空よりも天高く -96ページ目

下顎歯肉癌(頭頚部癌/口腔癌) ☆

2011年1月21日

診察と細胞再接種の結果を聞きに、主治医U先生に会いに行く。

先生が言葉を選びながら話し始める。

  右の【下顎歯肉癌】
  ステージ1から4(初期~末期)まであるうち、
  今の状況はステージ4 だと。


"末期癌なんですか?"と聞くと先生は
私の場合、癌が奥の方に出来て表面にでなかったので
発見が遅くなったのだろうと。

「先生、生存率は?」
「7~8割」

70%。高い確率に聞こえるけど、裏を返せば30%は死ぬということ。

「先生、どんな場合に残りの3割になるんですか?」

「腫瘍をとる部分を最小限にするとか、抗がん剤を止めるとか。
 きちんと治療をすれば大丈夫」


この癌は性質が悪いけど、幸いにも抗がん剤が効きやすいと言う。
また、ありがたいことに、
前回の診察の翌日に、MRIに似た、
癌を見つけやすいというPETスキャンを行った結果、
他の場所に転移はしていなかった。

入院期間は、半年から1年。
1か月ごとに抗がん剤を数回投与し、癌を小さくしたところで手術。


痛いのが苦手な私が聞く。

「先生、全身麻酔ですか?」

「貴方の場合、10時間以上の手術になるから」


業務の引き継ぎはその日で終わる予定だったけれど、
ファイリングや机の片付けが残っていて、週末の出社はほぼ決まりだった。

入院の準備が何もできていなかった私は先生に聞いてみる。
「入院日を来週の月曜から水曜日に変更してもらえませんか?」

先生は一つ返事でOK。

"やったぁ!最後まで手放せなかったAさんの25日のチケット。
 ライブも行ける!"


先生は最後に、にっこりと「頑張りましょう」と言った。

ああ、そうなのか。この笑顔の意味は、
"この先、大変な試練が待ってる" ってことなんだな。



その日の夕方の仕事中、姉が携帯に電話をしてきた。
結果はどうだったのかと・・・。

先生から言われたことを伝えると、
姉は涙声で

"生存率が高くてよかった"
"転移してなくてよかった"・・・と言う。


私は余命を言い渡されたわけではないから、
死ぬと言われた人の気持ちはわからない。

転移していたわけじゃないから、
転移していた時の気持ちもわからない。


私は半ば怒ったように震える声で言った。

「死ぬわけじゃないんだから、そんなこと言わないでよ」


ごめんね。
遠く離れて暮らす私を、父や母にも言えずに、
誰よりも心配してくれてたはずなのに。


後にも、他の人に、良かったねと言われたけれど、、、

もしかしたら、
今の私なら"そうだね"と言えたかもしれない。

でもあの時の自分には、
何かと比較して"それより自分はましだ" などと思える余裕なんてなかった。


私は"大丈夫"だと
みんなに笑って言いながら

目の前に立ちはだかる壁に、立ち向かうのでせいいっぱいだった。


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2011年1月7日(金)/外来診察
2011年1月8日(土)/PETスキャン
2011年1月21日(金)/外来診察・MRI
2011年1月25日(火)/CTスキャン
2011年1月26日(水)/入院(1回目)