シャクール・スティーブンソン(WBCライト級王者/世界3階級制覇)が引退を表明 | ボクシング・ダイアローグ

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WBC世界ライト級王者/世界3階級制覇のシャクール・スティーブンソン(26=米:21戦全勝10KO)が29日(日本時間30日)、自身のSNS[X]で突然の引退表明。

 

ボクシングというスポーツから正式に引退し、今後は自分の技術を仕上げると共に、次の世代が夢を追い偉大になることを助けるためにジムに永遠にいる=後進の指導にあたる形でボクシング界に携わる、と投稿、一部のファンがざわついている、とのことですが…

 

大部分のメディアやジャーナリストらの反応は冷ややかで、米老舗専門誌の「リング誌」は採り上げず、ボクシング専門サイト「ボクシングニュース24」は、テオフィモ・ロペス(米=WBOスーパーウェルター級王者)の短かった引退期間より長く続くのか?と疑問を呈し、実際に引退する可能性はゼロ:現状への不満に対する感情的な投稿とみる向きが圧倒的のよう。

 

最近に限っても昨年のロペスの他、IBFバンタム級王者に返り咲いたばかりのエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)が引退表明した後すぐに撤回したケースや、引退発言を結果的に次のビッグマッチへの駆け引きに活用したWBCヘビー級王者 タイソン・フューリー(英)のような実例があり、当然のように?スティーブンソンもまた同じパターンと受け取られている格好。

 

メディアはこの引退宣言に対し、稼げる試合が一向に実現しそうにないことが裏にあると指摘、その内実はというと…

 

1階級上げてレジス・プログレイス(米)を攻略し、WBCスーパーライト級タイトルを獲得した前4団体統一王者 デビン・ヘイニー(米)がそのまま転級して全王座を返上、現在ライト級は決定戦でスティーブンソンがタイトルを手にしたWBCと、以前からレギュラー王者 ジェルボンテ〝タンク〟デービス(米)が存在していたWBA以外の2王座が空位。

 

うちIBFは、5月に元3階級王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と元同級3団体統一 ジョージ・カンボソスJr.(豪)による決定戦がすでに正式発表済み、残るWBOはWBOスーパーフェザー級王者 エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)が1階級上げ、デニス・ベリンチク(ウクライナ)との決定戦を指令され、今後交渉が進められる見通し。

 

そうした動きを受けスティーブンソンは、対戦の噂が立ったこともあったナバレッテのWBO決定戦路線にウンザリだとXに投稿、IBFも取り敢えずロマチェンコvsカンボソスJr.の結果待ち&その勝者と対戦できるかは全く不透明…

 

また、自分と対戦せずスーパーライトに行ったヘイニーは人気者のライアン・ガルシア(米)とのビッグマッチ計画が持ち上がっている、等々という訳で、スター候補でありながらスティーブンソンは〝蚊帳の外〟状態。

 

Xには、自分を回避してスーパーライトへ転級したと見做すヘイニーを暗に非難するような形で「意気地のないボクシングというゲームに興味はない」とも記し、確かに不平不満に溢れているのがハッキリ窺える状況。

 

とはいえ、いかにスティーブンソンの攻略が難しいといっても、タンクをはじめロマチェンコvsカンボソスJr.勝者もナバレッテvsベリンチク勝者も好条件を提示されれば統一戦に応じる筈で、ちょっと辛抱して待てばチャンスは必ず来ると思われ…

 

おそらく、遠からぬうちに引退撤回の続報が入って来ることは間違いなし?

 

ついでに言うなら、ヒット・エンド・ラン型の技巧派スタイルというのは解るにしても、前戦のエドウィン・デ・ロス・サントス(ドミニカ共和国=WBCライト級王座決定戦:超大凡戦の末に判定勝ち)戦のような試合をやっていては、流石につまらないという烙印を押され、チケットもPPVも売れなくなってしまうでしょうから…

 

ビッグマッチを望むのならば、もっとプロフェッショナルらしいファイトを意識した方がいい、と思います。