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走るひとの日々雑感

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鬼神新谷

持ちタイムで差を開けられているケニア・エチオピア勢に対して、最も有効な策は何か。
方法は一つしかない。自己ベストを更新するペースで押していくことのみ。
アフリカ勢が好き放題に行うアップダウンに付き合ったら消耗するだけ。
現時点での最高の手を実行した新谷は、少なくともここ数年の日本長距離界で最高のパフォーマンスをたたき出したと言えるのではないか。

記録会と違い、順位がすべてであるビッグレースで自己最高ペース、要するに未知の領域で押していくのは、とても怖い。どこかで潰れるんじゃないかという恐怖心との戦いでもある。

あの胸が締め付けられるような不安感と、必ずやってのけるという決意の混合。アップ場からトラックに移動する時に映った新谷の緊迫した様子がその状況を物語っていた。何かが起こるという予感がした。
すべての雑念を払拭し、静謐ともいえる境地に達すべく集中力を高めているように思えた。

奔放な発言で知られる彼女だが、競技に対する姿勢は修行僧そのものである。半端な取り組みで体脂肪率3.1%まで落とせるものではない。

ラスト1周でアフリカ勢にぶっちぎられたのは仕方ない。そこは地力の差。新谷は今できることを完璧にやってのけた。1000を3:03で回れる練習を詰んできたという自信がベースにはあったのだろうが、大舞台で結果として実現させたのは素晴らしいの一言。

だが本人は全く納得していない。悔し涙とともに、自分を極限まで追い詰める発言。一見エキセントリックに見えるが、数ある選択肢の中からベストの解答を選び出す非常に賢いアスリートだと思う。今後の陸上界を盛り上げる存在であるのは間違いないし、一ランナーとしては尊敬の対象以外のなにものでもない。