【結果+観戦記】ジャロン・エニス vs ダビド・アバネシャン[IBFウェルター級タイトルマッチ] | ボクシング・ダイアローグ

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7月13日(日本時間14日)

ウェルズ・ファーゴ・アリーナ:米ペンシルべニア州フィラデルフィア

 

◇IBF世界ウェルター級タイトルマッチ◇

 

王者 

ジャロン・エニス

(26=米:31勝28KO無敗1NC)

vs 

挑戦者13位 /元WBA同級王者

ダビド・アバネシャン

(35=露:30勝18KO4敗1分)

 

テレンス・クロフォード(米)の王座剥奪により暫定王者から正規王者にスライド昇格したエニスは、昨年7月にロイマン・ビジャ(ベネズエラ)を10ラウンドKOして以来となる1年ぶりのリングで、タイトル2度目の防衛戦。

 

一方、前々戦でクロフォードに挑戦し 6ラウンドKOで敗退したアバネシャンは、昨年12月にセルジェ・アンポロ(カメルーン)に 4ラウンドTKO勝ちして再起、それ以来の試合。

 

結果は エニスが 5ラウンド終了TKO勝ち。

 

[動画サイトにフルラウンドの映像があったので、観戦]

 

 

初回、オーソドックスでスタートしたエニスはすぐにサウスポーにスウィッチ、積極的に手を出して上下に打ち分け。

 

アバネシャンもそれに応じて両者のパンチが交錯するも、残り50秒ちょっとのところでエニスの右ボディアッパーがモロにローブローとなってアバネシャンが悶絶、オープニングラウンド早々に暫くの試合中断。

 

それでもエニスは遠慮することなく2ラウンド以降もボディ打ちに比重を割き、パワー差を活かして徐々にペースを掌握、対するアバネシャンも引かずに反撃して時おり軽いヒットを返すものの、少しずつ劣勢に追い込まれて行く展開。

 

迎えた5ラウンド、距離を詰めて接近戦に活路を見出そうとするアバネシャンにエニスの打ち下ろしの左ストレートが炸裂、挑戦者がバッタリと横倒しにダウン。

 

すぐに立って再開後のエニスの追撃を凌いだながら、ラウンド終了後ドクターチェック等を経た末にレフェリーが両手を交差させてストップを宣告、やや呆気ない感じで試合終了。

 

 

もともとは同じ日程/会場で エニス vs 3位 コディ・クロウリー(加)の指名戦だったのが、当日まであと1ヶ月のタイミングでクロウリーが事前の眼科検査で不適格の診断→ 出場不可となったことを受け、代役にアバネシャンを起用して行われた一戦でしたが…

 

勢いに乗る次期スター候補のエニスに対し、元王者とはいえアバネシャンは既にピークは過ぎ、前戦の再起戦も負け越しの格下相手&ミドル級の6回戦だったなど挑戦資格の部分に疑問が高かったこともあり、カード的な魅力度はかなり低かった感。

 

今回はフィラデルフィア出身のエニスの凱旋試合ということで、延期/キャンセルだけは回避したい意向があってのマッチアップだったようですが、次戦以降はその分も割り増しで期待したいところ。

 

ウェルター級は依然、クロフォードが WBAとWBO王座(正規)を保持しているものの、8月にWBAスーパーウェルター級王者 イスライル・マドリモフ(ウズベキスタン)への挑戦を控えており、大方の予想どおりこれに勝てばそのまま154ポンドへ転級する可能性が高そう。

 

それに伴いウェルターのタイトルを返上すれば、WBAはレギュラー王者 エイマンタス・スタニオニス(リトアニア)が自動的に団体内唯一の王者となり、WBOはブライアン・ノーマンJr.(米)が暫定王者から正規王者に繰り上がることが確定的。

 

[WBCは、マリオ・バリオス(米)が暫定から正規王者にスライド昇格済み]

 

この流れになった場合は、クロフォードが 4冠をまとめたのも束の間、また王座が4つにバラける格好になりますが、試合後エニスが口にしたクロフォードとの統一戦の要望に、マッチルームのエディ・ハーン氏が次戦での実現に動くと明言したようで…

 

本当にマッチメイク出来るのであれば、絶対に見逃せない黄金カード。

 

条件面にシビアだというクロフォードだけに、個人的には次が統一戦になるとしてもスタニオニスかバリオスでは?と予想しますが…

 

ただクロフォードももうキャリアは終盤、マドリモフ戦の結果等によっても先々が不透明な部分はあり、新旧交代の旗手 No.1 候補のエニスが実際に後継者になれるのかどうか、クロフォード云々を別にしても今後はこれまで以上に要注目。