けいしに、さいならだ、と言われた。
もう、けいしはわたしのだんなさんじゃないんだって。
お前は俺に縛られすぎてる。
言いたい事もまともに言えなくて、自分が何であるかも
分かってないだろう。って言われた。
家まで追いかけっこするみたいに帰って、明日になったら
出てくから、一緒に寝ていい?って訊いたら、だからてめえは
中途半端なんだよ。出て行くなら今すぐ出てけ。助けてくれる
やつなんざいっぱいいるだろうがって、怒鳴られた。
首根っこ掴まれて、外に放り出された。
やだって言って、家の中にもどったら、けいしはもう寝てた。
ふとんのすぐそばにすわって、寝てるけいしにはなれたくないって、
居心地悪い思いさせちゃうけど、けいしのそばにいたいって、
ワガママ言った。
けいしは起きたみたいで、わたしを何も言わないで見てから、
買ったあめをくれた。チェ○シーのバタースコッチ味の、小箱。
この絵に描いてある絵が、好きなんだって。
けいしが起きたから、出て行きたくない。けいしにしばられてて
いごこちわるくさせちゃってるけど、そばにいさせてくださいって
伝えたけど、返事がなかった。
あめをわたしたら、すぐねちゃったんだ、けいし。
・・・いやだって言わなかったから、いてもいいのかなって
自分に都合よく、思うことにした。
けいしの服をたたんで、布団に入って、一緒にねることにした。
けいしにくっついたら、やっと、はっちゃんに言われた事の意味
判った気がした。
見失ってたのかもしれない。
自分自身のことも、一番大事にしたい人がだれなのかも。
わたしが一番大事にしたい人は、本当に大切にしなきゃ
いけない人は、すぐ傍に居たんだ。
近すぎて、いてくれるのが当たり前になってて。
けいしの気持ち、見ようと、分かろうとしてなかった。
全然良い子じゃないなぁって、思った。
けいしは良い子だって言ったけど、全然いいこじゃないよ、わたし。
悪い子だよ。
悪いどころか、最低だって思った。
…まだ、間に合うかな。
これから、伝えていくのでもいいのかな。
あきらめたくないから、あきらめないよ。
だんなさんじゃないって言われたけど、最初からきらいだったって
言われたけど、あいしてたって過去形で言われたけど。
わたしがけいしのそばからはなれたくないから、例え間に合わなくても
無理矢理かもしれないけど、間に合わせたいって思う。
今まで抑えてた分、けいしにワガママになって、言いたい事
言えるようになるって、決意した。
けいし。気付くの遅くて、鈍くてごめんね。
となりにいたいから、わたしはがんばるよ。
とりあえず。やれること、思いつくこと全部やりつくすまでがんばるんだ。
あきらめたくないから、がんばる。
気持ち分かってもらえるまで。
