話は一つ前に戻るのですが、日銀の今回の緊急対策はもっと評価されても良いと感じています。問題は、ここからの出口戦略をどうするかということになります。まだ追加的緩和の可能性が残っている中で、出口戦略の話をするのは早いかもしれませんが、避けて通れない道になるので考えておく必要はあるんだと思います。


インフレの話を一ヶ月ほど前に書いたときに、日本の物価は世界の一次資源価格トレンドに時期的に遅れて影響を受けるという話を書きました。短期的には、日本の物価というのはミクロの問題であって、マクロの需給の影響で考えるものではないし、一般的にもそういう風には捉えられていません。極めてミクロの積み上げで認識されています。


問題はその先なんですが、一ヶ月前に同時に、資源価格は上がり続けているわけではないと言う話を書きました。実際のところ、今のところは弱含んでいます。今後どう動くかは分かりませんが、ここからの動向というのは夏以降の物価動向に影響を与えます。


対前年同期比という意味では、プラス傾向が続くものと思われますが、物価の上昇基調とは違うものの可能性もあります。その先をどう考えるのかというのはミクロ要因の積み上げというよりは、よりマクロ的な視点で一般的には考えられていると思います。


その先の話が重要になってくるのは、日銀の金融政策は将来の物価予想に依存しているからです。日銀の予想が必ずしも高いとは思いませんが、ここから一年後に2%に近いインフレ率があるとも思いにくいです。


結局、そうなってくると、夏ごろのインフレ動向が次の金融政策に影響を与えることになるような気がします。そこから先にインフレ動向次第では、どこかの段階で本当に出口戦略を考える必要が出てきます。ただ金融秩序の維持は依然として求められている状況だと思いますが、景気に過熱感が出てきたときに今の金融緩和を続けられるとも思いません。


ただ一方で早すぎる金融引き締めは求められていないだろうし、そもそも物価目標に対して日銀の0-2%が妥当だと思っている人は少数だと思うので、その点は真剣に議論する必要があると思います。


日銀の今回の評価と言うのは、この出口戦略をうまく出来るかというところに懸かっているのかもしれないですね。