久しぶりにおっちゃんが作ったご飯が食べたくなって、屋台に
入ってきた。
どこで採れたのかよく分からない春の山菜の天ぷらにししゃも。
揚げギョウザに卯の花。
お土産でもう1品作ってっていったら、また山菜の天ぷらが
出てきた。
…これは、持って帰るわけにはいかない、ね。
揚げギョウザをもう1回作ってもらうことにして、さっき出してもらった
料理を食べてた。
ここ何日か雨が降ってたから、きっと花が散っちゃうかもしれない
なって思って、おっちゃんに訊いたけど、答えは帰ってこなかった。
相変わらず、無口。
透明なパックに揚げギョウザを入れて、それをビニール袋に入れて
もらって。お金を払って、また散歩。
バラックのところを歩いてたら、おばちゃんが赤いバラくれたから、
それを安寿のところに持ってくことにした。
枕元に赤いバラも、ビニール袋に入れた揚げギョウザも置いて。
寝てる安寿の前髪をそっと撫でてたら、起こしちゃったみたい。
でも、何日かぶりにお話出来て嬉しかったな。
あったかくて、優しい言葉をもらったから、すごく心があったかく
なって、ほわっとしたよ。
頭を撫でてた手を握ってくれたのも、嬉しかったな。
指先と手の甲にキスをもらったのは、かなり、ビックリした…。
嬉しかったけど、ビックリした…。
ビックリしたから、肩がぴくっと動いて反応しちゃったけど。
いつもありがとうって言ってくれたの、嬉しかった。
今日はぎゅっと抱きしめて、後頭部を撫でてくれる手が優しい
から、気がついたらそのまま寝ちゃったみたい。
朝起きた時、持って行った揚げギョウザ、一緒に食べられたら
いいな。
安寿。こちらこそ、いつもありがとう。
