意外に知らない「モバイルプリンタ」 | マルチニーズシステムのブログ

マルチニーズシステムのブログ

ソフトウェア開発、ホームページ制作、iPhone修理、小物雑貨販売のマルチーズシステムのブログです。
TEL:050-3692-8348
http://www.multeeds.com

ITmedia PC USER



 ビジネス向けのプリンタには、オフィスで使用する据え置きタイプのほかにもう1つ、単体で持ち歩くことを前提としたモバイルタイプが存在する。

 小型のプリンタというと、家庭用に設計された写真プリントを前提としたモデルが思い浮かぶが、ここで言うモバイルプリンタは一般的な据え置きタイプと同じく、A4サイズの印刷に対応していることが特徴だ。多くの製品は明確にビジネス用途とうたっているわけではないが、カタログなどを見てもビジネスシーンを意識した説明がなされている。

 モバイルプリンタの多くは、据え置きタイプに比べて、印刷速度はお世辞にも高速とは言えず、両面印刷にも対応しない。また給紙トレイにセットできる枚数も少ないので、大量印刷向けでは決してない。強みを発揮できるのはせいぜい数枚、もしくは数部程度のプリントだ。それでも場所にとらわれず、あちこちに持ち歩いて利用できるという強みは、据え置き型のプリンタにはないものだ。最近ではWi-Fiに対応し、スマートフォンやタブレットから直接印刷できる製品も増えている。

 今回は、これらモバイルプリンタについて、前編で用途および選び方のポイントを、後編で具体的な製品例を紹介していく。

●まずは自分の「使い方」をチェックする

 モバイルプリンタはその名の通り、据え置きでの利用ではなく、場所を変えながらの利用を前提に置いた設計がなされている。自社の会議室や取引先の商談スペースはもちろんのこと、ショールームだったり、あるいは外回りの合間に訪れた喫茶店だったりと、さまざまな場所で利用できるわけだ。

 もっとも、個別のシチュエーションにおいて、モバイルプリンタに求められる機能や仕様は大きく異なる。例えば、ショールームや喫茶店などの商用スペース、もしくはまったくの屋外で利用する場合、基本的にコンセントは利用できないことから、バッテリーが使えることが必須条件となる。長時間の利用であれば、その容量もポイントになるだろう。一方、自社の会議室や取引先の商談スペースで利用する場合、大抵はコンセントが利用できると考えられるので、バッテリーの必要性はそれほど高くない。

 このほか、モバイルプリンタは、オフィスで据え置き型プリンタの代替として導入するケースもまれにある。据え置き型のプリンタを設置するとどうしても相応のスペースが求められるが、モバイルプリンタであれば必要なときだけデスクの引き出しやキャビネットの中から取り出して使い、終わったら片付ける、という使い方が可能になる。

 少人数での運用で、かつ日々の印刷枚数が少なく、プリンタを使う日もあれば使わない日もあるのなら、モバイルプリンタはニーズに見合っている。こうした使い方でも、やはりバッテリーの必要性はそれほど高くなく、ACアダプタでの駆動が中心になる。

 また、イベントやフェアの会場、工事現場の仮設事務所など、数週間から数カ月単位で利用するスペースに持ち込んで使う用途にも、モバイルプリンタは適している。外出先に持ち出すという意味ではモバイルだが、常にあちこちを移動しながら利用するのではなく、1カ所に設置して使うという方法だ。

 製品の多くは盗難防止用ホールが設けられているので、ワイヤーを使ってデスクなどの備品に固定しておける。この使い方では、むしろバッテリーはまったく不要で、ACアダプタのみ利用できれば十分だ。

 このように、モバイルプリンタはその可搬性を生かした、さまざまな使い方が存在しており、それぞれで求められる仕様が大きく異なる。上に挙げた電源について言えば、ACアダプタ駆動のみでバッテリーはオプションとなる製品と、ACアダプタとバッテリーの両方に標準対応した製品があり、使い方によって向き不向きがはっきりと分かれる。

 このほか、スマホやタブレットと組み合わせて使うのであればWi-Fi対応は必須だろうし、常にバッグの中に入れて持ち歩くのであれば、何よりボディサイズの小ささや軽さが重要になる。

 それゆえ、製品を選ぶにあたっては、まず自分の使い方を明確にしておいたほうが、後で後悔することも少なくなる。他の製品に比べてこうした傾向が強いのが、モバイルプリンタの特徴と言っていい。

●モバイルプリンタならではの選び方のポイントとは?

 それでは具体的に、製品選びのポイントについて見ていこう。一般的にモバイルプリンタと称されている製品は、感熱タイプのような特殊な製品を除けば、どれも最大サイズはA4、印刷は片面というのが共通の仕様だ。ここではモバイルプリンタならではのチェックポイントを順に見ていくことにしよう。

・ボディのコンパクトさ

 本体を持ち歩くことからも、ボディがコンパクトであることは何よりも重要だ。バッグに収納する場合、その親機となるPCもしくはタブレットなどとまとめて収納することになるため、「フットプリントは小さいが厚みがある」よりは、「フットプリントは広くても薄い」ほうが、バッグ内での収まりがよくなる。

 ただし設計する側から見ると、前者のほうが構造的には作りやすいので、どこで折り合いをつけるかは重要なポイントだ。例えば日本ヒューレット・パッカード(HP)の製品は、ボディサイズが他社より大きめだが、据え置き型と共通のインクカートリッジを採用しているため、入手性が高く、また消耗品を共用できるメリットがある。

 なお前述のように、外出先に持ち歩くのではなく、オフィスで必要なときにだけ引き出しの中から取り出すという使い方や、イベント会場や仮設事務所への設置など、いったん設置したら一定期間は動かさないという使い方であれば、ボディがコンパクトであることの優先順位は必ずしも高くない。

 また、持ち歩くと言っても、クルマに積んで移動するようなケースでは、バッグに収まりやすいサイズを追求しても意味がない。この辺りは使い方も考慮し、優先順位を決めたほうがよいだろう。

・ACアダプタ駆動か、それともバッテリー駆動か

 モバイルプリンタを自社の会議室や取引先の商談スペースで使う場合、大抵はコンセントが最寄りにあるはずなので、ACアダプタで駆動できれば、バッテリーは必ずしも必要ない。据え置きプリンタの代替として使うのならなおさらだ。一方、喫茶店などの商用スペースや屋外で使う場合は、バッテリーは必須で、かつなるべく大容量が求められる。

 こうしたことから、現在市販されているモバイルプリンタは、ACアダプタ駆動でバッテリーはオプションという製品と、ACアダプタおよびバッテリーに両対応した製品の2種類に分かれる。バッテリーが内蔵されている後者のほうがかさばらず便利に思えるが、オプションでバッテリーを後付できる製品はそのぶん容量が大きく長時間駆動に対応していることも多く、一概にどちらが有利とは決めつけられない。ACアダプタのコンパクトさも、チェックすべきポイントになるだろう。

 このほか、エプソン「PX-S05」シリーズのように、スマホやタブレットなどの充電に用いるモバイルバッテリーをそのまま外部電源として使えたり、USB給電に対応する製品もある。標準のバッテリーのみで長時間駆動できるのが理想だが、いざというときにこうした代替手段が用意されているのは、ユーザーから見ても安心だろう。

・インクおよびインクカートリッジ

 モバイルプリンタの印字方式はインクジェットだが、ビジネスユースで利用するのであれば、耐水性に優れ、マーカーなどで線を引いた際もにじみにくい顔料インクの使用が望ましい。逆に写真を印刷する機会が多く、豊かな階調表現を望むのであれば、染料インクを利用した製品のほうが有利だろう。もっとも、染料4色+顔料というハイブリッドな製品もあるので、印字サンプルなども見て判断したいところだ。

 もう1つ注意したいのは、インクカートリッジの容量と入手性についてだ。もともとモバイルプリンタに内蔵されるカートリッジの容量はお世辞にも多いとは言えず、ヘビーな使い方をしていると交換頻度も高くなるが、専用品ゆえインクジェットカートリッジの入手性は必ずしも高くない。つまり外出先でインクカートリッジが切れて量販店に駆け込んでも、取り扱っていない可能性もあるわけだ。

 その点、キヤノン製品のように、黒インクの使用量を抑えられる「ブラックインク節約モード」や、黒インクが切れてもカラーインクで代替できる「ブラック合成モード」を備えていれば、いざというときも印刷ができずに慌てなくて済む。また日本HPの製品のように、据え置き型プリンタと共通のカートリッジを採用していれば、容量が大きいことに加え、オフィスで同じカートリッジに対応するプリンタを使うことで、消耗品を統一できる。ボディサイズが大きいので可搬性の点ではマイナスだが、使い方によっては検討の余地はあるだろう。

・接続方式

 従来はワイヤレスでの接続といえばIrDA(赤外線)、およびBluetoothが一般的だったが、最近の製品はスマホやタブレットからの利用も見越して、Wi-Fi対応が標準となっている。言い換えれば、Wi-Fiに対応しているか否かで、製品の世代を見分けることができる。

 Wi-Fiに対応していれば、ケーブルをつなぐ手間がかからないことに加えて、複数のPCとの同時接続もしくは切り替えも容易なので、部署単位で1台のモバイルプリンタを利用する場合に有利だ。またスマホやタブレットではそもそも有線接続という選択肢がないだけに、今後これらのデバイスがさらに普及することを考えると、よほど利用シチュエーションが限られていなければ、Wi-Fi対応のモデルを選ぶことが望ましい。

 なお製品によっては、外付けのワイヤレスユニットがオプションで用意されている場合もあるほか、市販の無線プリントサーバなどを接続してワイヤレスで印刷する方法もあるが、内蔵タイプに比べて可搬性は低下するほか、組み合わせによっては双方向通信に対応せず、PC側からインク残量などの確認ができない場合があるので注意したい。

・印刷速度

 印刷速度が重要視されるのはどのタイプのプリンタでも同様だが、モバイルプリンタにおいては、客先での商談中や、貸会議室での出力など、時間的に制約がある環境で印刷する機会が多いと考えられる。印刷時間がかかるということはそれだけ相手を待たせることにつながるので、印刷スピードはより重要視されると言っていいだろう。

 もっとも、モバイルプリンタの印刷速度は、カラー印刷だと3~6枚/分という狭い範囲で各製品が競っているのが現状で、製品ごとの差はあるものの、据え置き型のプリンタに比べて決して高速とは言えず、製品選びの決定打にはなりにくい。モノクロ印刷に切り替えてスピードアップするというのも、運用上の工夫としてはありだろう。

・同時セット可能枚数

 据え置き型のプリンタであれば、同時にセットできる枚数は多ければ多いほうが、用紙を継ぎ足す回数が少なくなるので効率的だが、ことモバイルプリンタに関しては、大抵は少部数印刷と考えられるため、優先順位は必ずしも高くない。どの製品も最低20枚程度はセットできるので、間違っても1枚ずつ継ぎ足さなくてはいけないわけではなく、据え置きプリンタの代替として使う場合を除けば、製品選びの決め手にはなりにくいだろう。

・ドライバ内蔵

 モバイルプリンタは、これまで接続したことがないPCと組み合わせて印刷する場合も多い。こうした際にドライバがなく接続できないのは困りものだ。エプソンPX-S05のように、本体内にドライバを内蔵した製品であれば、客先に持ち込んだPCがうまく動かずほかのPCを借用することになっても、ドライバを探す必要もなく、接続するだけでインストールが行える。やや特殊な機能だが、こうした使い方が多ければ、あらかじめこうした製品をチョイスしておくという考え方もあるだろう。