漢字の構成

 

六書(りくしょ)

漢字の構成法および使用法は六種ある。すなわち象形・指示・会意・形声・転注・仮借でこれらを古来六書とよんでいる。そのうち前四者は漢字の構成法であり、後二者は使用法である。

 

(1)象形(しょうけい)

「形に象(かたどる)」ことである。文字の基本である。例えば日・月・山・川などから鳥・馬・鹿など動物を表す文字は多く象形で作られる。

(2)指示(しじ)

形のない事柄を符号によって示すのである。一・二・三は符号の数によってそれぞれ「ひとつ」「ふたつ」の意味を示したものであり、木のいろいろな位置に一を書いて木や末を示す。夕という文字も月の一画を省いて月が出てしまわない意とする。夢や夜の「夕」がそれで、夜の意がある。

以上の象形と指示とは、文字を作る基本的な方法である。次の会意と形声とは既成文字を組み合わせて新しい文字を作る方法である。

(3)会意(かいい)

既成文字を二つ以上組み合わせて新たな意味を示すのである。その組み合わせには同字を用いる場合と異字を用いる場合とがある。炎・林・森・轟などは同字の組み合わせで、それぞれ火の燃えあがっている意や木のむらがり立っている処などを示し、あるいは、群車の声を表したものである。東は「日」と「木」を組み合わせて、日の出る方向を示し、休・鳴・古・解なども異字の組み合せでそれぞれの意味を表している。榊(さかき)峠(とうげ)颪(おろし)などのいわゆる和字の多くは、この会意の方法にならって作られたもので、普通「音」はないが「働」(はたらく)は、「ドウ」のように、まれに音を有する字もある。

(4)形声(けいせい)

既成の文字から、一字は音を表わすためにとり、一字は意味を示すためにとって組み合せたものである。たとえば「可」という音の語はイ、「河」をも意味しロ、「斧の柄」をも意味しハ、大きな船をも意味したので、これらを区別するために、イ、は音を表す「可」意味を表す「シ」(水)を添えて「河」の字としロ、は木でできているから「木可」の字としハ、は「舟」を添えて、「舟可」としたようである。

現在、上記のロ、ハの漢字はパソコンでは表記できません。

桐・銅・洞・胴なども同様にして作られたもので、これらの音は皆「同」であるが意味は木・金・シ・月などの部分によって区別されているのである。漢字はこの方法によって作られたものが多く大部分を占めている。

以上の四つの方法によってすべての漢字は成立する。しかしそのようにして成立し定まった意味を有する文字にも限りがあり、そこでさらに既成の文字を必要に応じて利用する方法が起こった。転注(てんちゅう)・仮借(かしゃく)の二法である。

 

二法は次回に記します。