命の恩人…それは転院先でお世話になった栄養士のNさん。
この出会いがなかったら、まず間違いなく今の私は居ません。
もしかしたら今も尚、経鼻栄養を続けていたかもしれないし、抜けていたとしてもここまでアルブミンの数値は回復していなかったでしょう。

“口から食べたい!”
私の想いを最大限汲み取り、先生に働きかけてくれたお陰で、あの日チューブを抜いてもらえました。

“食事で何とでもなるから大丈夫”
この言葉にどれだけ励まされ、どれだけ勇気づけられ、どれだけ安心させてもらったか…。
5月の入院以来、
頑張れ!
耐えろ!
踏ん張れ!…
ずっとずっと泣きながら自分に言い聞かせてきました。
そんな私の張りつめていた気持ちを、最初に緩めてくれたNさんの言葉と優しくて温かな笑顔を私は一生忘れません。

油ものがダメ、牛肉・豚肉・鶏肉(むね肉・ササミ以外)がダメ、脂身なんてとんでもないし、炒め油ですらダメ。
お魚は大丈夫でも脂ののったものは苦手だったり、マヨネーズやバター・マーガリン、生クリームもダメ。
酷いときは卵すら体が拒否する始末。
ご飯も苦手で、特に白米は全く受け付けず、雑穀米なら少しは…。
嫌いなんじゃないんです。
唐揚げ、豚の角煮、すき焼き、おにぎり、ハンバーガー、ドーナツ、ケーキ、ポテチ、芋けんぴ…何でも食べたい!
なのに体が受け付けなくなってしまったんです。
逆に食べられるものは、お野菜、豆類、キノコ、海藻、お魚、大豆加工品、ナッツ類、パン(出来ればハード系)、フルーツぐらい。
もちろん、調理は油を使わない事が前提です。
そんな私にNさんは食を楽しんで欲しいと、毎日“食べられる”食事メニューを考え、提供してくれたんです。
お陰で見ただけで蓋をしてしまうような事は一度もなく、それどころかいつも食事が楽しみでした。
食べる事で満腹とは違うお腹の張りで苦しくなると解っていても、吐いてしまわないギリギリまで食べる…食べられる…その結果、1ヶ月後にはアルブミンが安心の値になりました。

“感謝”なんて言葉じゃ全然足りない、正に“命の恩人”であるNさん。
なのに私は、裏切るような事をしてしまいました。
言い訳はしません。
ただ、もう踏ん張る気力が沸いてこなくなってしまったんです。


vol.7へ続く…