閉鎖されている保護室、我が病院ではカレンダー、時計なるものは一切置いていません。

患者様から尋ねられたときのみお答えすることになっています。
混乱が予想されるときにはアバウトにお答えします。

そんな中。
現在、一室に水中毒の患者様がいらっしゃいます。

なぜか時間に正確な患者様で、決まった時間にお水を要求されるので不思議だなと思っていました。


大晦日の夜勤明けの朝。
滅多に面会のないその部屋は静かでした。

私自身、大晦日を忘れる静けさでした。

「また明日来ますね、さようなら」と挨拶に伺いました。いつも通り「うん」や「ああ」などの返事があると思いました。

その患者様は、窓際に立っていましたがすっと正座をし、
「今年もお世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えください」と頭を下げたのです。

はっとしました。

一般病棟の患者様には私も同様の挨拶をして歩きました。

なぜ、保護室の患者様にはできなかったのか。しなかったのか。

これは「どうせわからないだろうから」と知らず知らずで差別をしたのだ、と。
もしくは、正月が来るのに面会すらないその方に、正月を悟られないように、と見下したのだと。

恥ずかしく、ただただ「ありがとうございます。」としか返せませんでした。

曇りガラスで見えない外を眺めていたその姿を、忘れないように仕事をさせていただこうと思います。