文中:宏(旦那)

    麗子(後の浮気相手)

    アズサ(私)




警察の話はこうでした。




『お宅のご主人が、信号無視をして横断歩道を渡っていたら、


通った車から『危ないやないか!!』と怒鳴られた。



すると、お宅のご主人が『やるんかコラ!!』と言い喧嘩になった。


しかし、お宅のご主人は刃物を持っていた。


それで、相手を切りつけようとして


相手にボコボコにされました。』



という事でした。






『申し訳ありませんでした・・・・』



そう謝りながら泣けてきました。



今朝、何かに使うからとカッター(大きめ)をカバンに入れてたな。


と思い出しながら、


その時止めればよかった。


とか、明らかに検討違いの後悔をし、


眠りについている子供を抱き、


タクシーで警察に向かいました。



明け方の警察は、都会から少し外れた住宅街ということもあり、


ひっそりとしていました。



まるでドラマのワンシーンのよう・・・


何故だか、思考が変な方向に動いています。



どんな顔をして宏と会おう・・・


と色々考えているうちに警察署に到着しました。



部屋に通されて数分後、


担当してくれた警察の方が部屋に入ってきます。



『可愛いお子さんですね。


可愛そうに』


と言われ、一気に現実に引き戻されます。



ケンカの内容を説明してもらいながら、


やっぱり泣けてきました。



しかし、もう帰れるのかと思っていたら、


警察の方が、


『御宅のご主人が、まだ叫んでいるんですよ。


お酒も相当飲んでいるようです。』



『『俺は障害者だから、悪くない!!』


と叫んでいるんですが、本当ですか?』



と聞かれ、



『うつ病なのですが、障害者認定はされていませんし、


ごく普通に生活しております』


と、泣きながら返しました。



何度も宏が分からなくなりましたが、


ここまで宏に対して、


軽蔑の気持ちを持った事がなかったと思います。




宏は、明らかにウツ病を言い訳に、


自分の弱さに溺れています。



そう書けば綺麗ですが、


犯罪を犯しても、平気で悪びれる様子もなく、


警察署に響き渡る程、自分の非を認めず


相手を批判するばかりの宏。



自分は弱いと嘆き、酒に薬に溺れ、


人は平気で傷つける。



自分の非は認めないのに、


他者の非は、とことん追い詰め追求する。



怒りと悲しみと諦め・・・たくさんの感情が湧いてきました。



それから数十分後、宏は私の元にやってきます。



体は傷だらけ、顔は血にまみれ大きく腫れていました。