできているなら、バスは海岸線を丁寧になぞるように
大きくカーブを切って進むようになりました。

愛南町に入ってすぐのところにある景勝地の須ノ川という所で
バスを降りました。須ノ川園地の入り口はバス停のすぐそばでした。
海岸沿いの湿地っぽい地形の所に広がる園地には淡水池と海水池と
いう連結した2つの湖がつくられているのですが、ふと日陰の
水路をのぞくと、そこにはたくさんのカニがいたのです。
もちろんこちらの動きを警戒するような仕草を見せ、私から
逃げるように大量のカニが横走りの高速運動で逃げていく様は
見ていて飽きないものでした。こんなに簡単に、こんなに大量の
カニという生物と戯れられるなんて今まで経験がなかったのですが、
楽しい一時を過ごすことができました。

淡水池は一周することができて、こちらにも、大きい鯉や飛び交う
鳥の他、水の中には小魚たちの群れも泳ぎ、決して大きい園地では
ないのですがたくさんの生物に触れ合うことのできるコンパクトな
園地のようでした。

海水池に沿う道は長くなかったのですが、そのままウバメガシの
小さな杜の中へ進み、そして程なく、須ノ川海岸へとたどり着きました。
コンクリートで固められた海岸ではありましたが、澄み渡る青空のもと、
丘陵に囲まれて静かに佇む海は、透き通るような水色で、しかも
海岸に近いほど色は薄くなり、熱帯のサンゴ礁を彷彿とさせるような
とても明るく美しい海の風景を楽しむことができました。

須ノ川から更に南を目指すバスに乗れば、車窓にはリアス式の、
丘陵を削るような海の風景と深い山道の風景が交互に現れるように
なりました。そしてバスは暫くして、南レク御荘公園という園地が
海岸に軒を構える御荘へと進んでいきます。園地の付近では
何でもない飲食店もちょっとリゾート地っぽい佇まいを見せます。
そして対岸の緑の丘陵の上には、紅白に塗られた鉛筆のような
宇和海展望タワーの姿も見られるようになります。

とりあえずこの街の中心っぽい御荘というバス停に降り、
幹線道路沿いの御荘の街を陽射しに耐えながら歩いて道の駅を
訪問した後、近くの西海通り入り口というバス停から丘陵の上へ
進むバスに乗って、宇和海展望タワーの足元を目指しました。
バスは急坂を登ってみるみる間に、丘陵に囲まれてせせこましく
広がっている御荘の街と、その街を貫いて流れる川が注ぎ込む
細長い海の風景が一望のもとにできるようになりましたが、
その後はひたすら深い杜の中を走るようになりました。
やがて御荘の街とは反対側の崖下にも、沖合に陸地を擁する
青い海がの姿が見られるようになりました。

展望タワー入り口のバス停からタワーまでは、更に歩く必要が
ありました。歩道も整備されているので迷うことはありませんが、
草いきれの蒸し暑い、そして陽射しも強い道です。
道に沿って、馬瀬山という小山がそびえ、遊歩道も通されていて、
足を踏み入れればいろいろな所に展望台のように見渡しの効く
地点があって、御荘の街並みやその外側の丘陵に囲まれた海の
姿をいろいろな角度から見ることができます。
そして何もない馬瀬山の頂上まで来ると、バスから垣間見れた
街とは反対側の青い海の風景にも出会うことができました。

山から一旦車道まで下り、更にタワーの足元を目指して少しだけ
進めば、戦闘機の紫電改が展示されているという建物の所から
簡単な園地ができていて、緩やかな坂を登りつめるとついに
展望タワーの足元へとたどり着きました。
このタワーは回転式のゴンドラが頂上との間を往復するという
ものでエレベーターとは異なり、発車時刻も決められていたのですが、
たどり着いた時点ですでに若干所定の時刻を過ぎていたにも関わらず
係の人は私のことを待っていてくれたのです。

お陰でスムーズに展望タワーの旅に参加することができました。
発車するとゴンドラは回転しながらみるみるうちに高度を上げて
いき、御荘の街並みから、青白い空に幾つか島を浮かべる青い外海、
外海と内海を分かつ複雑な形の緑の丘陵、御荘の街並みに続く細長い海
の順で辺りの美しい海の風景が一枚の巨大な絵として目の前に
大きく広がるようになっていったのです。
壮大な風景を楽しむことができたのはわずか6分程度ではあったけれど、
何度もぐるぐる回転して楽しんでいたくなるような美しい風景を
つかの間堪能することができたのでした。

紫電改の展示を垣間見て、実はその建物のそばにも青い外海側が
美しく見られる展望台があったのを発見したりしつつ、再び長い道を
引き返して帰りのバスに乗り込み、御荘の街を通り越して、そのまま
市街が連続する城辺(じょうへん)という街までやって来ました。
この街で1時間ほどバスの待ち合わせがあったのですが、大して
見どころもあるわけでもなく、駅のような立派なバスターミナルの
周辺に広がる街の中を彷徨うも、シャッターの閉まっている店も多く、
あまり収穫のないのを感じながら、1時間をしのぎました。

そして城辺のバスターミナルから宿毛行きのバスに乗り込みました。
まだ海をかすめる所もありましたが、バスは内陸を行くため
山深い道を行くようになりました。国道沿いは森林となり、
緑の田んぼが現れれば集落となり、集落が国道から離れているなら
こまめに迂回しながら南下していきます。
やがて県界(けんかい)という何のひねりもない名前の割に
意外にも集落ができていたバス停の所から、ついに愛媛県をあとにし
高知県へと進んでいくことになりました。
辺りは山深い風景のまま、次は宿毛駅というアナウンスが入り、
本当かしらと思ったら周囲には唐突に田んぼが広がり、そして
その中に大きな建物も姿を見せるようになって、真新しい雰囲気の
宿毛駅にバスはたどり着きました。

宿毛駅ですぐに接続した土佐清水行きのバスに少しだけ揺られ、
大型店も多いけれどその隙間には田んぼが青々としている宿毛の
先に駅ができて間もないような雰囲気の市街地を進み、
豊かな川の流れが海に注ぐ所に架けられた橋を渡ったあとは、
対岸に片島、大島を浮かべる宿毛の街を見ながら海岸線をなぞって
進んで行きました。

鹿崎というバス停で降りると、海岸に岩場が突き出す所につくられた
道の駅がありました。窓岩のように侵食された岩場に迎えられて
小さな売店や飲食店が僅かに軒を連ねる道の駅を訪れ、夕陽がかなり
近づいて浮かぶ島や対岸の大島が全てシルエットになっている白い
海の姿を楽しみながら、帰りのバスは暫くないようだったので、
宿毛駅までゆっくりと歩いて戻ることにしました。バスではあっさり
通り過ぎてしまった海岸や大きな川の風景をじっくり楽しみ、
足にできたまめの刺激に耐えながらゆっくりと、宿毛の街へと
帰り着きました。

宿毛駅の周りの、大型店舗と緑の田んぼの入り混じり、鉄道の
高架も田んぼの中からやってきて唐突に途切れる奇妙な風景を
探索し、夕暮れとなった宿毛駅からずっと乗っていたくなるような
ふかふかのシートの車両に一駅だけ乗って、宿に近い東宿毛駅に
降り立ちました。

東宿毛駅のそばにも、宿毛の海に流れ込む松田川が流れ、
さっき渡った河口付近の橋も高架の東宿毛駅からはさほど遠くない
所に見えたわけですが、この東宿毛駅の周辺には、宿毛駅よりも
古い、小さい建物が田んぼという隙間なしに立ち並ぶ、賑やかなわけ
ではないけれどホッとさせられるような小さな街が広がっていました。
そんな街の中に宿を取り、夕食は単なる日替わり定食なのに
旅館の夕食のように何皿も惣菜をつけてきた定食屋で美味しく
いただいたところです。