16 藤田誠之進から大久保要あて書簡 | 水戸は天下の魁

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幕末から明治維新へと大変な嵐が吹き荒れた水戸に生きた人々について、資料を少しずつ整理していきたいと思います。

 この書簡は、丁寧な筆跡で書かれている。自分の名前も藤田誠之進、宛名に大久保要様と書き、上等な用紙を用いている。大久保要(17981859)は土浦藩士で藩主土屋寅直(ともなお)の片腕として藩政改革で活躍し、水戸藩の諸士とも交際を持っていた。目付役、町奉行、藩校郁文館の館頭をつとめ、安政五年水戸藩への密勅降下(戊午(ぼご)の密勅)運動に参画し禁固となった尊攘派志士である。東湖は1806生まれであるから、八歳年上になる。東湖にとって、強い信頼関係を築いていた人物であった。

 書簡の書き出しは、「御細書拝見旧冬・・・と時候の挨拶に始まり、・・早々乱筆如此」と結んでいる。最後に分几下と相手に対する敬意を表す脇付も添えている。内容について、これからしっかり解読したい書簡である。





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