コミュニケーションの取り方が下手な人っていますよね。

 でも、コミュニケーションの場というのは色々あるので、どんな時でも上手いという人もいないかもしれません。

 コミュニケーションを取る時に大事なのは「相手を知る事」や「自分を知ってもらう事」もそうですが、「相手と自分の類似性を探す事」も必要ですよね。
 
 コミュニケーションが下手な人の中には、「相手と自分との類似すること、共通することを見つけられない」から、相手とうまく会話できない、会話していても話が続かない、という事が起きます。
 「自分の事ばかり話す人」「自分にしか興味がない人」「自分の事だけで精一杯」な人です。
 

 私は外食ばかりの生活です。
 そんな生活を送っていると飲食店でいろんな人間模様に良く出会います。
 
 ある日の夕刻の都会の洋食屋での事ですが、
 私の隣の隣の席に座っている男女は会話から察するにどうやら初対面の様子でした。

 会うまでにメールか何かで既に何度かはやり取りはしていたらしく、まるきり何も知らないわけではないがまだ深くはお互いを知らないという関係の様です。

 年齢は、男女どちらも20代の後半か中盤というところ。
 
 二人の会話は一方的に男性がしゃべります。
 男性は一人でしゃべって、一人で「ガハハハハハ」と笑って、また次に話題を話すのです。
 女性は何か言葉を返す間もありません。
 男性は女性の反応などおかまいなしで、自分の事を話すか、くだらない冗談を言っては自分だけ笑っているのです。
 
 男性は女性を一生懸命に楽しませようとしているのか緊張しているからそれをごまかそうと話しているのかもしれませんが、女性のほうは少々あきれ気味な顔。
 
 この様な男性もコミュニケーションが下手だと言えますよね。
 二人の共通の話題は無しで自分のことしか話さないし、女性があきれているのに冗談ばかり言う。
 これは、相手の様子に気づけないし自分の事にしか興味がない(自分の事で精一杯な)のです。
 
 自分の事にしか興味がない(自分の事だけで精一杯)だから相手と自分の共通することを話題にしたり、相手の様子を気を配る事が出来ないのです。

 相手を楽しませようと冗談を言う姿も、楽しませようという事ばかりに気がいっているだけで、相手がどうかではないのですね。それも結局は自分の事だけなのです。

 コミュニケーションを取るには「相手に興味を持つという事」そして「興味を持っているのだという事を何かしらの方法で伝える事」が必要なのですね。


 人は、相手に自分と共通する点や類似することを見つけると安心し心を開くようになります。
 類似性は、類似する数が多い事よりも深さの方が重要です。
 
 ですから、
 コミュニケーションが上手い人というのは、無理なく相手に興味を持ち、会話の中からすんなりと相手と自分の類似性を見つけ出し、それを話題に織り込み、さらに類似性を深めていき相手の心を開いていく事が出来る人だということですね。
 

 さて、洋食屋の私の隣の隣の席の男女ですが。
 男性は、相変わらず共通する話題を見つける事が出来ず、くだらない冗談や自分の事ばかりを話し続けています。
 女性は、困ったような表情をしています。それに男性は気づきません。
 
 男性がトイレに立ちました。
 女性はホッとした顔をしました。
 ただ、男性のグラスなどの位置を直してあげている様子から、こんな男性ですが、それでも女性は好意を持っているのが推察できました。
 
 男性がトイレから帰ってきました。
 男性が話し始めるより前に、女性がすかさず、
「ダーツ。するんでしょ?」と男性に尋ね、「ワタシも、最近、会社の人達と行くようになったんだ」と言いました。

 そこから、男性と女性はダーツの話題で盛りあがり、
「じゃぁ、これから教えてやるよ」と男性が言うと、二人は店を出て行きました。

 女性が見つけた「ダーツ」という類似性が二人の男女のコミュニケーションを深めたと言えるでしょうね。
 ダーツだけに、恋の的に命中したのかもしれません。