新しい男。あたらしいおとこ、アタラシイオトコ…。
「新しい男」とはなんだろうか。わからないが、とてもいい響きのする言葉だと思う。
「昔の男」だと、なんだか箪笥の奥で肥やしになってしまった、
かび臭い洋服のような臭いがする。
「次の男」では、どうもぱっとしない。つまらない。
やっぱり、「新しい男」という言葉がいい。
具体的に想像できない、その得体の知れない感じがいい。

「新しい女」だと、逆に、ものすごく陳腐に聞こえてしまう。
女はすぐに新しくなる。すぐ生まれ変わる。

「前髪を少し短くしただけで生まれ変われちゃう そんな考え方が好きよ」
と小松未歩は歌う。
眼鏡からコンタクト変えただけで、「新しい私、デビュー」である。
今までと雰囲気の異なる服を着たり、ちょっと見た目を変えるだけで、女は生まれ変わる。

恋愛に関しても、女は「上書き保存」だと言われている。
次の彼氏が出来ると、前の彼氏の記憶は黒く塗りつぶされ、消えてしまう。
そして、自分も新しい女となる。
「夜中にしぼんだ恋心 目覚めた頃には咲いている(うろおぼえ)」
と、最近のLUMINEのポスターが言っていた。

「女が生まれ変わる」「女が見違える」など、
「新しさ」と「女」という言葉を結びつけることは、新しくもなんとも無いのだ。


対して、男はそう簡単には生まれ変わらせてはもらえない。
前髪を切っただけで生まれ変わった気分になる男はいないだろう。
外見ををよほど変えれば生まれ変わった気分にもなるのかもしれないが、
女子ほどのお手軽さはおそらく無い。
コンタクトに変えただけで「新しい俺、デビュー」とか言ってたらCMでも正直イタい。
恋愛でも、男は「名前をつけて保存」と言われる。
前の彼女のフォルダ(思い出)を残したまま、次の彼女と付き合うらしい。
全く新しくない。

「新しい男(女)」が必ずしも個人が生まれ変わる(或いはそのような気分になる)ことではない。
だが、そのように考えたとき、男が「新しい男」になる、つまり男が生まれ変わるのは一体どんなときなのだろうと考える。
でも私は女だし、やっぱりわからない。
わからないからこそ、なんだか気になってしまう言葉である。