<8/6日の続きです>


東京を離れる日がやってきました。


その日は子供の最後の登校日。


午前中に、引越しを済ませ、その足で子供を


迎えに行って、そのまま新幹線に乗る


手はずになっていました。


引越し屋さんのトラックに荷物を全部


積み終わり、約束の時間に学校に


子供を迎えに行きました。夫は一緒に


学校に行くことができないので、


空っぽの部屋で待っていてもらう事に


しました。


息子の最後の登校日は新幹線の時間の関係で


途中で学校を抜けなければなりません。


担任の先生がそれを知って、その日は


普通の授業の合間に


息子のお別れ会をクラスで開いてくれて


いたのです。お別れ会が終わる頃に迎えに


きて下さいと言われていました。


これで息子が通った小学校に来るのも


最後なんだな。


そう思いつつ、約束の時間に教室に


つき、そっと、教室の戸をあけると、


先生がすぐ気づいてくださり、


「もう少しで終わりますから、


こちらにすわっていてください」


と教室の前の方にすわりました。


でも、いすにすわるかそうでないか


の瞬間に、私は目を奪われました。


クラスの男の子が全員、泣いていたのです。


泣くというやさしい感じでなく、号泣していました・・。


先生が、「はい、みんな、泣かない!


笑顔で送ろうね!また会えるからね!きっと!」


そんな声をみんなにかけてくれていました。


でも、次の瞬間、不覚にも、私の頬を


大粒の涙がこぼれていました。


しかも、子供達の目の前で。


私は、自分でも想像していなかった出来事に


一生懸命、ハンカチで涙をぬぐうのが


精一杯でした。


それを、見ていた、女の子が(それまでは、


泣いてないように見えましたが、)


「あ、私、もう駄目・・」とつぶやいて、次の瞬間


泣いていました。


私は声も出ませんでした。


ごめんね。みんな。大人が泣いちゃったら、


駄目だよね。


我慢してる子まで、泣かせちゃったよ。私・・・。


でも、ゴメン、私、涙が止まらない。


ゴメン。


そして、有難う。みんなの姿をみていたら、


息子が友達に大事に思われていたんだって、


今日、改めて分かったよ・・。


仕事が忙しくて、ほとんど、学校に顔を


出すこともなかったけれど、


息子は息子で、この5年間、大切な


友達との思い出を築いてきたんだよね。


私が仕事から帰ってくると、必ず、学校の


友達の事を話していてくれてたよね。


その絆はママが思っていた以上だったよ。


よかったね。この友達にあえて、本当に


よかったね。


そして、ごめんね。分かれたくなかったんだよね。


みんなと別れるの辛かったのに、家では


一度も泣いたり、転校したくないって、わがまま


言ったりしなかったよね。


私も息子も今まで溜まっていた気持ちが涙になって、


流れ落ちているようでした。


男の子達も、私のそんな姿を見て、改めて息子に


「行かないで、転校しないで!」って、


息子を囲んで泣いていました。


ついに先生も泣いていたように見えました。


そして、しばらくの間、みんなで泣きました。


先生が、みんなが落ち着くのをまって、


最後に写真を撮ってくださいました。


そして、本当に教室をさる時には、友達が


いろいろな言葉を息子にかけてくれて、


そして、私と息子が校庭にでると、みんなが


教室から、息子にいつまでも手を振ってくれて


いました。


私は、心の中で、「みんな、有難う。5年間、


本当に有難う。」そう、何度もつぶやいていました。


その足で駅に向かう途中、息子は、たらたらと


歩いていたのですが、突然しゃがみこんで


しまいました。そして、地面を見つめて、


「俺、行きたくない」そっとつぶやきました。


私は何も言ってあげられず、空を見つめて


いました。秋風が漂う、気持ちのいい空でした。


息子はしゃがみながら、泣いていました。


私も、空を見上げながら、また涙が


こぼれていました。


私は、静かに、「また、みんなに会えるよ。


きっと。大丈夫。行こう。パパがまってるからね」


そう言うのが精一杯でした。


息子は私が泣いていたのに気づき、


「うん。」


とだけ言って、歩き始めました。


10月10日。私達が東京を出発した日でした。


<つづく>