近藤麻理恵(こんまり)KonMariさんブームにみる日本人のイメージの変遷 | 海外生活・国際恋愛カウンセリング

海外生活・国際恋愛カウンセリング

<メキシコから発信>海外生活・恋愛・結婚・子育てについて

海外在住のみなさん、こんにちは。

 

Netflixで1月1日から、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんの番組「Tidying Up with Marie Kondo」(邦題:KonMari〜人生がときめく片付けの魔法」)が始まりました。

 

私はまだ、シリーズを全部見ていないのですが、あまりの反応の大きさにびっくりしています。インターネット上だけでも、ツイートやMemeも含めてたくさんの反響が流れています。

 

私自身も「ときめくものだけを残すメソッドを提唱している方がいるらしい」ぐらいの認識で、こんまりさんのことをあまり知らなかったので改めて知る機会になりましたが、Netflixを日常的に見ている外国人にとって、もう近藤麻理恵さんは彗星のように現れたスーパースター。今や超、超、超有名人です。

 

どれぐらい有名かというと、近藤さんの名前が動詞に使われるほどです。「私は部屋をコンマリする=片付ける(I marie kondo my room)が、説明なしで成り立ってしまうぐらい。

これってすごいことですよね。ほぼ社会現象と言っていいと思います。

 

 

 

 

 

さて、この番組が愛されているファクターは、いろいろあると思います(大量消費社会へのアンチテーゼだとか、家や持ち物に愛をもって接するという考え方、整理することが心の平穏に繋がるというセラピーの部分など)が、私は何よりも、こんまりさんが番組で醸し出す「日本人女性らしさ」に注目せざるを得ませんでした。

 

日本人が外国でどんな風に見られているか。。。。もちろん人によって全然違いますし、特にちゃんと意識して把握しようとしたこともないのですが、断続的ながら最初に海外に行ってから40年。日本人だとか日本文化のイメージの変遷を、時折肌で感じては来ました。

 

例えば、40年前はまだ、「日本人って、生で魚を食べるって本当?」「野蛮ですね!」と言われた時代でした(これは母の体験です、私は幼児だったので)。外国人が寿司をおそるおそる食べ始めて、「健康にいい」というブランド化がされてさらに広まるのは、まだそこから10年以上たってからのこと。

 

若者が日本のアニメや漫画に親しむようになり、「ジャバン・エキスポ」に、花道や書道などの日本の伝統文化なんかと並んでアニメやコスプレ関係のブースが出るようになったのは15年ぐらい前でしょうか。今や、ジャパン・エキスポはほぼ、日本のサブカルチャーで賑わう集まりですが、そういうのも時代とともに浸透してきた感がありますよね。

 

さらにいうと、東京のブランド化が急速に進んだのも、ここ15年くらいですね。映画「ロスト・イン・トランスレーション」(2003)が出た頃は、また「エキゾチック日本」みたいなイメージでしたが、今やそれに加えて、サイバー都市だとか、珍体験ができる(フクロウカフェ、ロボットショーなど)、オタク文化のメッカ、というイメージがかなり強いです。

 

日本人のイメージという点で言えば、パーソナリティも含めて知られていたのは、昔はオノ・ヨーコさんだったでしょう。ただ、彼女はアーティストですし、平均的な日本人女性ってこうなんだ、というプロトコルにはなりませんでした。

 

渡辺謙さんや真田広之さんは、日本人男性のアイコンかもしれませんが、役柄から来る「武士」感が強いですね。

中国人=ブルース・リーやジャッキー・チェン=マーシャルアーツ、みたいな方式で言えば、日本人=ラストサムライの人=サムライ、みたいな感じ。

 

私が日本人のイメージに関して衝撃的だったのは、2013年にパフォーマーの蛯名健一さんがAmerica's Got Talentというショーで優勝した時のリアクションでした。

 

たいてい、海外の大きなコンテスト・ショーでは、優勝者はものすごく感情を大きく表します。アメリカ人はことさらそうで、叫ぶ(オーマイガッド!)、ガッツポーズをする、泣く、飛び跳ねる、その場に倒れこむ、などの、ありとあらゆるリアクションをします。

 

ところが、プレゼンターが「ケンイチ・エビナ!」とWinnerの名前を呼んだ時に、蛯名さんはガッツポーズもしなければ、叫びも泣きもしない。少し頭を抱えて、後ろで上がった大きな花火にビックリしている他は、いつもと同じような微笑みを浮かべているだけだったんです。

 

私は思いました。これは、ものすごく日本的な反応だと。日本人は、いきなり大きな喜ばしいことが起こった時に、「キャーーーー嬉しいーーーー!号泣!」というよりは、なんというか、「ことのあまりの大きさに戸惑っている」とか、「その場に圧倒されている」とか、「すぐには実感がわかないけど、じわじわ嬉しくなってくる」みたいなリアクションの方が、より自然に出てくることがありますよね。

 

私がびっくりしたのは、そういう、一般的なアメリカ人にとっては「わかりにくい」とされてきたようなリアクションが、あんなに大きな全国的なテレビショーの中で受け入れられている、ということ。アメリカ的に訂正されたりせずに、これが日本人(というかアジア人?)の感情表現なんだ、それでいいんだ、という認知がされている、ということだったんです。

 

それがものすごく新鮮でしたし、大げさにいうと「時代が変わったな」と思いました。日本人は表現に乏しい、自分を出さない、わかりづらい、というふうに、いろんな外国人からずっとずっと言われてきた歴史を知っているので、余計に嬉しかったのです。

 

こういうのが日本人ぽい、というような「日本人のステレオタイプ像」はそれぞれにあって、でもそれは、外国人が思う日本人だから、日本人からすると「違うよ!」と言いたくなったり、悪意があるのでは?と勘ぐりたくなったりする部分もあったわけですが、蛯名さんの例は、「日本人が考える日本人っぽさ」が、外国でも「それが日本人だよね」と認められつつあるんだなと、肌で感じた一件だったのです。

 

前置きが長くなりました。こんまりさんのお片づけ番組を見て、蛯名さんの時とまったく同じことを感じました。ああ、日本人のもつ日本人ぽさが、こんなにストレートに出ているんだな。嬉しいなあって。

(シーズンをまだ全部見ていないので、以下エピソード1だけの話になりますが。。。)

 

例えばこんまりさんがときめきを表現する時の「きゅん」という動作。日本のアクセントもそのままで、「I'm happy!」「I'm glad!」を多用する会話(「とても嬉しいです」「それはよかったです」の脳内直訳ですよね)。アメリカの家のカーペットに正座で直に座るところ。モノに対して感謝するという発想。こんまりさんは、英語も交えながら話していますが、基本は日本語で通訳さんがいるということもあって、本当にとっても日本的。まるでご近所のお姉さんが出ているのを見ているようで、自然と頬がゆるみます。

 

Netflixの動画がなかった代わりに、エレン・ショーのゲストの動画を見つけました。ときめくときと、ときめかないときの感じ方のデモンストレーションが、いい感じです。

 

 

プラグマティック気質の外国人にとっては、モノはモノ。それに対してどう感じるか、ということをあまり意識したことがないので、感じ方にフォーカスするというやり方は、とっても新鮮なはずです。

 

サラサラの黒髪、頭の先から足の先まで手入れが行き届いている、小さくて少し幼い感じ、家庭的など、従来からの日本人女性のステレオタイプに添うところもありますが、例えば男性に尽くすだとか、自分は一歩下がって相手を立てるなどの部分は見られず、むしろメソッドをしっかり持っているあたりや、パワフルなワーキングウーマンの部分がクローズアップされています。それでいて、全体的に優美です。

 

そう、こんまりさんのイメージを一言で表すと、Grace(優美)。変に作られたGraceではなくて、なんか日本人が人前で話すときって自然とこうなるよね、というようなGrace。外国で戦いながら外国語を話す日本人女性は(私も含めて)、すごく声も低くなるし、外国的な意味で押し出しの強い女性に変化することもありますが(そして、そうなった方がAdaptしやすかったのも事実ですし、それ自体ぜんぜん悪いわけでもなんでもないんですが)、こんまりさんはそのままでいて、たくさんの方に影響を与えている。

 

ウンウン。今やそういう時代なんですね。私はその事実を静かに噛み締めています。ここまで本当に、長い道のりでしたよ(遠い目)。

 

普段はあんまり、日本的とかアメリカ的とかの、一般化した書き方はあまりしないのですが、どうしても感じたことを残しておきたかったので、書いてみました。

 

+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:

 

海外生活・国際恋愛カウンセリング

https://www.kaigaisoudan.com

 

海外 こころのヘルプデスク24時

https://www.helpdesk24.net

 

+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-: