トワイライトラーニングは洗脳のテクニックであり、必ずしも電波操作が必要なわけではない。普通に対象者に話しかけるだけでも可能であるが、電波操作を利用すれば、工作はほぼ露見しない。

 

 長期記憶には直接アクセスできないと言われている。電波操作においても長期記憶を直接的に読み取ることは出来ず、違う方法で記憶を抜き出さなければならない。一方で、REM睡眠時には長期記憶へ直接的にアクセスするウィンドウが開くと言われている。つまり、通常時では、ある記憶が直接的に長期記憶になることはないが、REM睡眠中の人物に話しかけると、その内容が長期記憶に残されることがある。トワイライトラーニングはこの脳のプロセスを利用する。

 

 僕はずっとこの工作を受けており、今でも経験したことのない記憶が存在する。つまり、それは本来的には記憶ではないものの、記憶の一種として残されている。

 

 スパイがあからさまに工作をするようになった後も一年以上は電波操作の存在を知らなかった。ただ、ある時期から朝の時間に外からの声を聞いているような気がしていた。それは夢のようにも感じていたが、それだけでなく、全く経験したこともない出来事の記憶が作られていた。

 

 その後、電波操作の技術を理解し、声が電波で届けられることを知った。その時に、朝に聞いていたのは外の声であるという確信が持てた。また、それからかなり経ってからトワイライトラーニングというテクニックがあることを知った。それは脳波に関する本の中で記載されており、その瞬間に、僕がその洗脳を受けていたことを知った。

 

 そのような状況にありながらも、結果として、彼らの洗脳からは何とか逃れている。トワイライトラーニングに対処する方法があり、朝に工作を受けてすぐに何が起きたかを振り返れば良い。朝の時点では夢というよりも、昔の出来事を振り返っているように感じているが、起きた時点でそれが記憶でないことを再確認する。

 

 このように外部から作られた記憶は実際の経験と違って話の前後関係がおかしくなっている。あるいは因果関係が全くおかしく、ゆっくり考えれば自分自身が経験できない記憶になっている。それさえ確認できれば、それが記憶でないとしてマーキングできる。しかし、その直前の寝ている間には自分自身がコントロールできないため、瞬間的には洗脳に嵌まっている。

 

 トワイライトラーニングを電波操作で実行する際、工作員はおそらくはっきりと分かる声で洗脳しているはずである。と言うのも、その方が意味がはっきり伝わるからである。内なる声のようなものだと、はっきりと意味が送れない場合があり、それだと洗脳が完全に上手く行かないかも知れない。それに加え、睡眠中であるために声を届けられても、それが本質的に外部の物だと疑う余地もない。

 

 この技術がどのような効果を持ち、どうやって対処するかを知っていれば、工作に落ちることはないが、全く知らなければ我々は簡単に操作される。特に、電波操作によるトワイライトラーニングはほぼ露見しようがないため、特殊な洗脳方法であると言える。