グーグルが「Google Glass」を1日限定で一般販売に踏み切った2つの理由
ただし、開発者向けに1500ドルで提供されていたGoogle Glassの開発コストの問題を懸念する専門家は少なくない(300ドル~400ドルとも言われていた)。にもかかわらず、限定とはいえ「利用者からの要望に応えて」一般販売に踏み切ったのには大きく2つの理由がある。
1つめの理由は、活用事例の収集だ。現在、グーグルでは購入する人には、早期利用テストユーザーとしての「Glass Explorer」となることを求めている(Glass Explorer Program)。その名のとおり、Google Glassを使った体験を「探求」し、キラーアプリの開発などにつなげようとしている。
安全運転を支援する「DriveSafe」などが既に提供されているほか、スポーツでのパフォーマンス分析や、医療現場での活用も既に取り組みが始まっているようだ。
また、筆者が特に期待するのは、製造分野での活用だ。製造ラインの人々に装着させることで、欠品の見逃しなどを防ぐ作業補助のほか、事業員の勤怠管理などにも活用できるとされている。既にZerintia Technologyらの企業が取り組みを進めている。
もう1つの理由は、プライバシー問題だ。既に米国では「Google Glass入店お断り」の店も登場しており、社会的な問題解決が普及のネックだととらえている専門家も少なくない。しかし、実はこれと同様の問題を同社は既にクリアしている。グーグルストリートビューだ。
カメラを搭載したグーグルカーと呼ばれる自動車や自転車を運行して、勝手に世界中の写真を撮りまくったこのサービスは当初、各国でさまざまな波紋を広げた。しかし、顔を自動的にモザイク化する技術などで乗り切っており、今や同サービスは当たり前のように我々に受け入れられるに至っている。
今や日本を含む先進国は既に監視カメラだらけの監視社会。Google Glassも魅力的な体験を伴って一気に広めてしまえば、あとは何とかできるとの皮算用があるのではないだろうか。
また、グーグルは腕時計型にも手を打っている。それが3月に発表されたスマートウォッチ向けOS「Android Wear」だ。モトローラほか、メーカー各社が同OSを使った端末の開発を発表している。
3月18日に開発者向けプレビュー版を公開したが、この中では音声応答やヘルスケア、マルチスクリーンなどの機能をうたっている。
本製品にはもう1つの狙いがある。先述したサムスンのGALAXY GearはAndroidベースだったが、同社がMobile World Congress 2014に合わせて発表した新スマートウォッチ「Gear2」と「Gear2 Neo」は、新しいOS「Tizen」がベースとなった。そのため、「Android Wear」には、Android最大のスマホメーカーが、Androidエコシステムから脱却しようとする動きを牽制する狙いもあるようだ。
最後に、フェイスブックも直近でウェアラブルデバイス市場に乗り込んできたので言及しておきたい。フェイスブックは3月末に、20億ドルで米国のベンチャー企業「Oculus VR」を買収した。ゴーグル型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)製品を提供する企業で、その圧倒的な「体験」は買収前から大きな話題を呼んでいた。
Google Glassが視界の一部に情報を追加する「拡張現実(=AR)」の製品であるのに対して、Oculus VRは完全に視界を覆って画面内の映像を見る「仮想現実(=VR)」の製品だ。
また、HMD製品自体はこれまでソニーなどが手がけていたが、これらの製品と根本的に違うのは、3軸対応のモーションセンサーを採用することで、顔を向けた方向に合わせて画面も動く仕組みを採用している点にある。
ウェアラブルデバイス市場は、開発しているビッグプレイヤーたちでさえ手探りの状態だが、それゆえにスピード感もあり、利用者の期待感も高まっている。2014年はアップル、グーグルともに大きな動きを予想する声も多く、今後ますます目を離せない展開になりそうだ。