1月31日(日本時間2月1日)にコンゴ民主共和国・キンシャサで行われたWBC世界クルーザー級王座決定戦の映像がネットに上がっていたので、観戦しました。
オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が去り空位となっていた王座の決定戦、1位 ジュニア・イルンガ・マカブ(32=コンゴ民主共和国:26勝24KO2敗)vs 2位 ミハル・チェスラック(30=ポーランド:19勝13KO無敗1NC)の一戦は…
3‐0の判定(114-112、114-111、116-111)でマカブが勝利。
2008年6月のデビュー戦を初回29秒TKO負けで落としたマカブは、以後は立ち直り、少しずつ世界への階段を上って行くも…
漸く掴んだ今回と同じWBCクルーザー級タイトルの王座決定戦(16年5月)では、先制のダウンを奪いながら、トニー・ベリュー(英)に3R逆転の失神TKO負け。
KO率は高いものの、打たれ脆さと表裏一体のイメージが強いズングリ型のサウスポー。
一方のチェスラックは、個人的には初めて観る選手。
無敗ということで、予想以上の好選手かも?と期待。
カード的には、どちらかと言うとチェスラックってどんな選手?という興味と、マカブが勝ったらコンゴ初の世界王者になるんだっけ?という部分に注目していました。
が、先に記憶違いを明記しておきますと、コンゴは既に世界王者を輩出しており…
コンゴ民主共和国(旧国名:ザイール)出身ではユーリ・カレンガ(WBAクルーザー級)、コンゴ共和国出身ではアナクレット・ワンバ(WBCクルーザー級)がそれぞれ初の世界王者。(おそらく間違いない筈です)
それはそれとして、この試合がキンシャサで行われ、プロモーターがドン・キング氏というのには、なんかノスタルジックな味わいというか…
何せ、試合地&プロモーターがあのジョージ・フォアマンvsモハメド・アリの歴史的ファイトと同じ組み合わせな訳ですから。
(と言って、フォアマンvsアリをリアルタイムで知ってる世代ではないんですけどね)
…で、マカブvsチェスラックの感想ですが…
まず、マカブの3‐0判定勝ちは妥当だと思いました。
序盤こそ以前の映像で観たのと同様な、慎重でちょっと動きが重い、手数の少ないボクシングでしたが、前半のうちにイニシアティブを掌握すると以後もそのまま崩れず、トータル見解なら公式ジャッジの2ポイント差が意外に思えるほど明白にマカブが勝っていた印象です。
因みに個人的な採点は、117-110でマカブでした。
大きなヤマ場は4R、ボディを受けて思わず後ろを向いたチェスラックにマカブが追撃の左2連打を浴びせ、ダウンを奪ったシーンくらいでしたけど、自分が優勢に立った時のマカブはパンチもかなり切れ、やはりパワーが売りなんだな、と感じました。
似たようなズングリ体型のためもあってか、あまり自分から行かない時の戦い方はワイルダー戦のルイス・オルティスっぽいイメージもありましたが、とはいえマカブの当て勘・正確性などはオルティスほどではナシかと。
さらに、膝や上体がカクカクしてバランスが良くない、攻められると防御に偏り攻防分離っぽい傾向がありそう、脆さを自覚してか顔面のガードは固める一方、ボディは意外と簡単に打たせる… といった点が目につき、今後どれだけ防衛できるかな?というのが率直なところ。
顎が上がる、口を開ける部分も、もしかしたら打たれ脆さの要因になっているかもしれないし、カクカクした動きのために、軽くもらっただけのパンチが見ようによってはクリーンヒットを受けたと(ジャッジに)取られかねない一面もあるかもしれません。
一方のチェスラックは、リキんでパンチを打つタイプで、シャープさに欠けるボクシング。
ダウンのあとはダメージの他、早くもスタミナロスしていたように見え、マカブの前進を止められず。
ステップワークでフルラウンド生き延びた感じながら、それも戦術というよりは圧されて下がっていた格好でした。
安定王者だったウシクの後継者決定戦としては今ひとつだった感が否めず、でしたが、今後つくられていくクルーザー級の新たな勢力図で、マカブはどれくらいのポジションに着けられるんでしょうか。
自分個人的には、ボクシングとは直接関係ないですけど、今回の試合でコンゴ民主共和国とコンゴ共和国について再認識する機会を得られたのが良かったな、という気持ち。
コンゴという名の2つの国が、自分の中で結構ごっちゃになってました。
あと、両方のコンゴ合わせて3人の世界王者が全てクルーザー級、という偶然もちょっと興味深いな~、と。
もう1つついでながら、日頃はさして目を向けない書棚を何気に見たら、↓の本が。
これも偶然?
それにしても、いつ買ったんだっけ、この本…?