鳥之石楠船神 ~自由自在に動く乗り物の神~ | 神さまの本音・御利益だけでは解らない神々の気持ちと本来の御加護

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気軽に神社参拝を推奨するブログです。知りたい神様リクエストしてくださいね。

日本の神様って漢字ばかりで意味不明ですよね。文字から噛み砕いて解説してます。

古事記・日本書紀を元に
神名解説とスピリチュアルを融合してお話します。

 今回は「鳥之石楠船神(とりのいはくすふねのかみ)」についてお話していきます。古事記の中に出てくる神様で日本書紀には出てきません。祀られている神社も少なく古事記の中では名が知られていますが、余り有名な神様では有りません。

 

神崎神社(千葉県香取郡神崎町)

(鳥之石楠船神を祀る神社)


~天鳥船神とは~
 天鳥船神(あめのとりふねのかみ)とも言います。伊耶那岐・伊耶那美神の子神で、 建御雷神と共に国(葦原中国)譲りの交渉に大国主神のもとへ派遣されました。このとき、不在だった事代主神を交渉の場に連れてきた神。

 この神様は、船の化身的な神様。ですから日本書紀では船そのもので語られており、別の名で神ですら有りません。日本書紀に書かれている『天夷鳥命』を天鳥船と同一視する説も有ります。


【神名】
鳥之石楠船神(とりのいはくすふねのかみ)(古事記)

天鳥船神(あめのとりふねのかみ)(古事記)
天鳥船鳥之石楠船神(あめのとりふねとりのいわくすふねのかみ)(旧・陰陽本紀)


【神格】
自由自在に動く乗り物の神

【御利益】
交通安全 安全祈願 除厄招福 水難守護 海上安全 機械・機構の保守 


~漢字と音から読み解く~

 今回は、『音』で読み解く説が有りませんでした。学説等では大抵音で詠み解く説が多々見受けられるのですが、鳥之石楠船神に関しては有りませんでした。

 

【漢字から読み解く】

とりいはくすふねのかみ)(古事記)

鳥のように動く、石のように硬い楠の船の

 

あめのとりふねのかみ)(古事記)

神の国の鳥のように動く船の

 

あめのとりふねとりいわくすふねのかみ)(旧・陰陽本紀)

神の国の鳥のように動く鳥のように動きこの石のように硬い楠の船の

漢字を辞書から解析していくと上記のような意味になります。

【学説抜粋】(参照:國學院大學古事記学センターより

 この神様の名前に有る『鳥』『石』『楠』『船』ですが、個々に意味が御座います。漢字の意味ということではなく、古来よりの考え方が反映した命名になっているとのことです。

 

鳥・・・

古代は船に鳥の語や鳥名を称した例が多いとのことです。飛行の速さになぞらえたとする説や、水鳥の水上に浮かぶさまを表した説鳥を用いた航海術に基づく語とする説天と海とが一続きの空間と観念されたことから、天空を翔る鳥と海を行く船とが結びついたとする説、人の死後に魂を運ぶものとして共通する両者が結びついたとする説などが考えられています。

 死後天上の冥界に行くという信仰が日本に古くあった例は見出しがたく、最後に書いた説には疑問があるということです。この考え方は、仏教が伝来してから浸透していった考え方ですね。また鳥葬は、日本にあったという記載は見出だせていないとの事です。

 

石・・・

楠の船の堅固さを称えた名とする説や、神の依り代としての岩石とする説がある。神が天から降る乗り物の呼称として、「石船」(『万葉集』2・292)「天磐船」(神武前紀)といった例も、神話・伝承に見えている。

 

楠・・・

楠は、古来船材として重宝されてきた樹木。日本書紀に、素戔嗚尊の抜いた毛が、杉・檜・柀(まき)・櫲樟(くす)になり、それぞれの樹木の用途を定めたという話があり、そこでは杉と櫲樟とが船(浮宝)の材木に指定されています。



~鳥之石楠船神の諸説について~

 Wikipediaなどで諸説書かれていますが、整合性の無い説が多く如何様にも解釈できる説など乱れているのが実情です。代表的な例を上げてご説明致します。


【その1】

日本書紀の『天夷鳥命』を天鳥船と同一視する説

 この説を取りますと、天夷鳥命(あめのひなどりのみこと)は、建比良鳥命(たけひらとりのみこと)と同一神となります。建比良鳥命は、天照大御神と須佐之男命とのうけい(誓約)の段に登場します。天之菩卑能命の子で、出雲国造・無耶志国造・上菟上国造・下菟上国造・伊自牟国造・津島県直・遠江国造らの祖神になります。

 

【その2】

 記紀・古語拾遺・旧事本紀・出雲国造神賀詞で書かれている『建御雷神と共に国(葦原中国)譲りの交渉に大国主神のもとへ派遣された』の部分に於いて、武甕槌神と同伴した神を呼び名が違うだけで全て同一神という考え方が有ります。この説を取ると以下のようになります。

 

 鳥之石楠船神は、経津主神であり、天鳥船神であり、天之夷鳥命でもあり建比良鳥命でもあり・・・になってしまいます。

 

整合性のなさ

 鳥之石楠船神はまたの名を『天鳥船神』と言い、古事記上では、神産みの段に登場致します。天照太御神・須佐之男命よりも早い段階で産まれた神なのです。

 因みに建比良鳥命は、天之菩卑能命の子神です。天之菩卑能命は、天照大御神と須佐之男命の誓約の段で、須佐之男命によって天照大御神の身につけた珠を物実として生み出され、天照大御神の子となりました。
 

要約すると・・・

 『建御雷神と共に国(葦原中国)譲りの交渉に大国主神のもとへ派遣された』の部分共に行かれた神が時代背景・権力関係など様々な要因により書かれている内容が変わってくるのが実際です。何を基準に語るかにより様々な説が出てきます。ですから一概に何が正しいとは言い難いのが実情です。

 私見ではありますが『邇邇藝命(ににぎのみこと)が降臨(天孫降臨)の前段階である国譲りの交渉の際、共に行かれた神は、我が祖神である!(だから国を共に平定したんだ!立場が違う!)』とどの氏族も言いたかったのでしょう。ですから諸説存在するのかと思われます。


隅田川神社 (墨田区堤通2丁目)

(鳥之石楠船神を祀る神社)


~鳥之石楠船神から一言~
 今回も鳥之石楠船神からお話を伺いたいと思います。漢字のままの意味での神様なのか色々と疑問があります。



「鳥之石楠船神様はじめまして。色々と書かせて頂きましたが照査・ご確認・内容に不備がないか等々、質問等宜しくお願い申し上げます」
鳥之石楠船神
「あいわかった。では初めに、内容についてだが不備はないが足りない。概要としては正しい認識であると言えよう。諸説の部分に於いてはぼほ間違えない。その通りと言えよう。内容の不足については質問に答える形で補うこととしよう」

「ありがとう御座います。初めに不足している内容についてお伺い致します。どのような事が不足しているのでしょうか?」
鳥之石楠船神
「うむ。不足内容として、船と鳥の関係性についての記載が些か足りぬ。難しく書くと読まない人が多いと思い渇愛しているのだろうが、ここは無くしてはならぬ。船と鳥との関係は、古来に於いて重要な位置付けがされている。これは日本に限らず全ての船を使う人類にとって同じ。鳥をみて方角を知り、陸地からの距離を知り、気象の変化を察知して行動している。宗教的な意味ではなく実生活に於いて必要不可欠な要素であった」


「わかりました。鳥と聞くと『鳥葬』やら『鳥の化身』的な解釈が多いですが実際は違うということですね」
鳥之石楠船神
「その通り。何も古代の人々が何でも神に結びつけ生活をしていた訳ではない。生活に密着する事柄に関しては事実に基づき経験を伝承し生活をしていたに過ぎない。それを神と崇めてみたりしてより一層印象に残りやすくするために『神』という言い方をしているに過ぎない」


「では、この神名にある『鳥』とはどのような経緯なのでしょうか?」
鳥之石楠船神
「名にある『鳥』とは、行く方向を指示し、鳥のように素早く移動し、導くという意図がある」

「何も羽ばたくという鳥本来のことを指しているわけではない」


「高天原から葦原中国に降りる際にも鳥之石楠船神様は同伴されましたがこのときは『鳥』的な意味で降りられたのでしょうか?」
鳥之石楠船神
「そうだねぇ。これに関しては、些か語弊のある言い回しになっているね。まず、人が乗る大きな乗り物は、当時船しかなかった。その他は動物に乗るか荷車等しかなく、人を多量に乗せるのは船ということであった」

「だから、現代風に言えば《鳥のように自由自在に動ける乗り物の神様》とでも言えばいいだろう」


「あ・・・そういうことだったのですね。では、船に限らず、自動車や飛行機等々も含まれると」
鳥之石楠船神
「そうだねぇ。含むね。但し、列車は違う。あれは軌道で動くものだからね。別の神の管轄になる。《自由自在に動く乗り物》というところが重要。自転車や三輪車。無生物で自在に動く乗り物であれば問題ない」


「わかりました。有難うございます」

「では、神格って意味においても、そういう解釈で宜しいのでしょうか?」
鳥之石楠船神
「その通り。ご利益等々に関してもそれに付随した内容になるね。交通安全やら運行安全」

「その他には、楠に関しての加護も有る。これは、壊れにくい・丈夫である。という加護が付く。楠は、耐久性が有り丈夫な木だから船によく使われていた。ここから由来する神名だね」


「要約すると・・・船・自動車等々が故障しないような加護ってことでしょうか?」
鳥之石楠船神
「その通りだね。安全もそうだけど壊れない・壊れにくいってことに関しても重要」

「色々有難うございます。最後に何か伝えたいことが有れば宜しくお願い申し上げます」

鳥之石楠船神

「祀られている神社は少ないが、この世に自由自在に動く乗り物が多くなって嬉しい。軍事に使われるものもあるがそれは致し方ない。どのような意図で作られたのであれ、ものには罪はない。全ての自在に動く乗り物に関して加護をいたそう」

~最後に~
 名前は聞いたことが有る神様ですが解らない事が多かった神様。鳥之石楠船神は、古来は兎も角、現代人にとって信仰を深めたほうがよい神様だと思いました。


~鳥之石楠船神を祀る神社~
鳥之石楠船神を祀る神社は少ないですが全国に点在しています。

神崎神社(千葉県香取郡神崎町)、隅田川神社(東京都墨田区)、石船神社(茨城県東茨城郡城里町)、息栖神社(茨城県神栖市息栖)、大鷲神社(神奈川県横浜市南区)、鳥船神社(埼玉県所沢市)、美保神社境内 宮御前社(島根県松江市美保関町美保関)、住吉大社境内 船玉神社(大阪府大阪市住吉区)などが御座います。


~漢字から詳しく見る鳥之石楠船神の加護~(参照 漢字ペディア

とりいはくすふねのかみ)(古事記)

鳥のように動く、石のように硬い楠の船の

 

意味・・・・・とり。鳥類の総称。
なりたち・・・象形。とりがとまっている形にかたどり、「とり」の意を表す。

意味・・・・・①ゆく。いたる。 ②これ。この。指示・強意の助字。 ③の。主格や修飾の関係を表す助字。
なりたち・・・象形。足あとの形にかたどり、「ゆく」意を表す。借りて「これ」「の」の意の助字に用いる。

意味・・・・・①いし。いわ。また、いしでできているもの。 ②いしのようにかたいもののたとえ。 ③ねうちのないもののたとえ。④くすり。鉱物質のくすり。 ⑤こく。(ア)尺貫法の容積の単位。一石(こく)は一〇斗。約一八〇(リットル)。(イ)船・材木の容積の単位。一石は一〇立方尺。約〇・二八立方(メートル)。
なりたち・・・象形。厂(かん)(がけ)の下にあるいしの形にかたどり、「いし」の意を表す。

意味・・・・・くす。くすのき。クスノキ科の常緑高木。
なりたち・・・形声。木と、音符南(ダム)とから成る。

意味・・・・・ふね。大きなふね。
なりたち・・・形声。舟と、音符㕣(ヱン)→(セン)とから成る。「ふね」の意を表す。

・・・・その職務を仰せつかった神。職務が無い場合は単に”神”と言われる。一般的には、尊・神・命は神を表す尊称

 

あめのとりふねのかみ)(古事記)

神の国の鳥のように動く船の

 

意味・・・・・①あめ。そら。 ②そらもよう。 ③万物を支配するもの。④自然の道理。自然のはたらき。⑤めぐりあわせ。運命。⑥生まれつき。 ⑦神の存在するところ。神の国。⑧天子や天皇に関する事柄につける語。⑨物の最上部。てっぺん。
なりたち・・・指事。大(人の正面の形)の頭部を強調して大きく書き、頭頂の意を表す。転じて、頭上に広がる空、自然の意に用いる。

意味・・・・・とり。鳥類の総称。
なりたち・・・象形。とりがとまっている形にかたどり、「とり」の意を表す。

意味・・・・・ふね。大きなふね。
なりたち・・・形声。舟と、音符㕣(ヱン)→(セン)とから成る。「ふね」の意を表す。

・・・・その職務を仰せつかった神。職務が無い場合は単に”神”と言われる。一般的には、尊・神・命は神を表す尊称


あめのとりふねとりいわくすふねのかみ)(旧・陰陽本紀)

神の国の鳥のように動く鳥のように動きこの石のように硬い楠の船の

 

意味・・・・・①あめ。そら。 ②そらもよう。 ③万物を支配するもの。④自然の道理。自然のはたらき。⑤めぐりあわせ。運命。⑥生まれつき。 ⑦神の存在するところ。神の国。⑧天子や天皇に関する事柄につける語。⑨物の最上部。てっぺん。
なりたち・・・指事。大(人の正面の形)の頭部を強調して大きく書き、頭頂の意を表す。転じて、頭上に広がる空、自然の意に用いる。

意味・・・・・とり。鳥類の総称。
なりたち・・・象形。とりがとまっている形にかたどり、「とり」の意を表す。

意味・・・・・ふね。大きなふね。
なりたち・・・形声。舟と、音符㕣(ヱン)→(セン)とから成る。「ふね」の意を表す。


 

意味・・・・・①ゆく。いたる。 ②これ。この。指示・強意の助字。 ③の。主格や修飾の関係を表す助字。
なりたち・・・象形。足あとの形にかたどり、「ゆく」意を表す。借りて「これ」「の」の意の助字に用いる。

意味・・・・・①いし。いわ。また、いしでできているもの。 ②いしのようにかたいもののたとえ。 ③ねうちのないもののたとえ。 ④くすり。鉱物質のくすり。 ⑤こく。(ア)尺貫法の容積の単位。一石(こく)は一〇斗。約一八〇(リットル)。(イ)船・材木の容積の単位。一石は一〇立方尺。約〇・二八立方(メートル)。
なりたち・・・象形。厂(かん)(がけ)の下にあるいしの形にかたどり、「いし」の意を表す。

意味・・・・・くす。くすのき。クスノキ科の常緑高木。
なりたち・・・形声。木と、音符南(ダム)とから成る。

 

・・・・その職務を仰せつかった神。職務が無い場合は単に”神”と言われる。一般的には、尊・神・命は神を表す尊称
 

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