不動産投資編 第6回 「安心老後」への道~ゴール設定 | 「不動産リテラシーの向上で老後の安心生活を」シリーズ投稿始めます

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中小企業診断士 桑岡伸治のブログです。このたび、「老後の安心生活」実現を目的に、不動産に関する様々な情報を提供するシリーズ投稿をはじめます。
はじめにプロローグをお読み下さい。
ひとりでも多くの方が、Happyになりますように!

 サラリーマンが始める不動産投資には、失敗例も少なくない。不動産会社のセミナーにも参加し、「金持ち父さん貧乏父さん」も読んで(笑)勉強したのになぜこんなことになってしまったのか‥。

 

 物件取得の判断や資金調達の方法、あるいは取得後の運用方法等、一連のプロセスのどこかに、ひとつまたはそれ以上の原因が隠れているものと考えるが、その前に「そもそも投資のゴール設定に無理があったのではないか」という問いを投げかけてみたい。

 ほんの数分でよい、「不動産投資」というワードでネット検索してみれば、多くの成功者のサイトや出版物、YouTube動画等がヒットする。「年収200万円のサラリーマンが今や家賃ウン億円の大家に」とか「ワンルームからはじめて10棟のマンションオーナーになった極意を教えます!」とか、うらやましすぎる(笑)。

 

 それらに目がくらんだとは言わないが、「欲張りすぎて、あるいは夢を見すぎて、高難度のゴールを設定したために、ハイリスク投資となり破綻につながる」ことは十分に考えられる。事実、成功者の陰で、全財産を失って後悔している人たちが大勢いる。  特に、やみくもに借金をして投資物件の取得を急拡大することは、かなりハイリスクだと言える。

 

 結論から言うと、私は、不動産投資の初心者が、まず目指すべきゴールは「老後の安定生活」におくのがよいと考える。例えば、何らかの理由で、働くことができない状況が生じたとして、「不動産からの賃料収入で生活することができる状態」を実現するということだ。

 

 私が提案するゴールは、年金生活者となった時点において「真水で年500万円」の手取り収入を実現することだ。月額にして40万円強。もちろん持ち家かどうか、生活コストが異なる都会か、田舎かといったことでその目標額は増減すると思うが、いずれにしても「贅沢しなければ家賃収入だけで生きていける」水準ということでよいと思う。それを、「働きながら10年以上の時間をかけて実現すること」を目指すのだ。

 

 子育て世代は住宅ローンを抱えていることも多い。しかし、「60歳位まで」にということであれば無理なく実現可能だ。40歳でスタートするなら20年かけてもよいということだ。なお、20年後の貨幣価値は変わっているので、「現在価値で年間500万円」と理解していただきたい。

 

 「真水で」というのは、「返済後の金額で」という意味である。もう少し丁寧に説明すると年間のNOI(注:家賃収入から保有や管理にかかる費用を差し引いたもの、但し減価償却費は含めない。)から元金と利息を返済した残額のことであり、NOIが500万円の物件なら、60歳時点での借金はゼロ(完済済み)、800万円の物件なら年間の返済額が300万円程度あってもよいということだ。借入額にして6千から7千万円というところになるだろう。

 

 不動産投資においては、適度なレバレッジがポイントになる。「適度な」という意味は、投資の過程において売却の必要に迫られたとき、「売却で債務をゼロにできる水準」ということである。また、「何らかの理由で賃料収入が減ってしまったり、途絶えたりしたときにも、返済の穴埋めができる水準」ということである

 

 企業には、65歳までの雇用確保が義務付けられており、70歳定年制という会社も増えつつある。しかし、多くの場合60歳を超えると収入は減少するし、また年齢的に病気等で働けなくなってしまう可能性も高まる。収入が減少したタイミングでローン返済が終われば、ちょうど家賃収入が給与収入と入れ替わりで生活を支えてくれるようになる。そこに年金給付が加われば、現役時代とほぼ同様の生活が維持できるであろう。

 40歳で収益物件を取得すれば、遅くとも定年までの25年~30年間に、ローンを返し終わり、老後の生活を支える、これなら、「普通のサラリーマン」が実行できる「現実的なゴール設定」ではなかろうか。

 そのうえで、その間の社会情勢、自身の収入状況等の変化等を見ながら、不動産価格が大きく上昇したり、余裕資金ができるなどチャンス到来とみれば、さらなる追加投資や買い替えによる収益機会の拡大を狙っていけばよいだろう。