【「リトルマーメイド」黒人の登用】 | 村の黒うさぎのブログ 

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大自然の中で育って、都会の結婚生活へ。日常生活の中のイベント、出来事、雑感を、エッセイにしています。脚色はせず、ありのままに書き続けて来ました。

 

「リトルマーメイド実写版」では、主人公アリエルは、黒人少女の人魚姫である。

アリエルの情熱的で、果敢に物事に向かってゆくキャラクターと、ミュージカル映画である側面から、そのイメージと歌の上手な女優であることを考慮した。人種のカテゴリーを取り払って選んだのが、「ハリー・ベイリー」という黒人女優だった。
今までのイメージから抜け出した、黒人少女の人魚姫なのだが、その姿はキュートだ。

ハリー・ベイリーを、美しく魅せる角度から撮影している。あるいは、海の中の暗さ、陸の室内の日陰とかで、絶妙に黒人の顔立ちのイメージをカバーしている。
ともあれ、人魚姫の尾ひれは美しく幻想的で、陸でのドレス姿はこの上なく愛らしい。
主人公の人選とビジュアルは、キュートという言葉がぴったり当てはまっていて、良いと思う。

この映画は、エンディング・ソングのリズムには、カリブ海の民族音楽が使われている。舞台を南国にもって来て、黒人の威厳ある女王陛下、白人の王子はその養子と、設定に工夫がなされている。

ちょっと納得いかないのが、主人公の6人姉妹の姿である。
王族の姫らしく、姉妹はお淑やかで品がある。
さりとて、黒い肌で、黒々とウェーブのかかった髪の姉妹、明らかにアジア系の顔立ちの姉妹ほか、多民族から集めた様な、6人姉妹の姿である。
姉妹というより、里親に育てられた娘達、という表現の方が当たっている。

近年ディズニー映画では、積極的に黒人を起用している。
映画を観る子供達、若い世代の人達が、人種や民族の垣根にとらわれず、自然に受け入れられるように育てたい。
ディズニー社には斯様な理念があるそうだ。
それは(株)ウォルト・ディズニーの、一本筋の通った考え方だと思う。

ところで、近年のディズニー映画「美女と野獣 実写版」では、黒人俳優・女優が、白人と同数起用されていた。
ヨーロッパで生まれたお伽噺話の、美女と野獣なのだ。
エンディングで全員集合した、その場面を観て思ったのだが。仮に、登場人物が皆白人だったら、どんなに美しい場面だろう...つい思ってしまった。
ディズニー社では、人数合わせに黒人を起用している感を抱いた。

しかし「リトルマーメイド実写版」では、キュートな黒人主人公に、南国の黒人の女王陛下と、設定に工夫がなされている。
黒人の登用に、進化を見てとれる。
黒人を登用するにも、相応しい配役がある。私もそう考えてきた。
以下に、私の身の周りで、黒人の魅力が生かされている例を挙げる。

1  日本のマンガ誌では、アメリカン・カレッジを舞台に、大半が黒人学生のバスケットチームが奮闘する作品を描いている。対戦チームも、黒人が多数を占めていて、主人公の憧れるNBOのスター選手もまた、黒人である。
こうして日本のマンガ誌上でも、アフリカ系日本人を主人公とした作品を、いち早く掲載している。
そしてバスケは、黒人の活躍の場に相応しいスポーツだと思う。

2 アリカ合衆国のオバマ大統領は、建国以来、初の黒人大統領だ。
オバマ大統領は、就任して実績の浅いうちに、ノーベル平和賞を受賞して物議をかもした。それは、近年迄黒人差別のあったアメリカに於いて、選出された黒人大統領という意味で、アメリカ国民を代表する形で、平和賞を授かったのだと私は考えている。
大統領に選ばれた背景は立派で、スラリと背が高く颯爽としているオバマ氏。
選挙に勝利した時、黒人の奥様と二人のお子さんを拝見した。アメリカのファーストレディとしても、顕著な前進である。

3 英国王室のメーガン元妃は、黒人の血を引いている女優である。
彼女がディズニー映画中のお伽噺話、"悪役の美しい魔法使い"を演じれば、よく合っていると思う。

4 ボンドガール"に3・4年前、黒人女優が登場した。
ダサさ、どんくささがみじんも無く、その髪型にウェットヘアがよく似合っていた。

5 一世代前の女子フィギュアスケーター、フランスの「メイテ」は黒人だ。
彼女のもつ個性である、金色の衣装や、金色の装飾が印象深い。
褐色の肌に、黄金色はよく映えていた。

-黒人俳優・女優の登用には-
適材適所であること。
黒人の持てる個性と魅力を引き出すこと。
そしてまた如何に生かすか。
それが重要で、ポイントだと、私は考えている。

その観点に照らし、以前のディズニー映画では、単に人数合わせに見えた黒人の起用も、この作品では、個性ある主人公の魅力を引き出している。そしてその魅力を、アンデルセンの原作と同等の高さにまで、引き上げていると思う。
また、黒人女優を、王子の義母にして威厳ある女王陛下に起用しているところに、工夫の程と好感をもてる。
人魚姫の姉妹の人選に課題を感じられるのが、もう少しである。

今年公開された新作「リトルマーメイド実写版」は、黒人登用にあたり、前進を感じられる佳作に思う。