日比谷公園の写真が、たしかあったハズだと思って探したけど、見つからなかったので… 

テキトーな写真↓
















まず、『魔都』ってね。
タイトルがいいでしょう。


魔都といえば、上海。が… 常識の時代にあえて… 東京を魔都に見立てる。




都市の迷宮。



上から下まで… ってゆうのは、安南皇帝から… 日本政府の大臣から… うさんくさい連中、やくざまでと。





銀座。日比谷公園。帝国ホテル。




親しみ深いワケです。舞台が。

これ… 1935年の東京のハナシなんだけども。
















わたしが、この『魔都』を読んだのは… だいたい30年前だと思う。


ほぼ、忘れてましたけど。




まんをじしての、再読してね。

おもしろかったですよ。



うん。こう…
どこがどうおもしろかったのかも忘れてたけれども。


やっぱり、おもしろかった。





推理小説、ミステリーだから、当然殺人事件がいきなり起こる。


なぜ? 誰が殺したの?
ってゆう、謎でひっぱる。



それプラス… ユーモア溢れる語り口とゆうのかな。




シリアスなトーンが基調なんだけど、「これはおもしろ読み物です」って主張が露骨に、前面にあるんです。


なんか… 実在の人物を、かるくおちょくってる風に登場させてるみたいだし。



昔の小説だから(1937年~1938年)、当時の実在した人物っていわれても、わたしは知りませんけど。
















久生十蘭(1902年~1957年)って人は、はっきり言えばマニア受けな作家なんです。


大衆から人気があったワケではない。

とはいっても、みんなから無視はされてない。



読む人が読むと、「うわー」ってなる。シビれる。


いまでも、一部から人気、そして評価がある。
けどもー、ほとんどの人は知らないってゆうか。


いや、いまでも評価があるってのはスゴいんだけど。



小説家が、リアルタイムである程度人気があっても、死んで30年もしたら、たいがい忘れられます。


名前だけは、残るのかもしれないけど。
作品を読む人、つまり読者はいなくなります。



そうかんがえると、久生十蘭は一流。そんな気がする。



いまでも、読む人がいる。

文豪かよ、ってゆう。








そんな久生十蘭が、余裕で…


はい、皆さまどうぞおもしろ読み物をお楽しみください、って言いながら小説を書いているのが、『魔都』。
ほんとうに。



少し人を食ってる。とぼけている。






いつだって、十蘭はとぼけているんだと思う。

とぼけて… 「俺は知らんよ」とゆう顔をしながら、小説を書いている。


するとね。読んでも、大衆は「はぁ?」みたいな。


そうゆうトコロがあるんです。


だから、何。みたいな。
















この『魔都』は、かなりサービスしていると。

読者サービス。


長編だからかなあ?

あ、久生十蘭は短編の名手と呼ばれているんですね。

この『魔都』は、十蘭の長編のなかではもっとも評価が高い作品です。








その、余裕綽々な語りと。



作者の用意した、魔都の迷宮。

キャラクター。

仕掛け。
派手な仕掛けですよ。
劇場型犯罪みたいな。



ラスト、やくざ映画風にってゆうのか、ドンパチで締めくくるのもサービス?









日比谷公園とかさあ… ○○の○○とか、おもしろいんだよ。



ネタ。仕掛け。



そして、ミスリードの罠でしょう。



謎そのものは、まあ普通なんだけども… ハナシにスケール感があるし、仕掛けがいちいちおもしろいし、語り口が冴えまくりだし。


ああ、傑作。

















今回、再読して思ったのは… 主役的なキャラクターが、二人いるなあと。




そのうちの1人が…

最後の最後にね。どうなるか、忘れてたんだけど…


いやー可哀想でした。
可哀想な結末。

苦い結末。可哀想すぎ!



ひどいよなあ、作者が… ○○○○(登場人物)にひどいコトをする。




それ、忘れてたわたしもどうかしてるんだけど。





しかも、ですよ。

最後のほうに… 、十蘭は、「作者は■■■(もうひとりの主役的なキャラクター)をこんなひどい目にあわせるつもりはなかった」って書いてるの。


ひどい目にあってるのは、○○○○のほうだろ!

ほんとうに可哀想です。泣けてくる。










ユーモアと残酷なスペクタクル。


奇想、派手な仕掛け。


東京、迷宮。





久生十蘭再読計画の、第一歩として大満足したとゆう。



ため息と、まどろみと。