8月9日(日本時間10日)
リストランテ・アローヨ:メキシコ・メキシコシティ
◇IBF世界フライ級王座決定戦◇
1位
アンヘル・アヤラ
(24=メキシコ:17戦全勝7KO)
vs
3位
デーブ・アポリナリオ
(25=比/大橋:20戦全勝14KO)
“ カマレオン(カメレオン)” のニックネームを持つアヤラは、昨年10月の挑戦者決定戦で元IBFライトフライ級王者 フェリックス・アルバラード(ニカラグア)に判定勝ちして以来のリング。
アルバラード戦は初回にダウンを喫した挙げ句に 114-113×3 の辛勝だったながらも指名挑戦権を手に入れ、初めての世界戦。
昨年6月に大橋ジムとマネジメント契約したサウスポーのアポリナリオは、今年2月の日本での2戦目でタネス・オンジュンタ(タイ)を 4ラウンドKOして以来となり、同じく初の世界戦。
前王者 ジェシー “バム” ロドリゲス(米/帝拳=現WBCスーパーフライ級王者)の返上により空位となっていた王座の決定戦…
結果は アヤラが 6ラウンド 2:13 KO勝ちで新王者。
(KOタイムは中継映像画面の表示から推定/あとで違っているのが判った場合は訂正します)
【追記/同日夜】日刊スポーツの記事によると 2:06 だったようです
[試合が終わって間もない筈の14時過ぎ、期待せず動画サイトをあたってみたら意外にも早々にフルラウンドの映像があったので観戦]
両者ガードを固めて探り合い&牽制する形で試合スタート、序盤戦は共に手数は多くはないものの、攻勢の割合とパワー差でアポリナリオが振り分けの採点を引き寄せた印象。
しかし 3ラウンドの終わりに反撃の口火を切ったアヤラは、4ラウンドから積極的に手を出してギアをアップ、逆にアポリナリオはブロック&ステップで守り主体=容易にガードの上から打たせて相手を調子づかせてしまったせいか、主導権は徐々に地元のメキシカンが掌握。
5ラウンド、勢いづくアヤラの右ボディアッパーがローブローになり一時中断となるも、再開後はすぐにまた攻め立ててペースを維持、下がる中で時おり打ち返すアポリナリオはリキみが目立ち、余裕のない苦しい状態。
迎えた 6ラウンド、開始から30秒のところでアヤラの右ボディアッパーが決まると、アポリナリオがツーテンポ置いて片膝を着くダウン。
続行後、起死回生の一発を狙って振り回すアポリナリオをいなしたアヤラは一気にスパートをかけ、相手をロープに詰めて左右ボディフックを乱打。
両手をバッタリキャンバスに着き前屈みに倒れ込んだアポリナリオは、座った姿勢のまま無表情でテンカウントを聞き、試合終了。
今月に入った時点でも会場などの具体的な情報がなかったことから、少なくともこの日取りではやらないんじゃ?という感が強かった一戦は、その後アポリナリオが現地時間 4日にメキシコ入りしたと報じられ現実味が増しつつも、それでもこんな慌ただしさで本当に試合をやるの?な状況での開催だったので…
率直に、標高約 2000メートルのメキシコシティにアポリナリオが順応する猶予はなかった筈、などの部分を考えると、どうにも複雑な気持ち。
アポリナリオの粗さを上手く突いて攻略した、コンパクトにまとまったスタイルのアヤラはなかなかの好選手とは思うにしろ、正確な評価を下すためには今回の勝ち星はクエスチョンマーク付きに留めておいた方がよさそう、と自分は判断。
それはともかく、暫く空位が続いていたフライ級の世界王座は、これで 4つのうち 3つが埋まった格好。
WBA:ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)
WBO:アンソニー・オラスクアガ(米)
残るWBCは、WBAスーパー&WBCライトフライ級王座を返上しフライ転級を正式表明している寺地拳四朗(BMB)選手と、元WBCフライ級王者のクリストファー・ロサレス(ニカラグア=比嘉大吾選手からタイトル奪取)のカードによる決定戦が 10月開催で既に内定、といった話もあるらしく、遅くとも年内に 4団体の王者が全て揃うのは間違いなさそう。
それにしても、アポリナリオはちょっと気の毒というか、ちゃんと万全なコンディションで臨めていたらどうだったかな、なモヤモヤはやっぱり残り…
そんなに色々な競技を観ている訳でもないのに、不可解な裁定が連続に次ぐ連続のパリ五輪を目の当たりにして来た影響の作用もあるのか、なんかどうもな~な感じです。