宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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(昨日の続きで)来月10日公開のシネマ歌舞伎、「曽根崎心中」の完成披露上映会です。

撮影は、歌舞伎座さよなら公演の2009年4月、お初はもちろん藤十郎で、徳兵衛は鴈治郎です。

 

直近で拝見した「曽根崎心中」は、2年前の大阪松竹座。 この時は、壱太郎と右近でした。

藤十郎となると、同じ松竹座の2015年、一世一代のお初でした。 徳兵衛は、やはり鴈治郎。

 

 

ついこの間の、壱太郎と右近による全く異なる印象の「物語」が、まだ頭に残っている中。

これぞ元祖の「恋の手本」を、藤十郎と鴈治郎が見せてくれます。 では、生玉神社の境内から。

 

お大尽を振り切ったお初が待っているところに、徳兵衛。 しばらく見ん間にえらいやつれて、、、

お前もちべたい指して、、、 お互いをいたわり合う二人。 寄り添うのを通り越して、もう一心同体になっている。

 

心の奥まで知るように、じっと見つめる。 やんわりと徳兵衛の手を握りながら、自分の胸に持っていく。

遭った嬉しさと会えない哀しさを交互に見せながら、徳兵衛をいたわる。 ときに、おちょぼ口で花のような笑い。

 

藤十郎がとにかくかわいい、意地らしい、いとおしい。 細かな仕草や指の動きは、演技と言うより自然そのもの。

対する徳兵衛の鴈治郎も、べたべたせずにお初への感情を素直に出している。 ぼんらしい表情が豊か。

 

カメラはずっとアップが続く。 これで細部がよくわかるんですが、あまり続くと3階席ばかりの身にはちょっときついかも。

3階からはこんな風には見えないし、と言ってオペラグラスは苦手だし。 目が慣れるまで大変(ぜいたくな)。

 

天満屋では、殺すがええか、、、 と、九平次に毒づく。 煙管をぐっと構えての野太い声にびっくり。

それが、徳兵衛のことを話すときは、ころころとかわいらしい声。 声が鼻にかかる癖までが、かわいい。

 

死なねばならぬ、死ぬる覚悟が聞きたい、、、店中に声を響かせながら、足首と喉笛の恍惚の時間。

そうして、はらはらどきどきの店からの脱出。 花道の駆け抜けは、トチリ席から見ているよう(これはいい)。

 

曽根崎の森にたどり着き、重厚な浄瑠璃の道行。 互いに身の上を嘆く中、こなさんがうらやましい、、、とのお初が切ない。

はよう殺して、、、と徳兵衛に縋りつくお初。 藤十郎が観音様のような顔で目を閉じて、幕が静かに降りてきました。

 

この芝居は名役者が揃いました。 徳兵衛、死ぬなよ、、、と叫ぶ、故・我當の久右衛門が地味深い。 

二人を慈しむ惣兵衛の故・竹三郎が、貴重な味わい。 九平次の芝翫と茂兵衛の鶴亀もいいぞ。

 

それから、女性陣。 茶屋女の雁之助と扇乃丞が、出の雰囲気を作ってくれます。

女郎は梅之助、春花、鴈成が、藤十郎の後ろで映り込みながら手を抜かない。 お玉の寿治郎が名人芸。

 

で、鴈治郎お勧めのエンドロール。 ここはじっくり(音楽はびっくりのラ○マニ○フ)。 締めは藤十郎の経歴で。

(藤十郎の芸は次世代へと)