家庭裁判所調査官について、つらつらと書いていきたいと思います。

 

 では、そもそも家庭裁判所調査官とは何か。

家庭裁判所調査官は、家庭裁判所で勤務をする心理職です。法の番人たる裁判所にしては、非常に珍しい職種と言えます。

 

 家庭裁判所調査官の仕事は、少年事件、家事事件の二つに分かれています。

 少年事件は、非行少年の処遇を決定することについて、意見を出すことです。例えば、少年院への施設処遇、施設には入れない社会処遇などの意見です。処分を実際に行うのは、裁判官ですが、その裁判官に意見を提出できるのが家庭裁判所調査官になります。

 家庭裁判所調査官は、成人の刑事裁判にはいません。刑事司法作用の中では、少年事件(二十歳未満)に対して特に設置された職種といえます。これは法の理念にあります。少年法1条は、「この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」としており、少年審判手続きは、単に非行に対する処分をお香だけでなく、健全育成が目的に掲げられている。そして、家庭裁判所調査官は、少年の健全育成を目的としてどのような処分をすべきかを考えるために、家庭裁判所に特別に設置されている。

 

 では、なぜ未成年に限って特別に扱うのか。

 そもそも、刑事司法の考え方として、再犯防止を目的とするか、応報を目的とするかは議論のあるところですが、両方の目的が刑事司法にはあります。これは、少年審判手続きでも同様です。しかし、未成年者は、成人と違って「未成熟」、「可塑性」という特殊な特徴があります。

 未成熟とは、その名の通り、未成熟です。物事を考える力が不十分です。自分の人生を考えてみても、成人してからと中学生や高校生では、考え方が深まりが違う。このような未熟な考えのもとに行われた犯罪に対して、成熟した判断に基づいて行われた犯罪と同じく刑罰による威嚇を科すのではなく、教育をすべきなのである。実際に、家庭裁判所の処分は、教育的要素を中核としている。

そして、可塑性である。万引きで生計を立ててきたような成人男性を考えてみると、働くより万引きをする方が楽だ認識が強く、この考え方を強制することは困難だ。また、何年もまともに働いていないのに、いきなり就労支援をしても成功する確率は低い(ように見える。)。しかし、未成年ではどうか。初めて万引きをしたときに、万引きの被害、万引きが発覚した時の逮捕などのデメリットなどを教育し、仕事ができていないとしても、就労支援をしていくことで更生が成人と比べて可能である。凝り固まった人間より教育が浸透しやすいのである。ちなみに、教育経済学の観点から考えると、社会政策による社会的な投資が最も教育効果をもたらすのは未就学児のようである。若ければ若いほどいいのだろう。また、脳科学の観点からも、思春期は成人期と比べて感情コントロールが不得手であるという。そう考えると、過ちを犯しやすい思春期の躓きに適切に対処することで、成人してからも犯罪を続けるリスクを減らせるのである。

 そういったこともあって、未成年に対しては特別な刑事手続が取られている。そして、家庭裁判所調査官は、少年や保護者と面接を重ね、その問題点を明らかにし、適切な処遇を検討し、裁判官に意見をするのである。その際、心理学、社会学、教育学などの知識を活用して職務に当たる(この点については大いに疑問があるが、後のブログで述べる。)。そうして、少年や保護者に教育を行い、更生を目指す。

 

 長くなったので、家事事件はまた次回