公園に少し足ひきずりながら行ったら、そうまが泣いてた。
心配になって、近づいたら、後ろから髪の毛白くて目が赤い
おにーさんが来た。
見たことない人だなぁ、と思っていたら、釘がいっぱい刺さった
バットを持ったおねーさんも来た。
・・・今時、釘バット・・・。
痛そう、と思いながら見てた。
どうやら、あきらの知り合いらしい。
わたしとそうまが話をしてたあきら、という言葉に反応して
心当たりないか、と訊いてきたから。
最初ははぐらかしたけど、結局教える事になって。
そのおねーさんはあきらのいとこさんだと分かった。
・・・しかし、あきら・・・。150万も借金あるなんて・・・。
最初は持ってるものがモノだから、けいかいしたけど、
意外とノリがいいおねーさんだと分かった。
芸能界で一緒にお笑いの頂点を目指してみたいと思うので、
一緒に芸人さんになろう、と誘うのはやめないことにした。
おねーさんは恥ずかしがり屋さんだから、人前でおでんの熱い汁
かぶったりとか、ツッコミとか出来ないから、と断られたけど。
いつかコンビを組んでみたい。
いいツッコミできると思うんだ。おねーさん。
名前きけなかったのが残念。
おねーさんが去って、そうまがミラクルおバカって言ってたのが
おかしくて、くすくすと笑った。
そのおねーさんとも何やらドロドロとしたものがあるらしい。
あきらの周りは濃い人ばっかだな、と思った。
・・・ん?ってことは、わたしもか。
はっちゃんから手紙が来て、そうまにも同じような内容の
メールが来たらしい。
そうまにあきらはどういう人だと思う?って訊かれた。
わたしはすぐに返事を返して、不器用な人って答えた。
生き方も、人との接し方も、考え方も。
何もかもが不器用。
だからついほっとけなくて余計なおせっかいをしたくなる。
そうまは続けて、やみいちのおにーさんとあきらが一緒にいたら
未来はあると思う?って訊かれた。
わたしの結論はそうまと同じって答えて。
でも、その結論を選んだのはあきらだから、他人が何か言っても
本人に変えるつもりがなければ意味がない。
今のわたしに出来る事は、あきらが甘えてきたら思う存分
甘やかすだけ。
あきらが何か言ってきたら、聞いて、怒ってあげるだけ。
それをあきらが望んでて、わたしがその場にいるなら
そうするのが正しいって思うからそうする。
それをするしか出来ない。って付け足した。
それが、今日の朝、はっちゃんと話して出したわたしの考え。
・・・もしかしたら、わたしとそうまの結論は外れるかもしれない。
わたしが話した時のおにーさんは、本音じゃなくて、おにーさんの
建前で話してた感じがするから。
自分の味方だとは思えない人に、本音は言えないんだろう、と
今なら思う。
ユウキさんも言ってた。
マナは平野の味方なんでしょ?って。
でも、わたしは敵とか味方とか関係なくて。
あきらの力になりたかっただけ。
あきらがやったことはゆるされる事じゃない。
それは分かる。
分かるんだけど、おにーさんと話してるときはわたしとそうま以外に
あきらをまもる人がいなかったように、わたしには見えた。
だけど、あきらもちょっとだけだけど、気付けたし。
ちょっとだけだけど、変わったから。
きっと、わたしが最初に出した結論どおりにはならないと思う。
・・・なって欲しいっていう、希望も込み、だけど。
あのおにーさんは、あきらと同じ目線でみようと、肩を並べて
歩いていこうとがんばってる感じがした。
肩を並べて歩くのは、あのおにーさんに任せる。
わたしは、あきらの「お母さん」らしいので。
叱ることと甘やかすのは任せて欲しいと思う。
・・・まさか、私の2倍近く生きてる人のお母さんになるとは
思わなかったな・・・。
そうまは、だまって聞いて、うなづいてから俺にできることは
怪我をしたら、治してあげることと時々踏んでやることと
信じてあげる事だなって言ってた。
そうまにもあきらにとってわたしはお母さんだって言われた。
じゃあ、そうまはおにーさんだって言ったら、すでにお母さんは
めいっていう立派なお母さんがいたので、いとこってことになった。
・・・でもそうまに叔母ちゃんって呼ばれるのは、
ちょっとえんりょしたいです・・・。
わたしが叔母さんってことになると。
けいしが叔父さんってことになるわけで。
そうまがそれはやだなって呟いてた。
ひどいよー!って言った後、思わず笑ったわたしもひどいのか。
ごめんね、けいし。
そんな話をして、そうまは帰っていった。
今日仕事をさぼったせいで朝からおしごとなんだって。
家に帰ってから、泣かないといいな、と思いながら見送った。
白い髪のおにーさんには体をきたえた方がいいって
アドバイスをもらった。
目標は10キロ走れるようになれるように。
10キロ走れるようになったら15キロって少しずつ走る
きょりを伸ばすのがいいんだって。
今はけがしてるけど、けがが治ったら筋トレもするんだ。
白羽さんって言うんだって。
ブランコに乗って、こいで色んなことを考えてたら
ハナオっぽいおにーさんがきた。
ハナオかな、と思ったけど違った。
ちっちゃなシャボン玉をポポポって沢山作ってくれた。
割れないシャボン玉の作り方を知りたいみたい。
わたしは知らなくて、ごめんねって言ったら、頭なでてくれた。
いい人だなぁって思った。
名前を訊いたら、ハルタって教えてくれた。
くまさんみたいなフードが付いてるジャケット着てて
ちょっとうらやましかった。
いいな、いいなー。
ハルタと手をつないでかえろうとしたら、えいじがきた。
慌てて戻って話をしてたら、この前屋台でハニートーストを
出されて困ってたおにーさんも来た。
えいじとそのおにーさんは知り合いみたいだった。
山崎さんっていうんだって。
子供の時は門限が6時で、夕飯までに宿題を済ませて、
夕飯を食べたら皆でニュースを見てたらしい。
すごく真面目だ…。
この街でそんなに真面目な少年時代を送った人に
久しぶりに出会った気がする。
えいじと山崎さんの仲はこじれてるみたいだった。
えいじの誤解が原因っぽい。けど、その誤解させた
原因は山崎さんにあるっぽかった。
ここでもこじれてる、と思った。
…良くこじれてる人とそんな場面に出くわすな、わたし…。
こじれるとそれを解くのはむずかしいから、山崎さんもえいじの誤解を
ときたくても、なかなか解けなくてもどかしい思いしてるんだろうな、と
思った。
えいじ、人の話を冷静に聞きそうにないからなぁ…。
まぁ、恋とか愛とかそういうのからむと冷静になれないのが
人間だからね。
しょうがないのです。
3人で途中まで一緒に帰った。
けいしがくれた手紙にあった地図を見て、新しいお家に
帰ってみた。
お堂のとなりにはお墓があって、お堂の中には
仏像がいっぱいあった。
今度のおうちも中々住み心地が良さそうだった。
・・・けいしと全然話せてないなぁ・・・。
明日は話せるといいな。って思いながら布団に
包まって寝たの。
・・・引越しした事、トモダチに知らせないといけないのか。
後でポーリーに頑張ってもらおうっと。
