LTEの高速データ通信ネットワーク上で音声通話を実現する技術「VoLTE」の実用化が近づいている。先月末、ソフトバンクモバイルは、「音声定額」と「パケット定額」をパックにしたスマホ向けプランを発表しているが、これもVoLTE時代を見据えてのものだ。
こうした動きを背景に、いま改めて、「音声通話定額」に注目が集まっている。具体的に、現在「音声通話定額」を提供しているのは、イー・アクセス、ウィルコムの2社、4月から提供予定がソフトバンクモバイルとなる(法人向けおよび家族向けの定額通話制は除く)。今後VoLTEが一般的になれば、ドコモ、KDDIが参入してくる可能性も高いが、ここでは、イー・アクセス、ウィルコム、ソフトバンクモバイルの3社について、その内容を比較してみたい(50音順)。とくに、自社ユーザー同士は無料となることが多い「音声通話定額」だが、“他社ユーザーに電話をかけたとき”の料金についても確認する。
■各社のサービスをおさらい
イー・アクセスが提供するのは、「だれとでも定額 for EM(旧通話定額オプション)」だ。このサービスは、月額オプション使用料1,334円(消費税抜き、以下同じ)で、イー・モバイルの携帯電話への通話およびSMS送信が無料となるものだ。他社携帯電話・PHS・固定電話(IP電話含む)への1回あたり10分以内の国内通話が月300回まで無料となる。301回目以降は18円/30秒、10分超過部分のみ18円/30秒というプランだ。さらに、4Gスマホに対応した「だれとでも定額 for EM-S」が2月27日より提供される。こちらは、月額オプション使用料1,334円で、 EMOBILE 4G-S以外のイー・モバイル携帯電話、他社携帯電話、PHS、固定電話への10分以内の国内通話が月300回まで無料となる。
次にウィルコムが提供するのは、音声通話定額の代名詞とも言える「だれとでも定額」。月額オプション使用料934円で、ウィルコム同士では24時間無料。他社ケータイ、家・会社の電話へ、1回あたり10分以内の国内通話が無料になる。月500回を超過した場合は、10分以内の通話の場合でも、利用料金プランに応じた通話料が別途かかる。また1回あたり10分を超える通話についても同様だ。新ウィルコム定額プランSの場合で、20円/30秒が目安となる。
そしてソフトバンクモバイルが4月から提供予定となるのが、Sパック(月額5,980円)、Mパック(月額6,980円)、Lパック(月額9,980円)の3プラン。国内音声通話が、Sパックなら月50回(1回3分以内)、MパックとLパックなら月1,000回(1回5分以内)まで利用できるというものだ。超過分の料金は30円/30秒と、やや割高になっている。
なおこれ以外の特殊なサービスとして、ソフトバンクグループ相互による「ソフトバンク/イー・モバイル通話定額」(月額500円、だれとでも定額に加入の場合267円)、「ウィルコム/イー・モバイル通話定額」(月額200円)、「ソフトバンク/ウィルコム通話定額」(月額200円)が存在する。
参考までに、ソフトバンクが現在提供している、「ホワイトプラン」は、月額934円のプランで、ディズニー・モバイルまたはソフトバンク回線への通話が午前1時から午後9時までの間は無料で、それ以外の通話は30秒20円で課金される。また、無料の「ホワイト家族24サービス」により、同一家族割引サービス対象回線への通話は24時間無料となる。これに月477円の「24時間通話定額オプション」を付け加えれば、ソフトバンク携帯電話への国内通話料は24時間無料となる。他社への通話は、つねに有料だ。
■バランスの良さでウィルコム、スマホ限定ならイー・アクセスも
これら各社のサービスを比較すると、まず「無料通話できる時間」は、ウィルコムとイー・アクセスが10分と長め。ソフトバンクモバイルの新サービスでの3分・5分は、やや短い印象を受ける。実際、同社社長の孫氏は「5分を超えそうだと思ったら、かけなおせばいい」とも発言している。たしかにかけ直しで無料時間はリセットされるが、ビジネスシーンなどでは難しい使い方だろう。
一方で「無料通話できる回数」は、ソフトバンクモバイルは上限月1000回と、かなり多めだ。ウィルコムは月500回とその半分だが、1日あたり約17回となり、必要十分と思われる。イー・アクセスの300回は、ビジネスユーザー、あるいは家族とひんぱんに会話するというユーザーだとやや微妙だ。
そして「月額使用料」でみると、1,334円のイー・アクセス、934円のウィルコムのお得感が強く、パケット定額のソフトバンクモバイルの新プランは、ちょっとすぐには手を出しにくい印象だ。ただし、ソフトバンクモバイルは、今回の3社のなかで、唯一「iPhone」のキャリアでもある。この点はかなりの強みだろう。
こうして見ると、『音声メインのスマホ』を求める人で、通話を安く済ませたいと言う場合、イー・アクセスが適している。ただしスマホ限定のプランでしかないのがネックだ。自社間通話の「通話定額オプション」(3G用)なら24時間通話無料だが、「だれとでも定額 for EM-S」(4G用)では対象外。月額基本料金内で1~21時の通話無料となっている。
一方ウィルコムは、ガラケー・スマホの両方に対応。無料通話時間10分、500回/月、料金934円、ガラケー・スマホなどの6料金プランに適合でき、ガラケーでも、スマホでも使えるという点で、残る2社を上回っている印象だ。時間・回数のバランスもよいといえる。ただし、スマホのラインナップが限られているのが、人を選ぶかもしれない。