母親の郷里へ帰ってから、 夫だけ母親の姉家族に預けられた。



姉の夫も役所勤めのお偉いさんだったそうだが、この人もまた愛人がいたらしい。



姉の夫は仕事の関係でほとんど家にはかえらず、おまけに他の女性の存在があると知って、姉はかなりヒステリックになっていたようだ。



おまけに5人の子供もいた。



さほど貧しいわけでもなかったろうが 夫は招かれざる客だった。



母親の姉は離婚しない人生を選んだが、たまたま夫が彼女のストレス解消の標的になったのかも。



とにかく ものごころついた頃には姉一家の中で、ご飯食べるときはちゃぶ台の周りを母親とその子供5人が囲み、夫はそのうしろで 箸を持つ手を恐る恐る伸ばし、ほとんど残っていない皿の上を探り、ご飯のおかわりも おばさんの顔色を見ながらできたりできなかったり、そして たぶんいつも 否定されるような言葉ばかり ぶつけられていたはずだ。



夫の記憶からは ほとんど消されているようだが、それでも幼い頃の話しをするときは そのことをいつも話す。