読売新聞 1月6日(月)9時4分配信
米アップルのiPhone(アイフォーン)をはじめとする海外勢に押され気味の日本勢のスマートフォンだが、独自の技術をいかして海外で人気を集める機種もある。
富士通と京セラ製のスマホで、音声を聞き取りやすくするなど基本性能を高めたことで、高齢者や建設現場の潜在需要を掘り起こした。
◆高齢者
富士通は、2013年6月からフランスの通信大手「オレンジ」を通じて高齢者向けのスマホの販売を始めた。当初はパリ近郊など、高齢者が多く住む地域の90店舗に限って販売したが、利用者の反応が良かったため、13年10月からはフランス全土の250店舗に拡大した。
フランスで売られているスマホは、12年8月から日本で販売している「らくらくスマートフォン」がベースだ。画面の操作ボタンを大きめにしたほか、話し相手の声の速度を自動的に落として聞き取りやすくする機能を設けた。加齢と共に徐々に聞こえにくくなる高音域が、聞こえやすいように調節できる機能も好評という。
購入後3か月間は無料の電話相談に応じるサービスも、機械の操作が苦手な人が多い高齢者に喜ばれているという。富士通は01年から高齢者向け携帯電話を販売しており、10年以上にわたって培ったノウハウをいかした。
富士通の山本正已社長は、「口コミで徐々に人気が広がっており、2~3の通信会社から自分たちも取り扱いたいとの話が来ている。次は欧州全土、さらに世界全土に広げていきたい」と意気込む。
◆建設現場
京セラが米国で販売しているスマホは、音声の聞こえやすさが売りだ。
13年夏から投入しているスマホは、独自のセラミック技術を応用して、画面全体を振動させる機能を搭載した。受話口は設けず、音と振動で画面のどこに耳を当てても聞き取れるようにした。駅など雑踏での通話のしやすさが人気だという。
これに加えて耐衝撃性や防水機能を備えた機種もあり、騒音が大きい建設現場などで多く利用されている。京セラの13年1~6月の北米でのシェア(市場占有率)は、韓国のサムスン電子、アップル、LGに次いで4位だ。
アップルやサムスンに押され、日本の携帯電話メーカーのスマホ事業からの撤退が相次いでいるが、富士通や京セラは、独自の技術で現地の需要を掘り起こしたことで、一定の存在感を示している。「今後も現地の意見を吸い上げて製品を改良していく」(京セラ)ことができるかどうかが、日本勢がシェアを高めるためのカギとなりそうだ。(森田将孝)