雪山に登ると、何でか歌を歌いたくなる。


歌を歌って、降りて。

昨日トモダチに聞いた梅の花を探しに歩いた。


木がいっぱいあるところ、は森しか浮かばなくて。

街の北にある雪原を歩いて、森に入った。

微かに梅の匂いがしてきたから、匂いが強くなる方に

歩くと、赤い梅の花が咲いてる木が見えた。


まだ、ちょっとした花は開いてなかったけど、いい匂いがしてた。


嬉しくて花に手を伸ばしてたら、誰かが走ってくる足音が

聞こえたから、ちょっとビックリしたけど、見た顔は安寿だった。


嬉しくて走ったら安寿も走ってくれて。

もっと嬉しかった。


安寿にぶつかっちゃって、ちょっと痛そうな声が聞こえたから、

もしかしたら痛い思いさせちゃったかもしんない。

ごめんって謝ったら、すぐに許してくれた。良かった。


久しぶりに安寿に会えたのが嬉しくて、つい泣きそうになったけど

何かに怯えてるみたいに、見えちゃったかもしれない。


うん、だいじょぶ。


安寿に会えたのが嬉しいから。

だから、だいじょぶ。


花の咲いてる場所で安寿によく会うねって言ったら、

きれいなものが好きだって言ってたから。

今度安寿を探す時は、きれいなものがある場所を中心に

探そうと思う。


安寿に俺を探してねって言われたから、わたしも探すから、安寿にも

わたしを探してねって言った。


いっつもわたしばっかり探してる気がするから。


探して、探し当てたら、沢山話してねって話した。

人の話してる声も好きだって言ってたから。


また会えたら、沢山話したいな。


そろそろ行かなきゃって走っていこうとしたから、慌てて追いかけて

途中まで一緒に行こうって言ったら、待っててくれた。

手を繋いで、あったかい所を目指して歩いたよ。


今日は、ゆっくり眠れそうな気がした。