意味不明の連続 ~フランチャイズと暫定王座 | ボクシング・ダイアローグ

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カンクン(メキシコ)で開催された第57回年次総会で、WBCがライト級王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)をフランチャイズ王者に認定した、との報道を目にし、何とも言えない溜め息。

 

(これにより、WBC同級暫定王者デビン・ヘイニーが正規王者にシフト、ついでながら)

 

ミドル級王者のカネロ・アルバレス(メキシコ)に次いで2人目の認定ながら、フランチャイズ王者というのには未だ不可解で意味不明な感が強くアリ。

 

簡単に言ってしまえば、WBAのスーパー王者と同じようなもの(らしい)と受け取って実質問題なさそうですが…

 

ちょっと遡って調べてみると、フランチャイズには〝特権〟の意味があり、ハワイでのWBC理事会で投票の3分の2以上の賛成を得て新設が決定され、フランチャイズ王者に認定されると防衛戦の期限や他団体のタイトルを同時に保持できる、といった特権があるとのこと。

 

で、カネロをその第1号に認定した際、WBCのマウリシオ・スレイマン会長は

 

「これは新しいチャンピオンベルトでもないし、新しいタイトルでもない。複数の階級で素晴らしい実績を持つチャンピオンのためのベルトであり、WBCと良好な関係を築き、複数階級でWBCのベルトを守って来たことにより(カネロを)フランチャイズ王者として認定した」

 

と説明、同時に

 

「これはいかなる試合でもWBCを代表するという意味があり、どのウェイトの試合でもタイトルはかけられる。(但し)フランチャイズ王者は決められてなるものだから、フランチャイズ王者に勝ってもその勝者がフランチャイズ王者になれる訳ではない」

 

… んだそうで。

 

更には、フランチャイズ王者の認定料は全てメディカルプログラムとドーピング検査の経費に使っている、とも語ったらしいですが…

 

WBCの場合、これまでに他にもダイヤモンド王者とか名誉王者とか、混乱を招くタイトルを乱造している経緯がありますから、どんな説明をされてもおそらく殆どのファンや関係者を納得させることは出来ないんじゃ?と思います。

 

第2号となったロマチェンコなど、今年8月のキャンベル戦で初めてWBCタイトルを獲得した訳で、先のカネロの時になされた説明とまるで噛み合っていません。

 

ロマチェンコのキャリアで一番関わりが深いWBOが同様のことをするのなら、まだ話としては解るんですが…。

 

 

そしてもうひとつのタイトル乱造団体・WBAもまた。

 

スーパー王者にカネロ、レギュラー王者に村田諒太(帝拳)選手が存在するミドル級で、12月7日に暫定王座決定戦を行う、との発表が。

 

カネロは次戦、ライトヘビーに上げてWBO王者コバレフに挑戦が決まっているものの、依然ミドル級タイトルは保持したまま。

 

村田選手も12月に初防衛戦が決定しており、どちらの王者も健在です。

 

なのに、何で暫定王者をつくる必要があるのか… まともに考えたら、やっぱり不可解では?

 

クリス・ユーバンクJr.(英)vaマット・コロボフ(ロシア)の対戦は好カードですが、これに暫定王座決定戦の看板が付くとなると…

 

もしコロボフに勝ったとしても、カネロがそのままライトヘビー転向の可能性は少ないように思います(個人的には)が、何にしても暫くの間はミドル級の防衛戦はしそうにない感じですから、じゃあいつものように、とWBAは承認料を稼げる王座決定戦をっていう流れになったのかな、と。

 

 

しかし、今更ながらですけど…

 

プロボクシング統括団体の老舗WBAと、それに次ぐ歴史あるWBC。

 

一番権威を示して欲しいところが、一番堕ちてしまっている感が否めないのは全くもって残念です。