【「人魚姫」音楽の高みへの魅力】 | 村の黒うさぎのブログ 

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大自然の中で育って、都会の結婚生活へ。日常生活の中のイベント、出来事、雑感を、エッセイにしています。脚色はせず、ありのままに書き続けて来ました。

 

ツェムリンスキー作曲「人魚姫」の名盤を、視聴した。


■名盤・人魚姫の魅力
初めの一小節を聴いて、目の前に火花が見えた。続いて数小節を聴くと、早くも陶酔がおとずれた。

指揮者と楽団員の映像が目前に展開している。第一楽章は続いてゆく。背景のコンサートホールの、その内装は豪奢である。
その美しさ、音色にリズムにメロディに、その魅力に私は映像に食い入る様に見いる。

白のシャツに黒い背広の洋装は、白人だから引き立つ。
各国の民族衣裳は、その国の人が着るのが、一番しっくりと映えて見えると思う。歌舞伎・能・日本舞踊などの装束は、胴長短足で中肉中背の日本人に、よく映えて見える。
オーケストラの白と黒の統一美ある洋装は、西洋の音楽家ゆえに良く似合うと、私には思える。

ロイヤル・コンセルトヘボウの楽団員の佇まいにも魅せられるが、この若い指揮者は、ただ者ではない。コンセルトヘボウ管弦楽団の「人魚姫」を、こんなに美しく非凡に振るのだ。才能溢れる指揮者という評を聞く。

「人魚姫」
ツェムリンスキー作曲
ユロフスキ指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏


■クラシック音楽集中習得

ところで私は、この3ヶ月の間、クラシック音楽の習得に精力的に取り組んできた。
SNS上で紹介されている数多くの限選盤を把握して、魅力ある楽曲がずいぶん増した。この3ヶ月で得られた成果の一つである。

しかし、クラシック音楽の集中習得に、3ヶ月間で区切りをつけた。
私はこの3ヶ月間で3キロ痩せた。毎日、初めて聴く曲を何十分も集中して聴き、考えて文章にする。その行為はエネルギーを消耗した。
集中習得の合間にお洒落もせず、化粧もおざなりに、心、此処に在らずな具合で、外出する日々だった。
そんな生活を続けてから、笑顔が減り、ピリピリしていると家族から指摘を受けた。


■オーディオ買い換え~パソコン習得

一方今回は、オーディオ買い替えということで、ヘッドフォンと型落ちの安いパソコンを入手した。
15年前、パソコンを覚えた方がよい、という軽い気持ちで少しかじったことがあったが、その時は全然身につかなかった。

ノートパソコンを扱うのは、初めてである。せっかく見つけた作品のURLを消してまったのだ。私は、新品のパソコンに興味津々なのと、コンセルトヘボウ管弦楽団とユロフスキの演奏をもう一度聴きたい一心で、その演奏をどうにか探し当てた。
再びユロフスキの振る姿をこの眼で見られたのだ。嬉しい!
かくして我がコレクションのレパートリーに、ユロフスキは加わった。
今回私にも、YouTubeの海の中から、欲しかった名盤の音源を探し当てることが出来た。

クラシック音楽、それも数々の限選盤を聴けるという楽しみのもと、パソコンの習得に励んでいる。


■音楽の高みvs家庭の平穏

さらに、このまま、クラシック音楽に集中した生活を続ければ、音楽の高みに一段なり二段なり、昇ることができるだろう。
しかし自分に無理をして続けても、家族にも心配をかけてしまう。

勧められた分けでもない、自分から始めた自分に課したレッスンだった。

クラシック音楽の果てのない魅力。
自分のレッスンを続ければ、クラシック音楽の好き嫌いは更に減り、私のクラシック音楽の世界は更に膨らんだことだろう。
あのまま名盤、限選番をレパートリーに増やしてゆけば、私の宝物は、さらに増えていたことだろう。
その美しさに溢れた世界の道を、苦しみながら進むこと。それを私も、私の家族も良しとしなかった。


■レッスンの成果と美しい世界

さらに、レッスンを止めて10日、良く眠れる。食欲が湧き、体重もだんだん戻ってきた。
3ヶ月間のレッスンは、かけがえの無い経験だった。素晴らしい世界を見ることが出来た。始めた時は全然分からなかった諸先輩たちの論評も、今ではその意趣を解せる様になっていた。
身を削ったけれど、その努力に見合うものを得ることが出来た。

ユロフスキによる「人魚姫」は、名残惜しく、後ろ髪を引かれる、魅力に満ちた演奏。
現在家のリンクから、終楽章に差し掛かった「人魚姫」の曲を、更に2度、3度と繰り返しBGMにして聴いている。


■更なる新境地へ

ところで、主人の書棚に興味深い書籍が置かれていた。
伊東乾先生の「人生が深まるクラシック音楽入門」(幻冬舎新書)である。
主人は、このところの私の動向を見て、主人なりの方法で、私を導いてくれているのだ。

その本にある、私の心に響いた一話をご紹介する。
立教大学名誉教授の皆川辰夫先生は、NHKFM放送で、「バロック音楽のたのしみ」を解説されていた。
重い悪阻から体調不良に苦しんでいた女性は、皆川辰夫先生の番組で、「マタイ受難曲」が心の琴線に振れた。
「こんなに美しい曲があるのだ」
聴いている間は苦しみを忘れられて、お腹の子どもにも聴かせてあげたいと思った。堕胎するしかないと思っていた女性に、道が開けた。そうしてその子、女子学生は、この世に生まれて来れた。
「自分がこの世界に生きているのは皆川先生のおかげです」
そう話してくれた女子学生のことが、大学生活の中で一番心に残っているという、皆川辰夫先生のお言葉を紹介している。


■美しい世界は膨らむ

斯様にこうして試し読みをして、180度視野が広がる思いだ。
私は、この東京芸大の学長・伊東乾先生の本を紐解いてみよう。
数ヶ月前に、上野の杜で見た、あの東京芸大の佇まいを思い出す。


私が目指してきたクラシック音楽の高み。

その美しさに満ちた世界は、更に展開して膨らんで行く。




人魚姫・ツェムリンスキー コンセルトヘボウウラディミール・ユロフスキ
https://www.youtube.com/watch?v=b53ihPZaMRQ