夜になってからだったけど、そうまの家から退院するじゅんびをした。

もぐもぐってお赤飯をおにぎりにしたのを食べながら、そうまに

手紙を書いて、マルマル、ラムちゃん、ネズミふうふといっしょに

家に帰った。


うん、やっぱり自分の家が一番いいね。くふふ。


ネズミーズを置いてから、久しぶりにおばちゃんのところにかおを

出したら、しかられた。


「もー!マナちゃんどこ行ってたん?おばちゃんしんぱいして

ご飯もろくにのどをとおらんかったんだで!?」って。


ごめんね。おばちゃん。しんぱいかけちゃって。

でも、ご飯食べられなかったって…言ってた割には…。


…ううん、何でもない…。


事情を説明したら、「ちゃんと食べにゃーからだで!!」ってまた

しかられた。


うー、そんなにおこらなくてもいいのに…。


ちょこっとお話して、家に帰って寝た方がいいって言われたから

ばいばーいって家に帰ったの。


帰る途中で海に行って、コンビニに行ったの。

肉まんとホットミルクティー、ポのつく緑色のビターなのと、

いちごみ○く買って、海で食べたの。

肉まんもミルクティーも美味しかったなー…。


帰る途中でごみも捨てて帰ったんだけど、見たことない場所に出た。


どこだろ?って思って。

明かりがついてた場所に入ってみた。


薬のにおい。

びょういんかな?って思いながらだれかいませんかー?って

あるいてたら、はさみを持ったそうまがひょこってかおを出したの。


・・・うわぁ。


きのう、あきらになぐられまくったから、かおが男前になってる・・・。


ふぬ?


・・・何か昨日の夜見た時と、どっかちがうな・・・。


かおがはれてる以外で、何か違う気がしたんだけど・・・。

気のせいだな。うむ。


入っていいよーって言われたから、しんさつしつに入って。

色んなお話した。


きのう、何でていこうしなかったの?って訊いたけど

あきらさんのマゾがうつったんじゃない?ってはぐらかされて

おしまいだった。


・・・ふぬー・・・。なっとくいかん。とか思っていたら。


そうまは持ってたはさみで自分の髪をじょりじょりと

切り始めた。


・・・きっと、たぶん、だけど。


自分の中で、ひと段落付けたかったんだろうなって、思った。



そうまはそれ以上はなすつもりなさそうだったから、

質問をかえてみた。


ゆるすゆるさないって、だれが決めるの?って。


私は昨日、自分に決まってるって答えたから。

そうまに昨日自信満々で答えてたじゃないって言われたけど。


そうま自身はだれにゆるしてもらったら気が済むんだろうって

思ったから。そう訊いたのだ。


言葉が足らなかったのがちと残念。


カミサマじゃないの?ってまたはぐらかされて終わりだった。


ふぬぬー。なっとくいかん。


自分自身だと思ってるから昨日はそう言ったけど、そうまは

ちがうみたいだから。自分で自分の事ゆるしたくないんだなーって

今ちらって思ったって言ったら。


わたしのことを、強いねってそうまは言った。じぶんのことを

許そうとは思えないし、許すつもりもないんだって。


・・・わたしにしてみれば、そうまの方が強いと思うんだけど。


だってさ、許さないでいるのってすんごーくつかれるでしょ。

苦しいでしょ。


すんごくつかれるのも苦しいのも嫌だから、ゆるしちゃう。


そうまはちがうらしい。

そういう風に思えるのが強いんだってさ。


・・・えええー・・・。


頭のいい人の言う事は、時々分からない。

色々考えすぎて、ふくざつになりすぎてて。

頭のいい人はふくざつに考えるのが好きなのかもしれない。


何となく、そう思った。


分からんって言ったら、いいんだよ、分からないままで。

要は今のマナちゃんのままでいてくれってことなんだから。

って言われた。


今のまま、と言われても。

こんなののままでいいのかなー?って思わず首をかしげた。



そうまは自分のした事がついてまわるなら、くずはくずなりに

生きていく。ゆるさないのはあきらに任せたって言ってた。


本当にいいと思う?って呟くみたいに言われたから。

真顔でそうまが正しいって思ったのが正しいから、いいと

思うって答えた。


そうまがくずでクソでみにくいいきかたなら。

わたしは何だ?ってちょっとだけ思った。


人は色んなの抱えてる。


それを放り出してなかったことにするのも、背負って苦しむのも、

わたしみたいに「うん、いいんじゃないの?」ってゆるして、

背負っててもいいじゃん。それも楽しいし。ってある意味開き直るのも。


全部“正解”だと思う。


全部“正しい”と思う。


その人が、「これが正しいって思う!」って選んだなら。

他の人が選ばない、本当はまちがってるかもしれない答えでも

“正しい”と、私は思う。


この考えを、みんながみんな、“正しい”って言うとは限らない。


それでもいいって思う。


だって、みんないっしょじゃ、つまんないもん。

みんなちがうからこそ。おもしろい。


ちがってて当然。



わたしは変わらないよ。きっとこのままの性格だよって言ったら。

分からないよ?女の子は変わる機会がいっぱいあるから。って

そうまに言われた。


けいしのえいきょうで、多少変わるかもしれないけどって付けたし

たら、ケイシーうらやましいってそうまがつぶやいた気がした。


・・・何で?

何でけいしーをうらやましいって思うんだろ?


・・・分からん。


でも、きっと基本的なところは変わらないよ。

あきらいわく「がんこ」らしいから。って言ったら。


・・・そうまったらひどいんだよ?


あははっ、たしかに。あきらさんもおもしろいこと言うじゃんって

おもしろそうに声出して笑ったんだよ?!


ひどーい!そうまだったら否定してくれると思ったのに!!


がんこじゃないってばー!!!


くっそー。あきらめ!今度会ったら…。

会ったら…何かしてやるっ!って思っていじけてたら。


良いんだよ。がんこなところもつよいところもかわいいところも

やさしいところもぜんぶ全てひっくるめてマナちゃんのいいところで

マナちゃんそのものなんだから。って言った。


・・・くっそー。そうまめ・・・。

・・・・・・照れて、わたしのかおが赤くなっちゃったじゃない。


この街の男の人はよろこばすの上手だよね…。

くそーう。かおが赤くなったのがくやしい。



そうまのけいたいにメールが来て。返してもいい?って断りを

入れてからボタンをポチポチしてたそうまがマナちゃんはどんな

色が好き?って訊いてきた。


思いつくままに黄色、青、赤、白、黒、緑も好きだけど、

1色にしぼったほうがいい?って訊いたら。


んじゃあその中で特に好きな色2色って言われた。


ええっ!?2色?!…逆にむずかしいよ、それ・・・。


髪の毛ぐしゃーってして悩んでたら、そうまが青、赤、

白、黄色の中から選ぶなら?って選択肢をしぼってくれた。


ありがとう…。すっごく助かる・・・。



しばらく悩んでから、青と黄色をえらんだ。


青は、大好きな海の色だからえらんだんだ。


海は、じぶんの好きなものにつながっていくから。

パパとママ。

貝がら。

それに、けいし。


けいしがふらーっていなくなる時は、海にいる事が多い。

だから、けいしを思い出すと、同時に海も思い出すんだ。


ふだんは蒼くて、おだやか。

時々、すごく荒れるけど、またおだやかなのに戻って。

たいようとか、つきのひかりとかをはんしゃして

キラキラ光ってきれいだから。


だから、青が好きなんだ。


黄色は、見てると心がポカポカしてくる色だから。

だから選んだの。


たんぽぽでしょ、ひよこ。

わたしがお風呂にはいる時につれていくアヒルちゃんも

きいろ。


きいろはポカポカであったかくてやさしい色。


だから、好き。


黄色と青って答えたら、ん、分かったありがとうって

言われた。


何で好きな色訊いたの?って訊いたらね。

まだひみつってはぐらかされた。


たのしみとすきなものは後にとっておけって言うでしょう?って

言って、そうまは軽くウインクした。


・・・ふぬぬー。そうまめっ…。

その軽くウインクがまた似合うんだよね、これが…。


わたしはショートケーキのいちごは先に食べる派だから

分からないって眉間に皺を寄せてへりくつを返した。


そうまは後に取っとく派だからついそう言っちゃうんだって。


机にほおづえをついたそうまがマナちゃん、けいしーのこと

すき?って訊いてきた。


何でいきなりそんなこときくんだろうって思ったけど、

うんってそくとうしたら、そうまはうれしそうにうなづいてた。


・・・分からない。


そうまって分かんないー!

けいしよりは分かりやすそうだけど、やっぱり分かんないー!!


って思ってたらそうまが送るって言ってくれて。

いいのかなーって思いながらも途中まで送ってもらった。


おふろまた入りに行くねー。



そうまと分かれて丘に行ったらおにーさんがいた。

海でニカと会った時にあったおにーさんだった。


・・・まえ会った時よりも元気なかったな。

ニカ元気?って訊きたかったけど、それは訊いちゃ

いけない気がして訊けなかった。


おにーさんから海の匂いがしたから、そのことを言ったら

おにーさんもけいしと同じマグロぎょせんに乗ってたらしい。


おお、すごい!

もしかしたら話したかも!と思って訊いてみたら、会ったらしい。

いいな、いいなー。


知り合い?って訊かれたから、よめって答えたら・・・。


・・・ごっこだって思われた・・・。


「おっきくなったらおとーさんのおよめさんになるの!」って、アレ。


…大人って、大人って…!!


何がいけないのだ。

どこがまずくてそう思われるのだ。


コレでも一応ほうりつじょうは親のしょうだくあれば

けっこんできる歳なのに!


ぜんぜんそういう歳に見てもらえた事がなーい・・・。


ひどいよ、みんなして・・・。

どうせしゃべり方がこどもっぽいよ・・・。(ぶつぶつぶつ)


私もねんれいせいげんクリアしてたら乗るのに。


・・・だって、面白そうなんだもん。


魚つりたーい。


海はどんなかんじだった?って訊いても、おにーさんは

海だったとしかおしえてくれなかった。


・・・大人って、大人って!!


そんな話をしてたら、おにーさんが帰るけど送ろうか?って

言った。


わたしは公園に寄りたいから、いいよ、ってお断りをして、

たったか帰ったの。



公園で、魚焼くにおいがしたの。


どこからだろう?と思ったら、公園の真ん中にある温室の中が

真っ白で、中でさんまが焼かれてたの。


・・・よく見えないけど、けいし?


・・・大事な部分ふまれて、もだえてるのは、見なかったフリを

した方がいいのか悪いのか・・・。


さんまを焼いてたのは、わしづか。

けいしといっしょのマグロぎょせんに乗ってたんだって。


・・・何か、今日はマグロぎょせんかんけいの人にいっぱい

会うな・・・。と思った。


お魚やいてた人にあんたらしりあい?って訊かれたから

うん。おにーさんがふんでる人のよめ。信じる信じないは

おにーさんに任せるって答えておいた。


よめぇ?こんなちっこい子かどわかしといて、ふえいせいは

どういうことだ。金やるから風呂入れってわしづかが言った。


うんうん。この人ぜったいいい人だ。

もっと言ってやって。

・・・いや、あの、ふんでる足は、はやくどかしてね?


某日かせんじきのあきら、けいしバージョンは見たくないから。


けいしは風呂はやだーって涙目にふくれっつらでよこに

かおをふったけど。


わたしがかわいくないからね。って一刀両断したら。


くわっとかわいくかおをしかめて、お前は女の子だけど

さんまとあかぎし先生の方がかわいいからな。って言った。


そうまがかわいいのは認める。(ぇ)

そこは認めるけども。


何でわたしがさんまに負けなきゃいけんのさ・・・。


思わずテ○ホンショッ○ングばりのやる気のなさで

そうですねーって返事しちゃったよ。


・・・さんま以下か。わたし。


今度わたしのことをかわいいってだれかがねごとねごと言ったら

けいしがさんまとそうまよりもかわいくないって言ったから

信じない、ということにしよう、と固く心にちかってみた。


しかし・・・・・・・さんま以下か・・・・・・。


そんなのがそばにいて、けいしはうれしいんだろうか。

それだけがちょっとだけ、気になった。


ま、いいや・・・。どうせさんま以下です。

はい。それでけっこう。



そんなこんなで魚が焼けて、わしづかとけいしと

わたしで食べた。


片面まっくろにこげたけど、おいしかった。

しんせんだからだね、きっと。


さんまを食べてたら、わしづかもけいしがひろって

かぞくになったことになってた。


・・・うれしいけど、いいのかな?

わしづかは、こんど遊びに来るって言ってた。


その前に風呂連れて行こう、って言ってたら、けいしは

お風呂がいやで、泣きながらどこかに逃げてった。


わしづかはまだこの街に慣れてないのに、けいしを

つかまえようとして追いかけていった。


・・・しちりんとか、もってかなくていいのかな。

もったいない。


明日までになくなってるよ?きっと。


けいしがどこ行ったか分からないから、家に帰った。

家に帰ってから、わしづかに私たちの家がどこにあるか

伝えるのを忘れた事に気がついた。


・・・ま、いいや。

今度まちで会った時に伝えれば。


テントの方であめをなめながら、おせっかいセンサーの

けいこくおんを無視してたら、けいしがスライディングして

テントにつっこんできた。


・・・あぶないってば・・・。


新聞紙につっこんで、そのまま寝そうになってたから、

寝るなら小屋にいきなよーって声をかけたら、おおあくびをして

けいしが起きた。


ビックリした。てっきりそのまま寝ると思ったから。


お前口開けて、べぇーって舌出してみいって言われたから。


お前じゃなくて、マナって名前だってば。って思いつつ言われた

通りに舌を出したの。


そしたら、けいしは舌をつまんで、舌のうらがわをみようとしたの。


何でそうしたのか分からなくて、そのままでいたら。

ふむふむ、ふんふん、なるほどってなっとくしたみたいに言って

ゆびをはなして。

はい、終わりって言ったの。


ねるなーって言ってそのままテントから出て小屋に行っちゃったから

ついていって、何かくにんしたの?って訊いたの。


そしたら、ねこと女の子の舌の裏には当たりかハズレが書いてあって

くじになってるんだって。


当たりが出たら、ガリガ○くんがもう1本もらえるって言って。

けいしは笑った。


うそだと思ったけど、何て書いてあったの?って訊いたら。


けいしはニシャッてかおをゆがめて笑って。

教えへんわボケェッ!!って言って丸くなっちゃった。


・・・大人って、大人って!!


けいしはすぐにねちゃって。あまいってねごと言ってた。

・・・どんな夢見てるだろ・・・。


やっぱり、けいしのことがいちばんわかんない・・・。って

思いながら横向きで寝てたら、けいしがかおをぽすって

うでのつけねの辺りにうめてきた。


だから、ぎゅって抱きしめて、わたしもねることにしたの。


けいしぎゅってしてねると、落ち着くんだ。

すごく良く眠れるの。


けいしも気持ち良さそうで、うれしくなって。

しあわせだなーっておもいながらねたの。


こんど、だれかまともな大人に会ったら一応訊いてみよう。


女の子と猫の舌のうらには、くじがあるのか。

当たったら、ガリ○リくんが1本もらえるのか。


わたしの舌のうらには、当たりかハズレと

書いてあるのかどうか、を。