マルメラードフは血まみれの斧を差し伸べて言った。
「あなたの論文を読みましたよ、凡人と非凡人。
社会には必要な人間と、ただ数を増やすだけに生まれた人間がいる。
私もあれに賛同します。
あなたは頭の回転の良い法学生だ、元ですが。
それに比べて私は娘に身体を売らせる酔いどれなんです。
わかりますか?というか、そう考えていたでしょう?
私は社会に不要な人間だと。」
ラスコーリニコフは黙って聞いていたが、悪寒を感じ始めた。
「つまり…」
マルメラードフは頷いた。
「そう、です。」
赤ら顔のマルメラードフに今まで見たことのない強迫的な目つきがあらわれ、
それに気圧されるかたちでラスコーリニコフは斧を握ってしまった。
「どのみち、あなたがこの契約を『履行』されないようでしたら、
私はあなたの罪を暴露するまでです、そう、道は二つの一つです。」