でもそれは一瞬だった。

一瞬、私をグッと見据えたがすぐにそらした。


その時私はどんな顔をしていたのだろうか。

正直なところ、

我が子からそんなことを言われるとは
思いもよらなかった。

そんなことは これっぽっちだって
思ったことない!

言われてみてほんとうにそう思った。


逆に、子どもに対して

あんたなんか うまなければよかったとか、いなければいいとか、死ね、とか

絶対に言ってはいけないと、そこだけは本を読んだか何かで知っていて、固く思ってきたぐらいだ。


なのに、我が子がそんなふうに

ほんとうに思っていた?!



衝撃だった。




そして、つぎに言った言葉は



「おまえは俺に何をしたかわかっとるんか!(わかっているのか!)

おまえは、おれを虐待したやないか!

おれに筆箱なげつけやがって!

おれを布団叩きでたたきやがって!」



虐待?!

虐待なんかしてないし!



「あれが、虐待じゃなかったらなんなんか!」


「おまえはおれを虐待したんたい!」



声をわずかに震わせながら叫ぶ長男に


私は呆然としていた。


確かに、小学三年生頃だろうか、勉強しない長男に腹をたてて
筆箱を投げつけたことはある。
でも、一度か二度だ。

布団叩きで叩いたことも覚えている。
長男が小学五年の頃だ。

長男に対して何かに頭にきて、長男の足をそばにあった布団叩きで思わずひっぱたいた。
でも一度叩いたら、とても痛そうで
長男がやめてと、悲壮な顔で後退りしながら手をかざしたので、かわいそうで一度でやめた、と認識しているのだが
長男は何度も叩かれたと思っているようだった。


私にしてみれば、それが虐待したなんてことになるとは全く思いもしなかった。


ただ、私もその時のことは今でも鮮明に覚えている。
あまり力いっぱい叩いたら 痛そうだと思って、加減して叩いたつもりだった。


そして、未だに忘れることがないのは、私自身も心に 後味の悪さを感じていたからなのだろうと思う。

けど、今思うと、加減したつもりなのに 竹でできた布団叩きだったから 軽くパシッと打ったほうがしなって逆に痛かったかもしれない…



とにかく、子どもがそんなふうにとらえていたなんて
夢にも思ってなかった。


長男の口から出てきた

その言葉をきいて

はじめて思い知った。



私が今まで

どんなにか深く

長男を

傷つけてきたかを。













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