【前編】WBAがスーパークルーザー級を新設、WBCのブリッジャー級に追従… についての個人的見解 | ボクシング・ダイアローグ

ボクシング・ダイアローグ

観戦記・展望・プレイバックなどなど・・・

 

現地時間の今月1日、WBA(世界ボクシング協会)執行委員会が、ヒルベルト・メンドサ会長の提案によるスーパークルーザー級の新設を全会一致で承認。

 

この新クラスのウェイト規定は、3年前にWBC(世界ボクシング評議会)が創設したブリッジャー級と同じ200ポンド~224ポンド(約90.72キロ~約101.61キロ)で、事実上WBCに追従した格好。

 

※ 真偽は不明ながら、201ポンド~とする情報も一部にあるようです

 

先ごろ発表されたWBA最新ランキングには既にスーパークルーザー級も制定済みで、初代王者決定戦が1位vs2位で行われるのであれば、対戦カードはエフゲニー・ティシェンコ(32=露:12勝7KO1敗)vs レオン・ハース(35=独:22勝13KO5敗1分)ということに。

 

但しこの両者は、スーパークルーザー新設の話に先立ち、現地時間12月9日にUAEドバイでの対戦が決まっており…

 

そうすると、もう早々と王座決定戦をやるの?という感じがするものの、試合の詳細をいくつかの海外の情報サイトでチェックしてみても、ヘビー級12回戦、200ポンド契約などという表記で一定しておらず、どうもハッキリせず。

 

これが年明けのスケジュールならば、スーパークルーザー初代王者決定戦になっていた可能性が高かったでしょうけど、今週末というタイミング&王座が空位の状況で、決定戦出場の最有力候補の1位と2位が潰し合う試合を本当にやるの?という疑問も。

 

因みに、スーパークルーザー級3位はアレクセイ・エゴロフ(32=露:12勝8KO1敗/前々戦でWBAクルーザー級スーパー王者 アルセン・グラミリアンに挑み判定負け)

 

4位は、ブリッジャー転級のため9月?にWBCクルーザー級王座を返上したバドゥ・ジャック(40=スウェーデン:28勝17KO3敗3分/WBCスーパーミドル&WBAライトヘビーと併せ世界3階級制覇)

 

5位は、まだ知名度がイマイチのローマン・フレス(29=カザフスタン/独:19勝12KO1敗)… の順。

 

WBA曰く、主にヘビー級で起こりがちな20ポンド(9キロ強)以上の体重差を避けることを主な目的に、数ヶ月間かけてこの件を分析した上で新設を決定した、今後もチャンス・公平性の提供と、よりフェアなスポーツへの努力を続けていく云々、とのことですが…

 

WBCが2020年11月、今回のWBAと同じ理由でブリッジャー級の創設を発表した時、当ブログでもそれを採り上げて駄文を綴っており、クラス増設ついての部分についてまた述べると被ってしまうので、その際に書いた要点を抜粋。

 

Ⅰ. ボクシングの常識的には、軽量級になるほど数キロ程度の違いでもパワーや耐久力等にハッキリとした差が出る一方、逆に重いクラスになるほどその傾向はさして大きくは現れない。

 

 とはいえ如何に重量級でも、体重差が10キロ~それ以上の単位となれば及ぼす影響は大きい。

 

Ⅱ. 昔(曖昧ながら、大雑把にモハメド・アリ氏などの時代あたりを境にそれ以前)は100キロを切るウェイトで戦うヘビー級選手が普通で、それ以上重いと動きが鈍くなり大成しない、という見解が通説だった。

 

 しかし現在は全体的に選手が大型化し、大部分が概ね100キロ以上のウェイトで戦っている実情があり、実質的な無差別級のヘビー級とはいえ同一クラス内で大きな体重差があることは不公平とも言える。

 

Ⅲ. 200ポンド(90.72㎏)がリミットのクルーザー級と、それと1階級差しかない最重量級のヘビー級のウェイト差は選手各々でかなりの差はあるにせよ、現実的に相当な開きがある。

 

 クルーザー級でウェイトがキツいクルーザー級選手にとっては、ヘビー級=ほぼ常に、大まかに実質10数キロ、時には20キロ以上も重い相手と戦わねばならないクラスということになり、少々の減量苦がある程度では簡単に転級はできない。

 

Ⅳ. Ⅲの逆&Ⅱの続きとして、ヘビー級では小型/軽量で不利を自覚している選手の場合も、余分な減量をしてまでクルーザー級に落としたくないというパターンに加え、体格的ハンディがあっても敢えて伝統あるヘビー級に拘りたい、などの理由で留まっているケースが相当数ある筈だが、そのために勝てない試合が増え、結果的に才能があっても成功できずに終わってしまう割合が高くなる。

 

 それらに該当する選手にとっては、ブリッジャー/スーパークルーザーがベストウェイトとなる場合がかなりあると考えられる。

 

と、そういった内容でしたが、当時のファンや関係者の反応は、長らく保たれて来たヘビー級の伝統の崩壊を懸念し、批判する声が大部分だったらしく…

 

で、自分はというと、上記のⅠ~Ⅳを考慮するに、従来とはハッキリ事情が変わっている今、少なくとも過去の歴史がどうこうのレベルで反対を唱えるのはズレてるんじゃ?と思う部分がかなりあり、そのへんを踏まえず批判だけしている向きには賛同できない、という感じでした。

 

実際のリアルタイムでも、技術を駆使しながらキッチリ倒して無双だったクルーザー級時代とは裏腹に、ヘビー級に上げてからは中堅どころに体格差で圧し込まれ苦戦する傾向が何度もあった現3団体統一王者 オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)などは、同じクラスでいつつ実力的には確実に上回っているにもかかわらず、体格差のために苦労させられた典型的な実例。

 

また、ブリッジャー級が見向きもされなかった要因には、21年10月の決定戦で初代王者になったオスカル・リバス(コロンビア)が不活性だった(延期になった初防衛戦が最終的そのままキャンセル→ その後、眼疾を患いタイトルを返上して引退)以外にも、その時期は新型コロナ禍でボクシング興行自体が制限されていた影響もかなりあった筈。

 

何だよブリッジャー級ってよ~程度低すぎな迷走マジ笑える~、といった軽佻浮薄レベルで批判するのは簡単ですが、それは一向に盛り上がらない・注目されない理由の説明とは全く別種の話です。

 

[一投稿が長くなるので、2回に分けて投稿します。関心のある方は次回に乞うご期待!ください。ない方は、読むだけ時間のムダになりますので無視してください]