※今回、猟奇的な表現が出てきます。

そういったものが苦手な方は、閲覧しないことをおススメします。





大きな焚き火に当たって、安寿がくれた飴を食べて。

そういえばここで貰ったんだっけって思って懐かしい気持ちに

なってたら、安寿が来た。


嬉しくてにこにこしながら手を振ったら、こっちに来てくれて。

すがりつくみたいにくっついたからぎゅって抱きしめて、どうしたの

って訊いたけど、安寿は微笑んだだけだった。


誕生日迎えた事を思い出して、18になったんだよって言ったら

安寿が唇を動かして、おめでとうって言ってくれた。


ありがとうって言って、えへへって笑ってたら、安寿は抱きしめた

まま、腰の後ろからナイフ…んー、種類は良く分かんないけど

刃物を出して、自分の耳を、切っちゃった。


止めようとしたのに、安寿がそれを拒んで。

耳を切って、痛いはずなのに、安寿は笑ってた。


でも、全然嬉しそうじゃなくて、見ていたら、哀しいとか、もどかしい

とか、そういう気持ちが伝わってくるような気がする笑顔だった。


皮一枚で繋がった耳をかんで、わたしに口移しでくれた。


吐き出しても良かったのかもしれないけど、わたしは、飲み込む

事を選んで、かまずにごっくんと飲んだ。


ヒトを食べるのは、初めてだけど。

何だろう。何て言ったらいいんだろう。


……食べさせたのが安寿で、食べたのが安寿の一部だったから、

嫌だって気持ちは、なかったんだ。不思議と。


食べさせてくれたから、ごちそうさまって言ったら、口の周りに

ついてた血を舐めてきれいにしてくれてた安寿は、はって息を

吐くみたいにして、笑ってた。


わたしは、てっきり安寿がもうひとつのご飯を食べたくなったのか

と思って、ご飯食べるのガマンできなくなったのって訊いたら、

そうじゃないって言いたそうに首を振ってた。


何で食べさせようと思ったのって訊いたら、

お前を遠くに感じたから、って。


唇が、そう動いた気がした。


傷口をタオルで押さえたら、けばけばがついちゃうから、ホントは

ダメなんだけど、手にとった最初の止血できそうなのがそれ

だったから、それを安寿の耳があった場所に、押し当ててた。


遠くに感じてたのは、わたしだけじゃなかったんだ、と思ったら、

嬉しいような、ちょっとだけ、哀しいような。

複雑な気持ちになった。


安寿は、タオルを借りる、と言いたそうに持ち上げてから、どこかに

歩いて行った。

血の痕が残ってたから、わたしもすぐに追いかけたけど、血は

森の中の途中の川で、途切れてた。


そこから先は追えなくて、川の傍に座って、ずっと色々考えてた。


どうすれば、遠いって感じることがなくなるんだろう、って。

わたしは気持ちを伝えるのが得意じゃないけど、それでも、

伝えられるようにならないとなんだ、って思った。


遠いって感じることもあるけど、わたしは、安寿の傍にいたくて、

大事なんだってことを、伝えなきゃ、って。


そんなことを考えながら、寝転がって星空を見てたら、人が来た。


初めて会った子。

歳はあんまり変わらないみたいに見えたけど、もしかしたら

わたしよりも年上だったかもしれないな。


でも、すごく話しやすくて、優しい子だった。


わたしの名前は教えたけど、教えてもらうの忘れちゃったから、

今度会ったら教えて貰えたらいいな。


そうまがバレンタインデーのお返しでくれたアクセサリーが星

なのを見て、星はタロットカードで希望なんだって教えてくれた。


前髪を止めてたから、希望が見えるところにあるのはいいねって

話したり、他にも色々話した。


眠くなっちゃったみたいで、その場所で寝ていくみたいだったから、

わたしも一緒に寝かせてもらうことにした。

初めて会ったヒトと一緒に寝るの、久しぶり。


何だか嬉しくて、にこにこした。


相手の子が寝ちゃってから、お腹に手を置いて、やっぱりお腹に

安寿の体の一部があるっていうのが、変っていうか、不思議っていうか。

そんな感じがするな、と思いながら寝た。


朝、起きたら相手の子、まだいたから、一緒にご飯食べた。

パン、美味しかったし、飲み物も美味しかった。

またどこかで会えたらいいな。