カナリア [DVD]/石田法嗣,谷村美月,西島秀俊
¥3,990
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 地下鉄サリン事件から数年。オウム真理教をモチーフとした映画。

 とあるカルト宗教が殺戮事件を起こし、宗教組織は壊滅。幹部数名は行方不明で指名手配中。この映画の主事項はその指名手配中の女性の息子。事件後施設に保護されていた彼は、祖父に引き取られた妹を「取り戻し」、母を見つけるために施設を飛び出す。

 映画は大部分は主人公の少年と道中で出会った少女二人のロードムービー。その途中途中に「いかにもうさんくさいカルト宗教」内で、宗教になじみ切れない少年の日々が挟み込まれている。

 宗教組織で生活する彼は、母妹自分の家族三人で苦しくもともに生活していた現実社会に戻りたく思っており、

 事件後現実に戻された彼は、たとえ狂った世界の中でも母がいた宗教団体に縋っている。

 事件前はいつもいやいや、しぶしぶ口にしていた呪文のような言葉を、事件後は何かあるたびに口ずさむ。もはやこれしか、自分と母をつなげるものがないことを自ら証明してしまっているように。


 少年と少女の旅の途中、「レズビアンで不完全だが、母親になろうとしている女性」と「かつて宗教に執着し今はそこから逃げ出した、けれど父親のように優しく接してくれる男性」に出会う。

 彼らとの出会いは確実に少年の心を解きほぐしていく。

 不完全でも、ちゃんとした「親」になれなくても、ただ一緒にいてくれるだけでそれでいい――ここまでこの映画を見ていた私は、あくまでこれは「家族」の物語だと思っていた。自分の不完全な部分を宗教に依存するのでなく、不完全なりに接していけばよかった。そのような母の弱さを、主人公は受け入れていくのだと思った。


 けれど終盤、突然の母親の自殺によって全てが一転する。


 ネタバレになるので詳細は言わないが、ラストの主人公のセリフにはぞっとした。

「俺は、お前を許す」

 主人公と妹ひきはがした張本人である祖父。殺したいほどに憎んでいた彼に、少年は一言そうつぶやいた。

 あまりにも淡々と、感情のない声で。


 本当なら、もっともっと悔しそうに、それでもかろうじて口に出きる言葉なのではないだろうか。

 主人公が来る前に少女が祖父に投げつけた数々の憎しみに満ちた叫びが、あまりにも人間味にあふれているため対比が印象的。

 そして何よりも目が行ったのは、母の死の衝撃で真っ白になってしまった少年の髪。そこまでしなくとも…と私は思ってしまった。


 中盤まで続いていた少年の成長の物語は、最後宗教の絶望の物語へと幕を変える。一見ハッピーエンドととれなくもない映画の終わり方は、どうしても絶望の道筋にしか見えなかった。









うまくまとまらない…(/TДT)/

あらすじまみれになっちゃうなぁ。あと無駄に長い。

また書き直そう…。