夕方、しんりょうじょで目を覚ましたら、しんりょうじょでお手伝い

してる、おにーさん…?おじさん?がお話してくれた。


久しぶりに病院の人じゃない人と話せて、すごく嬉しかった。

優しい人だったよ。

名前は教えてもらえなかったけど、どこかで会ったような気はする。

気配だけは、どこかで感じた覚えがあるんだ。


またどこかで会えたらいいな。

今度会う時は、元気な体で会いたい。


夜になって、もうちょうの傷跡のせいでお腹が痛かったけど、

いっしょうけんめい焚き火のところまで歩いたよ。


いっしょうけんめい歩いたからか、ずっとずっと、会いたかった

人に、また会えたよ。


ちょっとやせてたけど、元気そうだった。


……また会えたのが嬉しくて。ほとんど泣いてた。

でも、泣いたままにさせててくれたのも、嬉しかった。


きっと言いたい事、いっぱいあったんだろうな。


それは、わたしの気持ちが変わってなかったら、言いたかった

こと、だったのかもしれない。

わたしの気持ちが前と同じだったら、言ってもだいじょぶだった

こと、なのかもしれない。


選んだ道に、後悔はしてない。


だから、ごめんなさいって、謝った。


悪いのは、わたしだから。

待つって決めたのを破ったわたしだから。


お互いプレゼントしあった指輪は、返したりしないで、そのまま

持ってることにした。


すぐに左の薬指につけ直してくれたのが、嬉しかった。

わたしのこと、嫌いになったんじゃないんだって、分かったから。


指輪を返さない代わりに、1つだけ、ワガママを言ったら、

それはとっても予想外な答えだったらしくって、何それって、

笑われた。


………ものすっごく悩んで、言おうかどうしようか迷ってから

言った事だったのに。

笑わなくてもいいじゃないって思わず文句言っちゃった。


たまにかもしれなくても、また会えるのが、とっても嬉しい。


もう、一生会えないと思ってたから。

会ってもらえないと思ってたから。


だから、すごく嬉しい。


立場は今まで通りじゃないけど、それでもいいから会えるって

いうのは、初めてだから。


いいのかなって思うこともあるけど、今でも大事な人に

変わりはないから、いいと思う事にした。


大事なものがいっぱいある。

トモダチも、トモダチがくれたものも。

大好きな人がくれた気持ちも。


皆みんな、大事。すごく、大事。


新しく好きになった人のことを話したら、ぐーでなぐるって

言ってた。


……いやいやいや、暴力反対。


冗談だって分かってるけど、ちょっとだけ、心配。

なぐる方も、なぐられる方も。


そろそろ寝る?みたいな話になって、ブランケットの方が

長くておっきいから、貸してあげた。

すぐに匂いかぐから、思わずこらって怒ったけど。


そんなところも変わってないなぁ、と思って。

すごくすごく、懐かしくなった。


頭を撫でてくれる手が優しいのも。細い体も。白い髪の毛も。

優しいところも。

全然、変わってなかった。



わたしも、昔と全然変わってない。



自分の手の中に入れたものをなくしたくなくて。

ただコドモのようにだだをこねて、泣きわめいてるだけ。



変えたかったのに、ちっとも、変われてない。


自分に思いっきり優しくて。

ワガママ。


皆がわたしを優しいっていう理由が、未だに分からない。

ただの、ワガママのかたまりなのにね。