グーグルはなぜモトローラを売ったのか | マルチニーズシステムのブログ

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グーグルは1月29日、モトローラ・モビリティを29.1億ドルで中国パソコン大手のレノボに売却すると発表した。2012年に125億ドルで買収したのと比べると売却価格が安く感じられるが、レノボに譲るのは多機能携帯電話のMoto Xや廉価版の Moto Gなどの製品部門と一部の特許。グーグルは主な特許を保有し続ける。また2月6日には、レノボへのモトローラ売却が完了した後、グーグルはレノボ株6億1830万株を1株1.213ドルで取得する。これによりグーグルはレノボの発行株式数の5.94%を保有する大株主になる。

 両社の意図とはどのようなものだろうか。

 レノボの意図は米国市場への本格的な進出だろう。レノボは中国国内では大手スマートフォンメーカーとして知られる。しかし、国外で苦戦している。米国市場3位のアンドロイドメーカーであるモトローラのブランドを手に入れることで、米国市場で有利になる。

■ レノボの世界展開加速

 「モトローラはモバイル製品では世界で定評のあるブランド。そこにレノボの強力な製造能力と、世界的な流通ネットワークとが一緒になれば、世界のモバイル市場の販売競争で確固としたものになる」と、モバイルアプリケーションをテストするソアスタ社長でモバイル市場に詳しいトム・ローニボスはいう。

 モトローラは現在 、中南米市場でも3位を占める実績がある。レノボが2005年にIBMからThinkPadを買収し、成功したように、今回の売却が決まれば、レノボはスマートフォンやタブレット市場でも成功への道のりは遠くない。


 グーグルのラリー・ペイジCEOは「モバイル市場は過当競争であり、モバイル関連のデバイス製造には、全て揃っていることが肝心 」と、19カ月間という短い期間でモトローラを手放した胸の内を説明している。今回のグーグルの決断に対し、シリコンバレーのアナリストたちは肯定的だ。

 「市場調査では、中国のベンダーがスマートフォンとタブレット市場のシェアを増加させていくと予測されている。彼らは豊富な資金を持っており、世界で苦戦中の事業を次々に買収していくのは当然の流れだ」--こう語るのは、ドリームスケープ・グローバル、プリンシパル・アナリストのシェリダン・タツノ氏。一方、グーグルは引き続きレノボから特許使用料を受け取るだけでなく、「アンドロイドを世界中に広めることができる。その上、レノボがサムスンに対抗する勢力となれば、アンドロイド上の利益を最大化できる」と、前述のタツノ氏は語る。

 コンステレーション・リサーチで代表アナリストを務めるレイ・ウォン氏は「グーグルは中国の検索市場ではわずか2%未満 に過ぎない。そこで、グーグルはレノボを介して、モバイル上の検索で中国進出が可能になる」という。同時に「今後ともグーグルがモトローラの主な特許を持ち続けることの意義は大きい」。

 マイド・メディアの主席アナリスト、フィル・キー氏はグーグルのモバイル部門のトップ、アンディ・ルービン氏が「グーグルは他のアンドロイドのOEMパートナーとは競合しない」と明言した点を重視する。「グーグルはモトローラ売却で毎年の営業損失を減らせるだけでなく、アンドロイド端末メーカーとの緊張関係が緩和するだろう」。グーグルがハード製造に走らないという決意表明になるため、サムスン電子、LGエレクトロニクス、ソニーなどのOEMパートナーが安心してアンドロイドを使い続ける、というわけだ。

■ Tizenは苦しくなる? 

 今回の売却に絡んで、「レノボからNexusシリーズが発売される」という噂が流れている。Nexusはグーグルが選んだハードメーカーと組んで発売するアンドロイドを搭載したスマートフォンやタブレット端末。これまで台湾のHTC、ASUS社、サムスン電子がパートナーに選ばれているが、次はレノボというわけだ。

 また、モトローラ売却でアンドロイドに替わるOSともいわれきた「Tizenを強力に後押ししていたサムスンが、Tizenから手を引く可能性」(フィル・キー氏)が高くなるという。競争の激しいモバイル事業の世界市場攻略戦は、今回の売却で、また新たな展開を見せ始めている。