庭の花


結局、むこうも訳のわからん難癖を 私に言いまくって、
こっちもこのときとばかりに 普段、
心の中にたまってる文句を
ドバーッと吐き出してやったので なんだかスッキリしていた。

そのせいか、それに中身のない喧嘩だからか
全然根に持たなくてよかったから
そんなに時間が経ってないのに 夫に話しかけていた。

「いやあ、お父さん、
お父さんに今まで言えなかった言いたいこと
ぜーんぶいいまくって、ほんとに すっきりしたー。

これが、言えるようになったってことは、
ほんとーにお父さんに愛情がでてきたってことやね。
だって、私もう、どんなにお父さんに出ていけーっていわれたってさ、
絶対出ていってやるもんかって、
私がいなきゃだめやろうもって思えるもんね。
それって、そういうことやん」

それを黙って聞いてた夫がひとこと

「ありがとう」

夫は夫で、不安だったんだろうな。

人間不信があるからね。

いつも、私を試すように わざとに心とは裏腹な言葉を投げつけるんだよね。

夫婦としても 今年、また一歩前進できたかな。

怒鳴りあいの大喧嘩してる間、
出張先から帰省してる次男が二階にいたんだけど、
全部、まるぎこえだったらしい。

いつものように、部屋からでて 階段あたりでこっそり様子を伺っていたようだ。

何かあったらすぐかけつけられるようにと。

夫は夫で、次男のことを気にしていたので
きこえてたらしく、朝ごはん食べたくても 下へ降りて行きづらく困ったなあ、と
思っていたらしいよ、 と話すと

「あいつは、おまえと長男がいつも喧嘩してるときも
嵐がやむのを息をひそめて部屋の隅っこに じっとしていたんだな…
オレとおまえの喧嘩のときもそうだしな。
なんか、そういう巡りあわせかな」

と言ったので、次男にそのことを話すと

「アニキのときも、すごく嫌やった。
すぐ横で怒られるのをきいてるのも 嫌なもんよ」

ああ、次男だって 傷ついてきてるんだよなー。

今まで私、そんなこと思いもしてなかったけど。

せめて、反面教師として、自分の糧にしてくれ。

そんな話を次男と台所で話してると
長男が友達んちから戻ってきて、話に加わった。

夫婦喧嘩のいきさつを大筋喋ってきかせたが、
あきれながらも笑いながら

「いつもながら、どっちもどっちですね」 と、

さらりと言われてしまった。

ま、そういうことです。